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	<title>医療問題研究会 &#187; 547号2021年3月発行</title>
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	<description>エビデンスに基づく保健・医学・薬学（EBM）の実践的研究を！</description>
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		<title>福島原発事故10年、「放射能安全神話」と闘おう（NEWS No.547 p01）</title>
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		<pubDate>Tue, 25 May 2021 03:49:12 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[福島原発事故]]></category>
		<category><![CDATA[547号2021年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[東日本大震災・福島原発事故から10年が経過し、オリンピックを利用して原発事故を覆い隠そうとした意図はコロナの出現で思いどおりにはなっていませんが、今度はコロナのどさくさの中で原発推進を推し進めようとしています。「原発安全神話が崩壊した今、原発ムラは放射能安全神話で背水の陣を敷いて、これを流布していて、浸透している。」（2021年03月14日ZENKO集会での井戸川健一弁護士報告より） 私たちは、原発事故以後この方針に対する闘いが極めて重要と考えてきました。それらの勉強の成果を2011年11月と15年8月に出版し特に低線量被ばくの健康障害に焦点をおきまとめました。さらに、2016年には原発事故後に、周産期死亡が増加していることを証明し低線量被ばくが未来をつくる子どもや次の世代へ悪影響を及ぼしているとの論文、2019年には福島の甲状腺がんと放射線量の関連を明らかにした論文、2020年には低出生体重児の増加と被曝線量との関連を示した論文を発表しました。これらは、ドイツ在住の桂木さんの援助でドイツの生物統計学者でチェルノブイリなどの健康への影響など多くの研究をされてきたHagen　Scherb氏との共同研究なしでは不可能なことでした。また、今中哲二元京大原子炉実験所助教や岡山大学津田敏秀教授のなど多く方の助力を受けました。 ところで、原発推進派の国連科学委員会は、10周年を前にした3月9日、福島原発事故による「健康障害」は生じないだろうとの報告書を発表しました。これは、世界の原発推進勢力の願望をまとめたもので、これまでの放射線障害の研究を無視した、まさに非科学的報告書でした。 それでも、日テレは、「A decade after the Fukushima accident Radiation Linked increases in cancer rates not expected to be seen.」との英文を画面に移しながら、「cancer rates」を「健康」と代え「被ばくが直接の原因となる将来的な健康への影響はみられそうにない」とのテロップを流しました。この「国連非科学委員会」報告は、我々の3論文中の2論文を取り上げ誹謗中傷しています。私たちの論文が、原発ムラにとっては、健康障害を否定するうえでネックとなる数少ない科学的論文として映ったのだと思われます。（後者は、ランセット誌での論文でも紹介されています。P5） 私たちは単に研究だけではなく、多くの反原発を願う皆さんと連帯してきました。多くの集会で、先ほどの成果を紹介しました。さらに、大阪・京都での、福島県などからの避難者の皆さんとの連帯行動として、「避難者健康相談会」に参加してきました。主に子どもたちの健康相談でしたが、ご両親の交流や一部の健康相談もできました。健康相談の医師グループを代表した高松勇氏はその意義を、避難者の声に耳を傾け、必要な医療機関紹介などで支援し、健康被害の究明に役立つ、避難者間で共に歩む仲間と知り合える機会となったとまとめています。 そのご縁で福島敦子氏に10年間の闘いの思いを、今号にも寄稿していただけました。（p4） 私たちは、仕事も持ち、他の活動もしながらの大変限定された活動しかできなかったのですが、避難者の方々と接することで、以上の活動のエネルギーを得てきました。その点でも、避難者の皆さんに感謝しています。 今後とも、原発事故の被害者の方々・原発廃止を願う方々との連帯を通じて、放射能安全神話との闘いを続けてゆきましょう。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>東日本大震災・福島原発事故から10年が経過し、オリンピックを利用して原発事故を覆い隠そうとした意図はコロナの出現で思いどおりにはなっていませんが、今度はコロナのどさくさの中で原発推進を推し進めようとしています。<span id="more-4662"></span>「原発安全神話が崩壊した今、原発ムラは放射能安全神話で背水の陣を敷いて、これを流布していて、浸透している。」（2021年03月14日ZENKO集会での井戸川健一弁護士報告より）</p>
<p>私たちは、原発事故以後この方針に対する闘いが極めて重要と考えてきました。それらの勉強の成果を2011年11月と15年8月に出版し特に低線量被ばくの健康障害に焦点をおきまとめました。さらに、2016年には原発事故後に、周産期死亡が増加していることを証明し低線量被ばくが未来をつくる子どもや次の世代へ悪影響を及ぼしているとの論文、2019年には福島の甲状腺がんと放射線量の関連を明らかにした論文、2020年には低出生体重児の増加と被曝線量との関連を示した論文を発表しました。これらは、ドイツ在住の桂木さんの援助でドイツの生物統計学者でチェルノブイリなどの健康への影響など多くの研究をされてきたHagen　Scherb氏との共同研究なしでは不可能なことでした。また、今中哲二元京大原子炉実験所助教や岡山大学津田敏秀教授のなど多く方の助力を受けました。</p>
