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	<title>医療問題研究会 &#187; 492号2016年8月発行</title>
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	<description>エビデンスに基づく保健・医学・薬学（EBM）の実践的研究を！</description>
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		<title>高度汚染地域への帰還強要政策を支える えせ科学論文（NEWS No.492 p01）</title>
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		<pubDate>Wed, 23 Nov 2016 02:56:42 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[492号2016年8月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[朝日新聞digital7月17日によれば、政府は現在年空間線量が2012年3月31日現在で50mSv以上の立ち入りが原則禁止されている「帰還困難区域」について、一部の地域を解除する方針を決めました。年間20mSv の被曝でもICRPの専門家でさえ職を辞して非難した異常な線量の高さです。空間線量が20mSv以下になればとはいえ、50mSv以上だった地域に帰れとの、まさに人権無視の政策です。 この政策に呼応するかのように、原発推進勢力「専門家」たちの大ボス２人の「論文」が次々と発表されています。『Clinical Oncology』という雑誌には、2016年に入り（2015年1月投稿）長崎大学山下俊一氏、また（同年12月投稿）同大学長瀧重信氏らの論文が掲載されました。いずれも、著者が勝手に選んだ「専門家の意見」・文献による意見です。前者は原発事故からの回復と立ち直り‘recovery and resilience’に焦点を当て、メンタルに対する対処の重要性を強調、後者も放射線そのものよりその社会心理的影響を避けるべきだと主張しています。 9月にはこれらの主張を正当化する「国際シンポジウム」が開催されます。これに先立ち、彼らの主張を補完する論文がいくつか発表されています。一つは、坪倉正治氏らのBMJ Open2016年7月の論文です。これは、福島民友新聞に「内部被ばくと土壌汚染『関係ほぼない』」と紹介され、強い土壌汚染でも大丈夫との印象を与える記事になりました。相対危険度は10kBq/ ㎡当たり1.03増加するとしており、関係なしとの論文ではありませんが、上記のように宣伝されています。 続いて、例の福島医大の鈴木眞一氏は、2016年に入り先の『Clinical Oncology』と『Thyroid』という雑誌に、福島県県民健康調査の甲状腺がんについてほぼ同じ報告をしています。いずれも多数の甲状腺がん発見は原発事故と関係ないとして以下の理屈を書いています。 1)　甲状腺がん発見率が地域で違わない、 2)チェルノブイリのデータと比べて年令が高い、 3)個人被曝線量と発見率が比例していない、 その他 4)被曝線量がとても低い、 5)潜伏期が短すぎる、 6)ほとんどが乳頭がんだがそのsubtypeがチェルノブイリと違う、 7)ヨード摂取量がチェルノブイリと違う、 などです。多数見つかったのは「スクリーニング効果」だとしています。「過剰診断」には注意する必要があるとしていますが、すでに大部分の甲状腺がんを手術していることとの関連には言及していません。 鈴木論文は2015年10月23日に『Epidemiology』電子版に発表された岡山大津田敏秀教授らの論文対策です。鈴木氏の「理屈」に対し、津田氏は同論文への「意見」への反論や『科学』最新号などで明確に反論しています。 鈴木氏の理屈に対しては私たちの本『甲状腺がん異常多発とこれからの広範な障害の増加を考える』でほぼ反論していますが、今号のニュースで山本氏が上記１）を再度検討しています。他の理屈にも順次反論したいと考えていますが、みなさんの意見をお願いします。 はやし小児科　林]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>朝日新聞digital7月17日によれば、政府は現在年空間線量が2012年3月31日現在で50mSv以上の立ち入りが原則禁止されている「帰還困難区域」について、一部の地域を解除する方針を決めました。<span id="more-3052"></span>年間20mSv の被曝でもICRPの専門家でさえ職を辞して非難した異常な線量の高さです。空間線量が20mSv以下になればとはいえ、50mSv以上だった地域に帰れとの、まさに人権無視の政策です。</p>
<p>この政策に呼応するかのように、原発推進勢力「専門家」たちの大ボス２人の「論文」が次々と発表されています。『Clinical Oncology』という雑誌には、2016年に入り（2015年1月投稿）長崎大学山下俊一氏、また（同年12月投稿）同大学長瀧重信氏らの論文が掲載されました。いずれも、著者が勝手に選んだ「専門家の意見」・文献による意見です。前者は原発事故からの回復と立ち直り‘recovery and resilience’に焦点を当て、メンタルに対する対処の重要性を強調、後者も放射線そのものよりその社会心理的影響を避けるべきだと主張しています。</p>
<p>9月にはこれらの主張を正当化する「国際シンポジウム」が開催されます。これに先立ち、彼らの主張を補完する論文がいくつか発表されています。一つは、坪倉正治氏らのBMJ Open2016年7月の論文です。これは、福島民友新聞に「内部被ばくと土壌汚染『関係ほぼない』」と紹介され、強い土壌汚染でも大丈夫との印象を与える記事になりました。相対危険度は10kBq/ ㎡当たり1.03増加するとしており、関係なしとの論文ではありませんが、上記のように宣伝されています。</p>
<p>続いて、例の福島医大の鈴木眞一氏は、2016年に入り先の『Clinical Oncology』と『Thyroid』という雑誌に、福島県県民健康調査の甲状腺がんについてほぼ同じ報告をしています。いずれも多数の甲状腺がん発見は原発事故と関係ないとして以下の理屈を書いています。</p>
<p>1)　甲状腺がん発見率が地域で違わない、<br />
2)チェルノブイリのデータと比べて年令が高い、<br />
3)個人被曝線量と発見率が比例していない、<br />
その他<br />
4)被曝線量がとても低い、<br />
5)潜伏期が短すぎる、<br />
6)ほとんどが乳頭がんだがそのsubtypeがチェルノブイリと違う、<br />
7)ヨード摂取量がチェルノブイリと違う、<br />
などです。多数見つかったのは「スクリーニング効果」だとしています。「過剰診断」には注意する必要があるとしていますが、すでに大部分の甲状腺がんを手術していることとの関連には言及していません。</p>
<p>鈴木論文は2015年10月23日に『Epidemiology』電子版に発表された岡山大津田敏秀教授らの論文対策です。鈴木氏の「理屈」に対し、津田氏は同論文への「意見」への反論や『科学』最新号などで明確に反論しています。<br />
鈴木氏の理屈に対しては私たちの本<a href="http://ebm-jp.com/2016/03/book-kojosen-2nd/">『甲状腺がん異常多発とこれからの広範な障害の増加を考える』</a>でほぼ反論していますが、今号のニュースで山本氏が上記１）を再度検討しています。他の理屈にも順次反論したいと考えていますが、みなさんの意見をお願いします。</p>
<p style="text-align: right;">はやし小児科　林</p>
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		<title>臨床薬理研・懇話会７月例会報告（NEWS No.492 p02）</title>
