448号2012年12月発行 Archive

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    低線量医療被曝を回避しよう-低線量被曝の障害は医療被曝で明らか-(NEWS No.448 p01)

    福島第一原発事故以来、放射線による被曝リスクが大きな問題となっているが、医療現場での日々の診療による医療被曝も重要な課題である。 わが国の医療被曝は世界で突出して高く、診断用放射線による発がんリスクは世界一と言われている。オックスフォード大学Berringtonらの研究グループによる『ランセット』に掲載された論文「診断用X線による発がんのリスク:英国および14ヶ国の評価」によれば、日本のがんの3.2%は診断被曝が原因で、発がんは年間7587名に及び、がん寄与度は英国の5倍であると推計している(Lancet 2004)。この発がん数の年間7587名は、1年間の交通事故死に匹敵する人数である。

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    福島小児の健康調査と甲状腺被ばくに対する考察(NEWS No.448 p03)

    2011年の福島原発事故後今日まで、人々の健康被害は多方面、長期に及ぶと考えられるが、今回は健康調査と甲状腺被ばくを考える。 チェルノブイリでは事故後小児の甲状腺がんが多発し、ウクライナだけで5000人以上の小児甲状腺がんが発症した。曲がりなりにも福島県が甲状腺検査を始めたのも、こういった事実背景を多くの人が知っているからである。その結果、40%にも及ぶ小児に甲状腺結節/のう胞が見つかり、38000人の検診で5mm以上の結節ないし20mm以上ののう胞を示した186名が精密検査の対象となり、60名が検査を実施、そのうち22名が再検査、一名にがんが見つかっている(23年度)。

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    大阪小児科学会発表報告(NEWS No.448 p04)

    医問研メンバーは大阪小児科学会(12月1日開催)で「低線量放射線障害の検討」と題する4演題を口演しました。私は、医問研が本年4月と9月に取り組んだ「福島避難者こども健康相談会」の報告を担当しました。 東京電力(株)福島第一原発炉心溶融(メルトダウン)により福島県浜通り・中通り地域は放射線管理区域以上の放射能汚染を蒙っています。この大惨事に直面した福島では、被ばくによる健康不安を医療機関で相談し難い状況や、福島県による県民健康管理調査に対する不信もあり、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」と市民放射能測定所(CRMS:Citizens Radiation Measuring Station)の要請に応えて、「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」(代表:山田真 医師)による「こども健康相談会」が2011年6月より続けられており、医問研からも協力しています。

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  • 『低線量・内部被曝の危険性 -その医学的根拠-』

    講演に行ってきました -現場の臨床医に放射線の危険性を訴える-(NEWS No.448 p05)

    石川県医師会の生涯教育講座で「低線量・内部被ばくのエビデンス」について、講演の機会がありました。2012年4月、福岡の日本小児科学会で交流のあった「原発の危険から子どもを守る北陸医師の会」の方々のご尽力によるものです。医師会の公式行事なので、いろんなご意見の方もおられると緊張して臨みました。 内容は第一線の臨床医として、子どもたちが置かれている放射能事故レベル7の実態を理解してもらうことにおきました。身近な診療放射線領域での膨大な低線量被曝によるリスクのエビデンスを紹介し、100mSv論者がこれらを無視していること。10mSvでのリスクは国際的に常識となっており、福島で子どもを20mSvで遊ばせる異常さを示しました。

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  • Mama

    浮雲保健師ぶ〜やんの呟き(NEWS No.448 p06)

    「も~幾つ寝るとー♪」の巻 クリスマスカードやリース作りに 夢中になっているママ達。 机を囲んで和やかにお喋りにも花が咲いている。いつもの親子で賑わっている広場の、いつもの年末の風景。年末の話題と言えば「大掃除した?」「年末の予定は?」「出かける?」「実家に帰る?」等々。定番の話題。そして、引き続き「旦那の実家に行く?」「お土産どーする?」「何日居る?」…となっていき、次には 「去年こんなこと言われたー」と、嫁姑問題!?へと発展し、ママ達のテンションはヒートアップ!! 様々な、家庭の事情があり、中々馴染めない嫁達の苦悩。でも ここでママ友に話してみると『あり得ない!』と思い込んで我慢していた姑の言動が、実は特殊じゃないことを知ったり、もっと違う大変さを抱えているママ友の話を聞いて いつの間にか、励ます側になっていたり…ただ はしゃいでいる様に見えるママ友談義に 何一つ無駄は無いのだ。

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    いちどくをこの本『原発問題の争点―内部被爆・地震・東電』(NEWS No.448 p07)

    大和田幸嗣、橋本真佐男、山田耕作、渡辺悦司著 緑風出版 2800円 発行2012/09/20 この本は、「原発との共存はあり得ない!」という明確な立脚点から書かれています。内容の要約は、表紙に書かれているので、その文章を紹介します。「本書は、福島原発事故による低線量内部被爆の脅威、原発の耐震設計の非科学性と耐震設計が不可能であることを自然科学の観点から考察し、また科学者の責任を問い、さらには東電の懲罰的国有化が必要であること、子どもたちの未来のために原発によるエネルギー生産を永久に放棄すべきことを提言する。」この文で読んでみたくなるかと思います。 なお、この本のお二人の著者が医問研編集の「低線量・内部被曝の危険性」を参考文献にあげてくれています。

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    くすりのコラム No.231 抗インフルエンザ薬「イナビル」(NEWS No.448 p08)

    今回は、抗インフルエンザ薬「イナビル」の、何を指標にして効果を判定するかの「評価項目」の不思議です。 下表の、J202、J201とA202 の評価項目は解熱までの時間です。ところが、台湾で行われた唯一の偽薬対照のA202 では偽薬との間に有意差がありませんでした。 そこで、以後の試験は評価項目を、表のように「インフルエンザ罹病時間」に変更してやっと「効いた」としているのです。この評価項目は『治験薬の初回投与から患者日記に記載される各インフルエンザ症状(頭痛、筋肉または関節痛、疲労感、悪寒又は発汗、鼻症状、のどの痛み、咳)について、全ての症状が「なし」又は「軽度」に改善し、それらが21.5時間以上継続する最初の時点までの時間と規定されている。』だそうです。

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