<p>ところで、原発推進派の国連科学委員会は、10周年を前にした3月9日、福島原発事故による「健康障害」は生じないだろうとの報告書を発表しました。これは、世界の原発推進勢力の願望をまとめたもので、これまでの放射線障害の研究を無視した、まさに非科学的報告書でした。</p>
<p>それでも、日テレは、「A decade after the Fukushima accident Radiation Linked increases in cancer rates not expected to be seen.」との英文を画面に移しながら、「cancer rates」を「健康」と代え「被ばくが直接の原因となる将来的な健康への影響はみられそうにない」とのテロップを流しました。この「国連非科学委員会」報告は、我々の3論文中の2論文を取り上げ誹謗中傷しています。私たちの論文が、原発ムラにとっては、健康障害を否定するうえでネックとなる数少ない科学的論文として映ったのだと思われます。（後者は、ランセット誌での論文でも紹介されています。P5）</p>
<p>私たちは単に研究だけではなく、多くの反原発を願う皆さんと連帯してきました。多くの集会で、先ほどの成果を紹介しました。さらに、大阪・京都での、福島県などからの避難者の皆さんとの連帯行動として、「避難者健康相談会」に参加してきました。主に子どもたちの健康相談でしたが、ご両親の交流や一部の健康相談もできました。健康相談の医師グループを代表した高松勇氏はその意義を、避難者の声に耳を傾け、必要な医療機関紹介などで支援し、健康被害の究明に役立つ、避難者間で共に歩む仲間と知り合える機会となったとまとめています。</p>
<p>そのご縁で福島敦子氏に10年間の闘いの思いを、今号にも寄稿していただけました。（p4）</p>
<p>私たちは、仕事も持ち、他の活動もしながらの大変限定された活動しかできなかったのですが、避難者の方々と接することで、以上の活動のエネルギーを得てきました。その点でも、避難者の皆さんに感謝しています。</p>
<p>今後とも、原発事故の被害者の方々・原発廃止を願う方々との連帯を通じて、放射能安全神話との闘いを続けてゆきましょう。</p>
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		<title>臨床薬理研・懇話会2021年3月例会報告（NEWS No.547 p02）</title>
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		<pubDate>Tue, 25 May 2021 03:48:58 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[547号2021年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[臨床薬理研・懇話会2021年3月例会報告 シリーズ「臨床薬理論文を批判的に読む」第65回 著名医学ジャーナル臨床論文が害作用を正しく伝えず省略している プレスクリール・インターナショナル誌2021年1月号が「腫瘍学臨床試験の害作用と結果: 誤りを導く言語表現と試験結果の省略」の記事を掲載しています。このもととなっている臨床論文はBMJ onlineに掲載された名古屋大学病院・愛知がんセンターの論文です。インパクトファクターの高いNew England Journal Medicine, Lancet. Lancet Oncology, JAMA, Journal of Clinical Oncologyの5誌に2016年に掲載されたすべての抗がん剤第2,3相ランダム化臨床試験について、抗がん剤の害がどのように報告されているかを調べた結果です。今回はこの論文をとりあげます。First author の Bishal Gyawali氏は学部卒業研修生です。 Gyawali B, Shimokata T, Honda K, and Ando Y. Reporting harms more transparently in trials of cancer drugs.  BMJ 2018; 363: k4383 （抗がん剤の臨床試験における害の報告をもっとわかりやすく） &#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;...]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><strong>臨床薬理研・懇話会2021年3月例会報告<br />
シリーズ「臨床薬理論文を批判的に読む」第65回<br />
著名医学ジャーナル臨床論文が害作用を正しく伝えず省略している</strong><span id="more-4664"></span></p>
<p>プレスクリール・インターナショナル誌2021年1月号が「腫瘍学臨床試験の害作用と結果: 誤りを導く言語表現と試験結果の省略」の記事を掲載しています。このもととなっている臨床論文はBMJ onlineに掲載された名古屋大学病院・愛知がんセンターの論文です。インパクトファクターの高いNew England Journal Medicine, Lancet. Lancet Oncology, JAMA, Journal of Clinical Oncologyの5誌に2016年に掲載されたすべての抗がん剤第2,3相ランダム化臨床試験について、抗がん剤の害がどのように報告されているかを調べた結果です。今回はこの論文をとりあげます。First author の Bishal Gyawali氏は学部卒業研修生です。</p>
<p>Gyawali B, Shimokata T, Honda K, and Ando Y.<br />