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		<pubDate>Wed, 23 Nov 2016 02:56:32 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[492号2016年8月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[Ⅰ．シリーズ「臨床薬理論文を批判的に読む」シリーズ第1７回　～糖尿病治療剤「ビクトーザ皮下注」 心血管イベントを減少するという明確なエビデンスがないまま、広範に用いられているのが糖尿病治療剤です。このほど、エビデンスがはじめて得られたという2論文があいついでNEJM誌に発表され、話題を呼んでいます。本当にエビデンスは得られたのか、2016年6月発表されたインクレチン剤リラグルチド（ビクトーザ（ノボ）皮下注）の論文をとりあげます（LEADER 試験, NEJM online fast）。 食事をすると小腸に存在する細胞の一部が刺激されて消化管ホルモンが分泌されます。これには膵臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を増加させる働きをもつものがいくつか存在し、総称して「インクレチン」と呼ばれます。インクレチンにはGLP-1とGIPというホルモンがあり、リラグルチドはGLP-1受容体作動剤です。 LEADER 試験は、ハイリスクの2型糖尿病患者を2群に分け、標準ケアにリラグルチドを上乗せした作用を検討するために、二重遮蔽法のもとでリラグルチドとプラセボを比較しています。プライマリー複合アウトカムは、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中のいずれかの最初の出現です（3ポイントMACE, major adverse cardiac events）。プライマリー仮説は、プライマリーアウトカムに関しリラグルチドはプラセボと比較して非劣性（ハザード比限界が1.30以内）です。中国・台湾・韓国を含むが日本を含まない32か国410サイトで実施、9340症例を3.8年間追跡しています。結果は、プライマリーアウトカム、心血管死、全死亡で、リラグルチド群がプラセボ群に対し有意に少なかったとしています。 今回この論文が、心血管イベントを減少するという明確なエビデンスを示したか検討しましたが、「それは言えない」が結論です。 まず、この試験の目的ですが、心血管イベントを減少させるかどうかの有効性をみたものでなく、心血管イベントの増加リスクが大きいものでないという「非劣性」安全性試験です。もともとこの試験の結果で有効性のエビデンスを主張するには無理があります。 今回のリラグルチドのLEADER 試験は、二重遮蔽試験として行われています。しかし実際は血糖値の変化、GLP-1受容体作動剤に共通する体重の減少、また消化器系の異常症状などにより、医師には早い時期から実薬とプラセボのどちらかがわかります。もともと日常の血糖コントロールにリラグルチドを上乗せする試験デザインであり、血糖値などで調整している形なのです。二重遮蔽は崩れていたと考えられ、そのことが次のようなデータの矛盾としてあらわれています。 1)　患者が第三者からの助けを求めたsevereな低血糖がリラグルチド群よりもプラセボ群に有意に多い。 2)　投与中止をもたらした害作用が、全体ではリラグルチド群がプラセボ群よりも有意に多いのに、seriousな害作用ではリラグルチド群よりもプラセボ群に有意に多い。 3)　患者のBMIとの関係では、全体では30以上の肥満者で有意、30以下では有意でないのに、30以上の肥満者は少ないはずのアジア人で好成績が得られており、ハザード比0.70(0.46-1.04)と有意に近い。 この論文で重要なこととして、膵臓がんのデータがあります。被験者数の限られた臨床試験ではがんで有意な差が出ることはなかなかないのですが、この試験では膵臓がんがリラグルチド群で13例、プラセボ群で5例、p=0.06と有意に近い値です。インクレチン剤の薬理作用に膵β細胞の分化・増殖があり、またリラグルチドはラット・マウスの2年間がん原性試験で甲状腺C細胞腫瘍を認めているなどあり、今回の臨床試験結果は要注意です。 他には試験デザインで、標準ケアへの上乗せ効果をみるため、インクレチン剤以外の糖尿病剤の使用状況で結果が変わってくるのでないか、新薬と既存薬の組み合わせ方を限定するなどが必要と思われました。 今回の試験結果は受けいれがたいとしましたが、関連した重要な事実があります。この論文に先立ちNEJM誌2015; 373: 2247に掲載された、リラグルチドと同じGLP-1受容体作動剤であるリキシセナチド（リキスミア皮下注、サノフィ）の同様の試験（ELIXA試験）では、主要な心血管イベントや他の重篤な有害事象を減少させず、LEADER 試験と異なり効果はまったくありませんでした。 なお、エビデンスが得られたというもう一つの論文（SGLT2阻害剤Empagliflozin, Jardiance,日本未発売、Boehringer Ingelheim/Eli Lilly ;　EMPA-REG OUTCOME試験;　NEJM 2015; 373: 2117）を読んでみました。この試験も「非劣性」を仮説とした安全性試験で、優越性でも有意としています。プライマリー複合アウトカムは3ポイントMACEのいずれかの最初の出現です。しかし、この試験もリラグリチドのLEADER試験同様、 尿量増加、脱水、血糖値低下で割り付けの推測は容易であり、二重遮蔽が崩れていた可能性が高く、そのことはプラセボ群生存曲線の42週からのあり得ない不自然さをみれば明らかです。こちらもエビデンスが得られたとはとても言えません。 本来の糖尿病治療剤の使用目的を離れて、企業がFDAの厳しい安全性試験をクリアーしたことを大々的に宣伝するという最近の倒錯状況からは、心血管イベントを減少したという今回の2つの論文は議論を本来のものに戻した点での功績はあるものの、エビデンスには遠いものでした。 しかし規制緩和の進む現実は厳しい状況にあり、監視が必要です。BI/LillyはEmpagliflozinのこの1つの試験成績のみで添付文書にこのエビデンスを盛り込むようサプリメンタリーNDA申請を行い、可否を審議するFDA諮問委員会は12対11の僅差でこれを認め、FDAがこの諮問をどのように扱うか注目されているとのことです。 なお本稿は、薬のチェックTIP誌2016年9月号予定記事を一部参考にさせていただいています。 薬剤師　寺岡 &#8212;&#8212;&#8212;&#8212;- 2016.12.13　記事を一部訂正しました。 ［訂正・お知らせ］ 医問研ニュース492号掲載の例会報告 で、Empagliflozin...]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><strong>Ⅰ．シリーズ「臨床薬理論文を批判的に読む」シリーズ第1７回　～糖尿病治療剤「ビクトーザ皮下注」</strong><span id="more-3053"></span></p>
<p>心血管イベントを減少するという明確なエビデンスがないまま、広範に用いられているのが糖尿病治療剤です。このほど、エビデンスがはじめて得られたという2論文があいついでNEJM誌に発表され、話題を呼んでいます。本当にエビデンスは得られたのか、2016年6月発表されたインクレチン剤リラグルチド（ビクトーザ（ノボ）皮下注）の論文をとりあげます（LEADER 試験, NEJM online fast）。</p>
<p>食事をすると小腸に存在する細胞の一部が刺激されて消化管ホルモンが分泌されます。これには膵臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を増加させる働きをもつものがいくつか存在し、総称して「インクレチン」と呼ばれます。インクレチンにはGLP-1とGIPというホルモンがあり、リラグルチドはGLP-1受容体作動剤です。</p>
<p>LEADER 試験は、ハイリスクの2型糖尿病患者を2群に分け、標準ケアにリラグルチドを上乗せした作用を検討するために、二重遮蔽法のもとでリラグルチドとプラセボを比較しています。プライマリー複合アウトカムは、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中のいずれかの最初の出現です（3ポイントMACE, major adverse cardiac events）。プライマリー仮説は、プライマリーアウトカムに関しリラグルチドはプラセボと比較して非劣性（ハザード比限界が1.30以内）です。中国・台湾・韓国を含むが日本を含まない32か国410サイトで実施、9340症例を3.8年間追跡しています。結果は、プライマリーアウトカム、心血管死、全死亡で、リラグルチド群がプラセボ群に対し有意に少なかったとしています。</p>
<p>今回この論文が、心血管イベントを減少するという明確なエビデンスを示したか検討しましたが、「それは言えない」が結論です。</p>
<p>まず、この試験の目的ですが、心血管イベントを減少させるかどうかの有効性をみたものでなく、心血管イベントの増加リスクが大きいものでないという「非劣性」安全性試験です。もともとこの試験の結果で有効性のエビデンスを主張するには無理があります。</p>
<p>今回のリラグルチドのLEADER 試験は、二重遮蔽試験として行われています。しかし実際は血糖値の変化、GLP-1受容体作動剤に共通する体重の減少、また消化器系の異常症状などにより、医師には早い時期から実薬とプラセボのどちらかがわかります。もともと日常の血糖コントロールにリラグルチドを上乗せする試験デザインであり、血糖値などで調整している形なのです。二重遮蔽は崩れていたと考えられ、そのことが次のようなデータの矛盾としてあらわれています。</p>
<p>1)　患者が第三者からの助けを求めたsevereな低血糖がリラグルチド群よりもプラセボ群に有意に多い。<br />
2)　投与中止をもたらした害作用が、全体ではリラグルチド群がプラセボ群よりも有意に多いのに、seriousな害作用ではリラグルチド群よりもプラセボ群に有意に多い。<br />
3)　患者のBMIとの関係では、全体では30以上の肥満者で有意、30以下では有意でないのに、30以上の肥満者は少ないはずのアジア人で好成績が得られており、ハザード比0.70(0.46-1.04)と有意に近い。</p>
<p>この論文で重要なこととして、膵臓がんのデータがあります。被験者数の限られた臨床試験ではがんで有意な差が出ることはなかなかないのですが、この試験では膵臓がんがリラグルチド群で13例、プラセボ群で5例、p=0.06と有意に近い値です。インクレチン剤の薬理作用に膵β細胞の分化・増殖があり、またリラグルチドはラット・マウスの2年間がん原性試験で甲状腺C細胞腫瘍を認めているなどあり、今回の臨床試験結果は要注意です。</p>
<p>他には試験デザインで、標準ケアへの上乗せ効果をみるため、インクレチン剤以外の糖尿病剤の使用状況で結果が変わってくるのでないか、新薬と既存薬の組み合わせ方を限定するなどが必要と思われました。<br />
今回の試験結果は受けいれがたいとしましたが、関連した重要な事実があります。この論文に先立ちNEJM誌2015; 373: 2247に掲載された、リラグルチドと同じGLP-1受容体作動剤であるリキシセナチド（リキスミア皮下注、サノフィ）の同様の試験（ELIXA試験）では、主要な心血管イベントや他の重篤な有害事象を減少させず、LEADER 試験と異なり効果はまったくありませんでした。</p>
<p>なお、エビデンスが得られたというもう一つの論文（SGLT2阻害剤Empagliflozin, Jardiance,日本未発売、Boehringer Ingelheim/Eli Lilly ;　EMPA-REG OUTCOME試験;　NEJM 2015; 373: 2117）を読んでみました。この試験も「非劣性」を仮説とした安全性試験で、優越性でも有意としています。プライマリー複合アウトカムは3ポイントMACEのいずれかの最初の出現です。しかし、この試験もリラグリチドのLEADER試験同様、 尿量増加、脱水、血糖値低下で割り付けの推測は容易であり、二重遮蔽が崩れていた可能性が高く、そのことはプラセボ群生存曲線の42週からのあり得ない不自然さをみれば明らかです。こちらもエビデンスが得られたとはとても言えません。</p>
<p>本来の糖尿病治療剤の使用目的を離れて、企業がFDAの厳しい安全性試験をクリアーしたことを大々的に宣伝するという最近の倒錯状況からは、心血管イベントを減少したという今回の2つの論文は議論を本来のものに戻した点での功績はあるものの、エビデンスには遠いものでした。</p>
<p>しかし規制緩和の進む現実は厳しい状況にあり、監視が必要です。BI/LillyはEmpagliflozinのこの1つの試験成績のみで添付文書にこのエビデンスを盛り込むようサプリメンタリーNDA申請を行い、可否を審議するFDA諮問委員会は12対11の僅差でこれを認め、FDAがこの諮問をどのように扱うか注目されているとのことです。</p>
<p>なお本稿は、薬のチェックTIP誌2016年9月号予定記事を一部参考にさせていただいています。</p>
<p style="text-align: right;">薬剤師　寺岡</p>
<p style="text-align: left;">&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;-</p>
<p style="text-align: left;">2016.12.13　記事を一部訂正しました。</p>
<p style="text-align: left;">
<div id="_mcePaste"><strong>［訂正・お知らせ］</strong></div>
<div id="_mcePaste">医問研ニュース492号掲載の例会報告 で、Empagliflozin に関し、「MACEリスクの差はほぼ心血管死のみによっており、それも多くの評価不能例を推定心血管死として扱い、それらを除くと優越性を示さないという再現性の不確かなもので、こちらもエビデンスが得られたとはとても言えません」と書きました。これについて浜六郎さんから、結論は変わらないが、「それも多くの評価不能例を推定心血管死として扱い」の記載は適当と言えず、この試験もリラグリチド（ビクトーザ） 同様、尿量増加、脱水、血糖値低下で割り付けの推測は容易なので、二重遮蔽が崩れている影響が大きいとの指摘をいただきました。</div>
<div id="_mcePaste">このことは次の図1の生存曲線のプラセボ群の42週からの不自然さをみれば明白です。</div>
<div id="_mcePaste"></div>
<div><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/493-4-492shusei.jpg"><img class="aligncenter size-full wp-image-3104" title="493-4-492shusei" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/493-4-492shusei.jpg" alt="" width="373" height="263" /></a></div>
<div></div>
<div>浜さんは、「以前のザジテンの喘息の試験の典型的な例を思い出します（TIP誌1993年10月号p92）。</div>
<div id="_mcePaste">まるで、1980年代の日本の RCT？ を見ているようで、それが NEJMとか JAMAで堂々と掲載されているのに背筋が寒くなる思いです」とコメントされています。</div>
<div></div>
<div style="text-align: right;">薬剤師　寺岡</div>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>2016 ZENKO in 大阪成功！（NEWS No.492 p04）</title>
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		<pubDate>Wed, 23 Nov 2016 02:56:24 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[492号2016年8月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[7月30-31日に2016ZENKOin大阪が開かれ、人間の尊厳を守る世界の実現、改憲阻止･安倍内閣打倒のための国際共同行動強化が確認されました。 30日の開会集会は参院選の成果と意義を確認する場となりました。 当選した社民党福島さん、惜敗した共産党わたなべさんをはじめ多数の地方議員が参加し、市民と野党の共闘強化を方針化しました。 MDS佐藤委員長が相模原大量殺害事件に言及。容疑者は｢障害者に生きる価値はない｣と述べたが、麻生財務相が｢90歳になっていつまで生きてるつもりだ｣と暴言を吐いたのと同根で、新自由主義のもとで憎しみ合い殺しあう社会でなく、人間の尊厳を守る社会をつくる戦いを進めようと提起されました。 開会集会では、沖縄の上間芳子さんが｢沖縄には日本国憲法が適用されていない｣と告発。 イラク労働者共産党のサミール･アディルさん、米IVAW(イラク帰還兵の会）のクロード･コープランドさんらも、ヘイト、マイノリティ攻撃を許さず、自分たちの未来を自分たちで決める社会へ前進しようと訴え、参加者に勇気と希望がもたらされたと思います。 帰還強要と原発再稼働に反対する市民と福島避難指示区域住民らの報告も共感を呼びました。 31日には分野別討議｢尊厳ある暮らしを！医療介護の破たんを止める集い｣に参加しました。 介護事業所の従事者を中心に介護する家族や医療従事者なども参加していました。 基調では、2025年問題が取り上げられるが、人材確保や賃金、財源確保には触れられず、報酬単価引き下げと自助・自己責任に基づく制度設計が進められようとしていることがおさえられました。 当事者に寄り添った小規模デイサービスなどの実践報告がされ、｢尊厳ある暮らし｣｢公的責任｣をキーワードにつながる事業者･介護労働者･当事者･家族の連携をつくり出すこと、国庫負担増を求める署名の準備などが決議されました。 梅田は医問研として、｢安倍内閣の健康･医療戦略と医療情勢｣について報告しました。 公的医療保険を縮小して、病気づくり戦略も活用し、医療・健康産業の市場拡大を図り、医療供給体制の大合理化や、医療介護関連産業の海外進出･グローバル産業化の狙いを明らかにし、医問研としては無用で危険な薬剤の批判を柱に活動していることも報告しました。また全交大会決議に、医療関連産業の儲けのためでなく医療の人員拡大や内容の充実に医療費を使うべきという趣旨を反映させました。 ｢人らしく生きるために｣闘う国内外からの850人の参加で熱い討議が展開され、改憲阻止・安倍内閣打倒の行動方針が決議されました。人間の尊厳を守り希望ある社会をつくり出す勇気と展望を得られた充実した2日間でした。 いわくら病院　梅田]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p style="text-align: center;"><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/2016z-report-p012.jpg"><img class="aligncenter size-full wp-image-3058" title="2016z-report-p012" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/2016z-report-p012.jpg" alt="" width="536" height="240" /></a></p>
<p style="text-align: left;"><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/2016z-report-p012.jpg"></a>7月30-31日に2016ZENKOin大阪が開かれ、人間の尊厳を守る世界の実現、改憲阻止･安倍内閣打倒のための国際共同行動強化が確認されました。<span id="more-3057"></span></p>
<p>30日の開会集会は参院選の成果と意義を確認する場となりました。<br />
当選した社民党福島さん、惜敗した共産党わたなべさんをはじめ多数の地方議員が参加し、市民と野党の共闘強化を方針化しました。<br />
MDS佐藤委員長が相模原大量殺害事件に言及。容疑者は｢障害者に生きる価値はない｣と述べたが、麻生財務相が｢90歳になっていつまで生きてるつもりだ｣と暴言を吐いたのと同根で、新自由主義のもとで憎しみ合い殺しあう社会でなく、人間の尊厳を守る社会をつくる戦いを進めようと提起されました。<br />
開会集会では、沖縄の上間芳子さんが｢沖縄には日本国憲法が適用されていない｣と告発。<br />
イラク労働者共産党のサミール･アディルさん、米IVAW(イラク帰還兵の会）のクロード･コープランドさんらも、ヘイト、マイノリティ攻撃を許さず、自分たちの未来を自分たちで決める社会へ前進しようと訴え、参加者に勇気と希望がもたらされたと思います。<br />
帰還強要と原発再稼働に反対する市民と福島避難指示区域住民らの報告も共感を呼びました。</p>
<p>31日には分野別討議｢尊厳ある暮らしを！医療介護の破たんを止める集い｣に参加しました。<br />
介護事業所の従事者を中心に介護する家族や医療従事者なども参加していました。<br />
基調では、2025年問題が取り上げられるが、人材確保や賃金、財源確保には触れられず、報酬単価引き下げと自助・自己責任に基づく制度設計が進められようとしていることがおさえられました。<br />
当事者に寄り添った小規模デイサービスなどの実践報告がされ、｢尊厳ある暮らし｣｢公的責任｣をキーワードにつながる事業者･介護労働者･当事者･家族の連携をつくり出すこと、国庫負担増を求める署名の準備などが決議されました。<br />
梅田は医問研として、｢安倍内閣の健康･医療戦略と医療情勢｣について報告しました。<br />
公的医療保険を縮小して、病気づくり戦略も活用し、医療・健康産業の市場拡大を図り、医療供給体制の大合理化や、医療介護関連産業の海外進出･グローバル産業化の狙いを明らかにし、医問研としては無用で危険な薬剤の批判を柱に活動していることも報告しました。また全交大会決議に、医療関連産業の儲けのためでなく医療の人員拡大や内容の充実に医療費を使うべきという趣旨を反映させました。</p>
<p>｢人らしく生きるために｣闘う国内外からの850人の参加で熱い討議が展開され、改憲阻止・安倍内閣打倒の行動方針が決議されました。人間の尊厳を守り希望ある社会をつくり出す勇気と展望を得られた充実した2日間でした。</p>
<p style="text-align: right;">いわくら病院　梅田</p>
]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>医療問題研究会フィリピン健診ツアーに参加して（NEWS No.492 p05）</title>
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		<pubDate>Wed, 23 Nov 2016 02:56:11 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[492号2016年8月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[今回約20年ぶりに参加させていただきました。東大阪での勤務以来なかなか参加できずにきましたが、私が2000年からのJICA国際協力機構のボランティア応募の原点となったのがこの健診ツアーでした。その時感じたのがもう少し時間をかけてこの国で支援できる方法がないものかということです。そんな時出会ったのがJICA国際協力機構のシニア海外ボランティア制度でした。当時はフィリピンに行きたいと考えていましたが、派遣国になくて同じアジア、タイの障害者支援に応募し派遣が決まり、2年間をタイで過ごすことになったのです。 20年前の健診ツアーでは衝撃的な印象を受けました。マニラ空港の雰囲気や健診にやってきた子供たちの妙によそ行きの服や真新しい靴、それとは裏腹に虫歯が目立ち耳垢がいっぱいの現実、そして健診後ぶらりと見て回った川沿いのスラム街に住む人々と生活排水やプラスチックごみがプカプカ浮いて悪臭のする地域、そこの小さな屋根の下でコーラや揚げ菓子が売られていたのを思い出しました。ここの子どもたちの虫歯の原因が理解できました。 あれから20年ぶり、わくわくした気持ちでマニラ空港に降り立ち何か少しきれいになったと感じ、訪ねてみると新しくできた別の空港（名前が新しくなり、ターミナルが３つ）と言われたがピックアップの車と人がごった返しているのは変わらず。町の中は新しい大型ショッピングビルが増えたが、道路脇の小売店の屋根や店構えは相変わらず貧しさが感じられました。変わったのは車の数と渋滞かもしれません。 そんな中で変わっていないのはポールさんやアミーさんの素敵な笑顔での歓迎ぶり、当時と変わらない笑顔のエステリータ先生と娘さん。 健診当日は夜半からのどしゃぶりが続き、開始時は何人来てくれるかなと心配したが、合計80人近い親子が参加。久しぶりの私も森先生の言われるままに問診用紙の記録担当、山本さんと娘さんは慣れた手つきと英語力で来診者の案内と身体計測担当（柱に取り付けられた入江先生考案の身体計測器はうまくできていたが少し滑りが悪くなっている。私が参加した初期の頃は柱に紙の物差しを貼り厚手の絵本で垂直に頭に当てる初歩的なもの）。 健診はほぼ昼迄に終了、隣部屋ではロータリークラブからの派遣で複数の歯科医の健診と治療が行われていて健診が進歩してきたことを感じましたが、これが虫歯の減少に繋がることを祈ります。 看護師　吉田佳子]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>今回約20年ぶりに参加させていただきました。東大阪での勤務以来なかなか参加できずにきましたが、私が2000年からのJICA国際協力機構のボランティア応募の原点となったのがこの健診ツアーでした。<span id="more-3063"></span>その時感じたのがもう少し時間をかけてこの国で支援できる方法がないものかということです。そんな時出会ったのがJICA国際協力機構のシニア海外ボランティア制度でした。当時はフィリピンに行きたいと考えていましたが、派遣国になくて同じアジア、タイの障害者支援に応募し派遣が決まり、2年間をタイで過ごすことになったのです。</p>
<p>20年前の健診ツアーでは衝撃的な印象を受けました。マニラ空港の雰囲気や健診にやってきた子供たちの妙によそ行きの服や真新しい靴、それとは裏腹に虫歯が目立ち耳垢がいっぱいの現実、そして健診後ぶらりと見て回った川沿いのスラム街に住む人々と生活排水やプラスチックごみがプカプカ浮いて悪臭のする地域、そこの小さな屋根の下でコーラや揚げ菓子が売られていたのを思い出しました。ここの子どもたちの虫歯の原因が理解できました。</p>
<p>あれから20年ぶり、わくわくした気持ちでマニラ空港に降り立ち何か少しきれいになったと感じ、訪ねてみると新しくできた別の空港（名前が新しくなり、ターミナルが３つ）と言われたがピックアップの車と人がごった返しているのは変わらず。町の中は新しい大型ショッピングビルが増えたが、道路脇の小売店の屋根や店構えは相変わらず貧しさが感じられました。変わったのは車の数と渋滞かもしれません。</p>
<p>そんな中で変わっていないのはポールさんやアミーさんの素敵な笑顔での歓迎ぶり、当時と変わらない笑顔のエステリータ先生と娘さん。</p>
<p>健診当日は夜半からのどしゃぶりが続き、開始時は何人来てくれるかなと心配したが、合計80人近い親子が参加。久しぶりの私も森先生の言われるままに問診用紙の記録担当、山本さんと娘さんは慣れた手つきと英語力で来診者の案内と身体計測担当（柱に取り付けられた入江先生考案の身体計測器はうまくできていたが少し滑りが悪くなっている。私が参加した初期の頃は柱に紙の物差しを貼り厚手の絵本で垂直に頭に当てる初歩的なもの）。</p>
<p>健診はほぼ昼迄に終了、隣部屋ではロータリークラブからの派遣で複数の歯科医の健診と治療が行われていて健診が進歩してきたことを感じましたが、これが虫歯の減少に繋がることを祈ります。</p>
<p style="text-align: right;">看護師　吉田佳子</p>
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		<title>鈴木眞一氏の福島での甲状腺がん多発が被曝とは関係なく、スクリーニング効果としたClincal Oncology誌論文について（NEWS No.492 p06）</title>
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		<pubDate>Wed, 23 Nov 2016 02:55:59 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[492号2016年8月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[福島医大の甲状腺がん治療の責任者であった鈴木眞一氏が2016年Clinical　Oncology誌に福島の「先行」検査の甲状腺がん結果についてのまとめを発表した。 福島の小児甲状腺がん多発は「先行」検査としての甲状腺エコー検査のマススクリーニングに起因するとし、放射線との関係を否定している内容であり、批判検討をしてみた。 1)　鈴木氏は「先行」検査で空間線量によって区分した3群間の甲状腺がんの頻度を同じ観察期間で比較していない。 (表1)に示すように、各群での甲状腺がんの有病率に差がないため放射線の影響ではないというのが鈴木氏の理論の根幹である。 避難13市町村については、2011年3月(福島原発事故時)に0-18歳であった集団について2011年度に一次甲状腺超音波検査を実施した集団が甲状腺がん評価の対象である。一方、いわき等34市町村については2年後の2013年度に、つまり2年間余分に経過した集団が対象である。したがって、両群の甲状腺がん頻度を同じ条件で比較する場合は、観察期間を同じくすることが必要である。 （表1）Clinical Oncology誌による3群分けと結果（原著Table2より） 二群間の観察期間を同じように比較する場合は、一次受診総数に観察期間を乗してこれを分母として頻度を比較すればよい。これを罹患率比較といい、観察期間を一年間とした場合は分母を人年として表す。実際には相対リスクを比較する。なお福島の甲状腺がん頻度を罹患率で比較し、多発を証明し世界中の疫学者多数を首肯させたのは岡山大の津田氏である。 事故の起こった2011年3月11日の原発事故以降の環境放射線の影響を調べるため(表2)に原発事故を観察スタートとしていわき会津等34市町村を1とした場合の相対リスク比をしめす。初期空間線量の多かった避難13市町村は少なかったいわき等34市町村より明らかに罹患率相対リスクが高いという結果であった。 （表2） 観察年数で人年補正をした罹患率の相対リスク比 2)　同じ群わけを「本格」検査に当てはめたとき、各群の観察期間開始時期は、潜在がんを除いた「先行」検査一次検査実施後のがんのない状態からと同じにできる。 (表3)で2016年6月6日の第23回県民健康調査会議時点の「本格検査」結果(2016年3月31日現在)を、鈴木氏の論文に合わせた三群分類に応じて罹患率の群間比較を行い、低放射線群に対する各群の相対リスク比の有意差を検討した結果を示した。 （表3） 「本格調査」での三群人年罹患率相対リスク比 (表3)はもっとも線量の低いいわき会津等34市町村に対し他二群の高線量地域で高い相対リスク比が示されている。ただし、このデータは、いわき等34市町村の二次検査が41%しか発表されていない。そのため第三群の甲状腺がん数を避難市町村と同じ受診率での18例と仮定して計算した。それでも、避難市町村のRRは3を超えている。最終結果はまだであるが、本格調査からも線量に応じた甲状腺がんの増加が認められる可能性が高い。なお、「本格調査」を「先行調査」と同様2011年3月11日を起点とした人年比較をしても、あるいは鈴木氏の手法である有病率比較をしても各群の観察期間が4-5年と似通っているため(表3)と同様の順序での容量反応関係が認められた。 3)　結論 鈴木氏の論文と反対に、多発する福島の甲状腺がんと放射線被ばくの関係が、空間線量での高中低線量地域の三群比較、甲状腺がんと非甲状腺がんの実効線量比較から明らかに認められた。 大阪赤十字病院　山本 【参考文献】 1.Suzuki S. Clinical Oncology 2016 2.Suzuki S. Thyroid 2016 3.Greenberg　医学がわかる疫学 4.Rothman　ロスマンの疫学 5.第20,21,22,23回福島県民健康調査会議(英語版を含む) 6.Tsuda T. Epidemiology 2015]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>福島医大の甲状腺がん治療の責任者であった鈴木眞一氏が2016年Clinical　Oncology誌に福島の「先行」検査の甲状腺がん結果についてのまとめを発表した。<span id="more-3066"></span><br />
福島の小児甲状腺がん多発は「先行」検査としての甲状腺エコー検査のマススクリーニングに起因するとし、放射線との関係を否定している内容であり、批判検討をしてみた。</p>
<h6>1)　鈴木氏は「先行」検査で空間線量によって区分した3群間の甲状腺がんの頻度を同じ観察期間で比較していない。</h6>
<p>(表1)に示すように、各群での甲状腺がんの有病率に差がないため放射線の影響ではないというのが鈴木氏の理論の根幹である。<br />
避難13市町村については、2011年3月(福島原発事故時)に0-18歳であった集団について2011年度に一次甲状腺超音波検査を実施した集団が甲状腺がん評価の対象である。一方、いわき等34市町村については2年後の2013年度に、つまり2年間余分に経過した集団が対象である。したがって、両群の甲状腺がん頻度を同じ条件で比較する場合は、観察期間を同じくすることが必要である。</p>
<p><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';">（表</span><span style="font-family: 'Times New Roman', serif;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック', serif;">1）Clinical</span></span></span><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';"> </span><span style="font-family: 'Times New Roman', serif;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック', serif;">Oncology</span></span></span><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';">誌による</span><span style="font-family: 'Times New Roman', serif;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック', serif;">3</span></span></span><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';">群分けと結果</span><span style="font-family: 'Times New Roman', serif;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック', serif;">（</span></span></span><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';">原著</span><span style="font-family: 'Times New Roman', serif;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック', serif;">Table2</span></span></span><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';">より</span><span style="font-family: 'Times New Roman', serif;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック', serif;">）</span></span></span></p>

<table id="wp-table-reloaded-id-50-no-1" class="wp-table-reloaded wp-table-reloaded-id-50">
<thead>
	<tr class="row-1 odd">
		<th class="column-1">市町村分け</th><th class="column-2">空間線量</th><th class="column-3">一次検査年度</th><th class="column-4">一次受診数</th><th class="column-5">受診率</th><th class="column-6">甲状腺がん</th><th class="column-7">有病率/10万</th>
	</tr>
</thead>
<tbody>
	<tr class="row-2 even">
		<td class="column-1">避難13市町村</td><td class="column-2">高</td><td class="column-3">2011</td><td class="column-4">41,810</td><td class="column-5">88</td><td class="column-6">14</td><td class="column-7">33.5</td>
	</tr>
	<tr class="row-3 odd">
		<td class="column-1">中通り12市町村</td><td class="column-2">中</td><td class="column-3">2012</td><td class="column-4">139,338</td><td class="column-5">86</td><td class="column-6">56</td><td class="column-7">40.2</td>
	</tr>
	<tr class="row-4 even">
		<td class="column-1">いわき会津34市町村</td><td class="column-2">低</td><td class="column-3">2013</td><td class="column-4">119,328</td><td class="column-5">75</td><td class="column-6">42</td><td class="column-7">35.2</td>
	</tr>
</tbody>
</table>

<p>二群間の観察期間を同じように比較する場合は、一次受診総数に観察期間を乗してこれを分母として頻度を比較すればよい。これを罹患率比較といい、観察期間を一年間とした場合は分母を人年として表す。実際には相対リスクを比較する。なお福島の甲状腺がん頻度を罹患率で比較し、多発を証明し世界中の疫学者多数を首肯させたのは岡山大の津田氏である。<br />
事故の起こった2011年3月11日の原発事故以降の環境放射線の影響を調べるため(表2)に原発事故を観察スタートとしていわき会津等34市町村を1とした場合の相対リスク比をしめす。初期空間線量の多かった避難13市町村は少なかったいわき等34市町村より明らかに罹患率相対リスクが高いという結果であった。</p>
<p>（<span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';">表</span><span style="font-family: 'Times New Roman', serif;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック', serif;">2）</span></span></span><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';"> 観察年数で人年補正をした罹患率の相対リスク比</span></span></p>
<p><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';">
<table id="wp-table-reloaded-id-51-no-1" class="wp-table-reloaded wp-table-reloaded-id-51">
<thead>
	<tr class="row-1 odd">
		<th class="column-1">市町村分け</th><th class="column-2">観察年数</th><th class="column-3">一次受診総数</th><th class="column-4">人年補正</th><th class="column-5">甲状腺がん</th><th class="column-6">罹患率/10万人年</th><th class="column-7">罹患率相対リスク比（95%信頼区間）</th>
	</tr>
</thead>
<tbody>
	<tr class="row-2 even">
		<td class="column-1">避難<br />
13市町村</td><td class="column-2">1</td><td class="column-3">41,810</td><td class="column-4">41,810</td><td class="column-5">14</td><td class="column-6">33.5</td><td class="column-7">3.08<br />
(1.40-6.78)</td>
	</tr>
	<tr class="row-3 odd">
		<td class="column-1">中通り<br />
26市町村</td><td class="column-2">2.5</td><td class="column-3">169,158</td><td class="column-4">422,895</td><td class="column-5">63</td><td class="column-6">17.3 </td><td class="column-7">1.37<br />
(0.72-2.60)</td>
	</tr>
	<tr class="row-4 even">
		<td class="column-1">いわき等<br />
34市町村</td><td class="column-2">3</td><td class="column-3">55,788</td><td class="column-4">167,364</td><td class="column-5">24</td><td class="column-6">14.8 </td><td class="column-7">1.32<br />
(0.65-2.69)</td>
	</tr>
</tbody>
</table>
</span></span></p>
<h6>2)　同じ群わけを「本格」検査に当てはめたとき、各群の観察期間開始時期は、潜在がんを除いた「先行」検査一次検査実施後のがんのない状態からと同じにできる。</h6>
<p>(表3)で2016年6月6日の第23回県民健康調査会議時点の「本格検査」結果(2016年3月31日現在)を、鈴木氏の論文に合わせた三群分類に応じて罹患率の群間比較を行い、低放射線群に対する各群の相対リスク比の有意差を検討した結果を示した。</p>
<p><span style="font-family: 'Times New Roman', serif;"><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック', serif;"><span>（</span></span></span></span><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';"><span>表</span></span><span style="font-family: 'Times New Roman', serif;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック', serif;"><span>3）</span></span></span></span><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';"><span> 「本格調査」での三群人年罹患率相対リスク比</span></span></span></p>
<p><span style="color: #000000;"><span style="font-family: 'ＭＳ Ｐゴシック';"><span>
<table id="wp-table-reloaded-id-52-no-1" class="wp-table-reloaded wp-table-reloaded-id-52">
<thead>
	<tr class="row-1 odd">
		<th class="column-1">市町村分け</th><th class="column-2">観察年数</th><th class="column-3">一次受診総数</th><th class="column-4">人年一次受診数</th><th class="column-5">二次受診/二次対象％</th><th class="column-6">悪性</th><th class="column-7">罹患率相対リスク比(95%C.I.)</th>
	</tr>
</thead>
<tbody>
	<tr class="row-2 even">
		<td class="column-1">避難<br />
13市町村</td><td class="column-2">4<br />
 </td><td class="column-3">34,480</td><td class="column-4">137,920</td><td class="column-5">84.3</td><td class="column-6">17</td><td class="column-7">3.7<br />
(1.78-8.94)</td>
	</tr>
	<tr class="row-3 odd">
		<td class="column-1">中通り<br />
12市町村</td><td class="column-2">4<br />
</td><td class="column-3">124,218</td><td class="column-4">496,872</td><td class="column-5">78.8</td><td class="column-6">31</td><td class="column-7">1.9<br />
(0.9-4.0)</td>
	</tr>
	<tr class="row-4 even">
		<td class="column-1">いわき会津34市町村</td><td class="column-2">5</td><td class="column-3">109,071</td><td class="column-4">545,355</td><td class="column-5">40.8 </td><td class="column-6">18</td><td class="column-7">1.00<br />
(reference)</td>
	</tr>
</tbody>
</table>
</span></span></span></p>
<p>(表3)はもっとも線量の低いいわき会津等34市町村に対し他二群の高線量地域で高い相対リスク比が示されている。ただし、このデータは、いわき等34市町村の二次検査が41%しか発表されていない。そのため第三群の甲状腺がん数を避難市町村と同じ受診率での18例と仮定して計算した。それでも、避難市町村のRRは3を超えている。最終結果はまだであるが、本格調査からも線量に応じた甲状腺がんの増加が認められる可能性が高い。なお、「本格調査」を「先行調査」と同様2011年3月11日を起点とした人年比較をしても、あるいは鈴木氏の手法である有病率比較をしても各群の観察期間が4-5年と似通っているため(表3)と同様の順序での容量反応関係が認められた。</p>
<h6>3)　結論</h6>
<p>鈴木氏の論文と反対に、多発する福島の甲状腺がんと放射線被ばくの関係が、空間線量での高中低線量地域の三群比較、甲状腺がんと非甲状腺がんの実効線量比較から明らかに認められた。</p>
<p style="text-align: right;">大阪赤十字病院　山本</p>
<p>【参考文献】<br />
1.Suzuki S. Clinical Oncology  2016<br />
2.Suzuki S. Thyroid  2016<br />
3.Greenberg　医学がわかる疫学<br />
4.Rothman　ロスマンの疫学<br />
5.第20,21,22,23回福島県民健康調査会議(英語版を含む)<br />
6.Tsuda T. Epidemiology 2015</p>
]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>くすりのコラム　貧困と医療（NEWS No.492 p08）</title>
		<link>http://ebm-jp.com/2016/11/news-492-2016-08-p08/</link>
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		<pubDate>Wed, 23 Nov 2016 02:55:41 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[くすりのコラム]]></category>
		<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[492号2016年8月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[野宿生活が原因と思われる疥癬感染患者さんに「イベルメクチン」の処方がでました。野宿生活者の多いその地域では夏の暑い日や冬の寒い日に路上で亡くなる人もいます。担架で布に覆われた遺体が運ばれているところに出くわし、真っ黒に汚れた裸足の足が見えました。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という憲法がある日本の現実を初めて知りました。イベルメクチンは大村智氏のノーベル医学・生理学賞受賞理由となった駆虫薬です。イベルメクチンは失明に至るアフリカの風土病に劇的な効果をもたらしました。世界で年間3億以上の人たちが失明の危機から救われています。イベルメクチンは日本で腸管糞線虫や疥癬に保険適応があります。疥癬は、ヒゼンダニが皮膚に寄生して起こる皮膚感染症で激しい痒みを生じます。現在、高齢者施設などで集団発生することが多く、野宿生活者にも感染がみられます。通常の疥癬患者と皮膚の直接接触を避ければ感染の心配はありません。しかし、角化型疥癬患者では短期間個室管理とし、処置をする場合は感染予防に努める必要があります。 以前、勤めていた薬局で患者さんから「トラコーマってご存知？」と聞かれたことがあります。トラコーマは、クラミジア・トラコマティスという病原体が原因で起きる眼の感染症です。伝染性の急性、慢性の結膜炎を引き起こし適切な治療を受けなければ失明に至ります。2016年7月WHOファクトシートによると次のようにあります。トラコーマは、アフリカ、アジア、中南米、オーストラリア、中東の42か国の最貧困層や農村部に高く常在しています。トラコーマは、約190万人の視覚障害や失明の原因となっています。これは、世界の失明者の1.4%に当たります。 トラコーマについて聞いてきた患者さんはその地域が抱えてきた医療問題、差別の歴史について皆に知ってほしいと話してくれました。その地域では上下水道などのインフラの敷設が他の地域に比べかなり遅れ公衆衛生上の問題が長く存在してきました。差別が生む貧困や衛生行政の不実施が病気を生み、病気に対する無知が差別を助長してきました。あるとき、強面の患者さんが薬局の前で転倒し血と泥で汚れた足を洗ってあげました。その人は涙を流してお礼を言うので「痛いの？」と尋ねたところ、「汚い人間として扱われてきたので、こんなことをしてもらったことがない。嬉しくて泣いているのだ。」と言われました。いま同じことを野宿生活者にできるのかと自身に問いかけたとき、できるとは言えません。私は感謝されるような人間ではないのです。貧困ビジネスとして過剰診療・過剰投薬に莫大な公費が医療費として使われる一方で、社会のセーフティーネットから外れてしまった人たちには整った衛生環境すら与えられていません。支配者は民衆の連帯を断ち切り対立を煽ることで民衆を支配してきました。差別の元凶である分割支配構造は今も何も変わっていないのです。 薬剤師　小林]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>野宿生活が原因と思われる疥癬感染患者さんに「イベルメクチン」の処方がでました。<span id="more-3072"></span>野宿生活者の多いその地域では夏の暑い日や冬の寒い日に路上で亡くなる人もいます。担架で布に覆われた遺体が運ばれているところに出くわし、真っ黒に汚れた裸足の足が見えました。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という憲法がある日本の現実を初めて知りました。イベルメクチンは大村智氏のノーベル医学・生理学賞受賞理由となった駆虫薬です。イベルメクチンは失明に至るアフリカの風土病に劇的な効果をもたらしました。世界で年間3億以上の人たちが失明の危機から救われています。イベルメクチンは日本で腸管糞線虫や疥癬に保険適応があります。疥癬は、ヒゼンダニが皮膚に寄生して起こる皮膚感染症で激しい痒みを生じます。現在、高齢者施設などで集団発生することが多く、野宿生活者にも感染がみられます。通常の疥癬患者と皮膚の直接接触を避ければ感染の心配はありません。しかし、角化型疥癬患者では短期間個室管理とし、処置をする場合は感染予防に努める必要があります。</p>
<p>以前、勤めていた薬局で患者さんから「トラコーマってご存知？」と聞かれたことがあります。トラコーマは、クラミジア・トラコマティスという病原体が原因で起きる眼の感染症です。伝染性の急性、慢性の結膜炎を引き起こし適切な治療を受けなければ失明に至ります。2016年7月WHOファクトシートによると次のようにあります。トラコーマは、アフリカ、アジア、中南米、オーストラリア、中東の42か国の最貧困層や農村部に高く常在しています。トラコーマは、約190万人の視覚障害や失明の原因となっています。これは、世界の失明者の1.4%に当たります。</p>
<p>トラコーマについて聞いてきた患者さんはその地域が抱えてきた医療問題、差別の歴史について皆に知ってほしいと話してくれました。その地域では上下水道などのインフラの敷設が他の地域に比べかなり遅れ公衆衛生上の問題が長く存在してきました。差別が生む貧困や衛生行政の不実施が病気を生み、病気に対する無知が差別を助長してきました。あるとき、強面の患者さんが薬局の前で転倒し血と泥で汚れた足を洗ってあげました。その人は涙を流してお礼を言うので「痛いの？」と尋ねたところ、「汚い人間として扱われてきたので、こんなことをしてもらったことがない。嬉しくて泣いているのだ。」と言われました。いま同じことを野宿生活者にできるのかと自身に問いかけたとき、できるとは言えません。私は感謝されるような人間ではないのです。貧困ビジネスとして過剰診療・過剰投薬に莫大な公費が医療費として使われる一方で、社会のセーフティーネットから外れてしまった人たちには整った衛生環境すら与えられていません。支配者は民衆の連帯を断ち切り対立を煽ることで民衆を支配してきました。差別の元凶である分割支配構造は今も何も変わっていないのです。</p>
<p>薬剤師　小林</p>
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