Reporting harms more transparently in trials of cancer drugs.  BMJ 2018; 363: k4383<br />
（抗がん剤の臨床試験における害の報告をもっとわかりやすく）</p>
<p>&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;</p>
<p>122の臨床試験が抽出され、そのうち53（43%）が害を軽視する用語を含んでいました。53のうち、14が重症（severe）の有害事象のデータを報告しておらず、22が重篤（serious）の有害事象のデータを報告しておらず、2つが死亡のデータを報告していませんでした。これらは抗がん剤の臨床試験で共通しており、害を隠す用語が用いられ、その根拠を示すデータを報告していませんでした。データを報告した臨床試験では、重症の有害事象の割合が77%（30/39）の臨床試験において介入群（新薬群）で高く、重篤の有害事象の割合が84%（26/31）、死亡の有害事象の割合が66%（34/51）で介入群において高かったのです。</p>
<p>例示すると、1）乳がん治療剤 ribociclib の臨床報告論文は discussion で、「ほとんどの患者は受容される有害事象プロファイルであった」と述べています。しかし実際には介入群は対照群と比較して2倍以上の患者が重症の（ grade 3ないしそれ以上）の有害事象を経験し（271/334 対 108/330）、重篤な治療関連の有害事象（死亡に至る、命を脅かす状況、入院または入院延長、身体障害または永久的な障害、先天的異常ないし先天性欠損、または他のアウトカムのひとつを防止する医学的ないし外科的介入を要するもの）が5倍近くも多いのです（25 対 5）。2）リポソームイリノテカンの膵がん臨床試験論文は、結論のパラグラフで「管理ができてほとんどが可逆的な安全性プロファイルであった」と述べています。実際は対照群では死亡例がないのに、新薬群は5例が死亡しています。3）前立腺がん患者でのtasquinimodの臨床試験は「忍容性は全体的に良好であった」と報告しています。しかし実際は、対照群と比較した有害事象が、重症は42.8%対33.6%、重篤は36.0%対23.6%でいずれも介入群が多いのです。</p>
<p>これら3つの研究はすべてトップ医学ジャーナルに掲載されています。忙しい読者たちは、述べられていることをそのまま受け取るでしょう。しかし、実際の有害事象のデータをみればそうした良いことではありません。</p>
<p>そして重要なことは、これらの3研究は見本としてあげたに過ぎないことです。多くの抗がん剤新薬の有害事象プロファイルが害をあいまいにする同様の日常的で主観的な用語で隠されているのでないかと予想されます。そのためわれわれは抗がん剤の臨床試験がどれ位の頻度で軽視して報告されているかを調べたのが上記の結果です。</p>
<p>有害事象の軽視には、耐容できる（tolerable）、好ましい（favourable）､受け入れられる（acceptable）、管理できる（manageable）、引き合う（feasible）、安全な（safe）の用語が用いられます。</p>
<p>透明性が重要なのは、とりわけ抗がん剤は通常その高価な価格に見合うベネフィットを提供できていないと批判されており、害をあいまいにするのは新薬が良好なリスクベネフィットのプロファイルをもつことを暗示できるからです。</p>
<p>主観的な用語は抄録、結論、またはディスカッション（またはLancetないしLancet OncologyのResearch in context box）でみられます。これらはほぼ間違いなく読者が論文を読む際に何よりも注目する部分です。</p>
<p>われわれはランダム化臨床試験に焦点を当てて述べましたが、同様のことは第1-2相の非ランダム化試験の学会発表でも同様です。またこれらのことは抗がん剤にかかわらず多少とも他の分野でもみられることです。</p>
<p>結論と抄録における毒性の記述の改善に取り組むために、2つの改善策を提案します。ひとつは患者に治療の受容性（acceptability）について尋ねることです。いまひとつは生の質（quality of life: QOL）の報告です。抗がん剤にとって生の質（QOL）の情報は害の間接的な指標であり、同時に臨床的ベネフィットの重要な計測（measure）でもあります。</p>
<p>医学ジャーナルは抗がん剤臨床試験での害の報告を改善する助けができます。とりわけ抄録と結論では主観的な用語の使用を止めさせねばなりません。編集者とレビュアーは害データの詳細を要求すべきです。そして害についてあいまいな記述に換えて数と出現の頻度（incidence）を報告するよう著者に促すべきです。読者として、医師と患者は包括した用語を信ずるのでなく表に示された毒性を注視すべきです。</p>
<p>どの抗がん剤の正しいリスクベネフィット評価も実際の害と有効性データに基づいて行う必要があり、安全、耐容できる、耐容できないといった一般的なコンセプトに基づいて行うべきではありません。</p>
<p>&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;</p>
<p>当日のディスカッションでは、21世紀になってかなり経過し2021年を迎えているが、臨床試験データの公開とその伝達、実地臨床に及ぼす影響は、タミフルでの成果はあるものの、この論文が指摘するとおりで遅れた状況があまり変わっておらず、多くの課題を残していることが確認されました。</p>
<p>ここで著者たちが122の論文を調べて具体的に数字をあげて報告していることは評価され、インパクトがあります。今回は抄録、結論などの記載と論文・サプリメントなどに示されたデータとの矛盾ですが、これらとオリジナルデータを突き合わせるとより問題点が大きいと考えられます。</p>
<p>オリジナルのデータが公開されないと医薬品の評価はできないのです。最近のコロナ禍のなかで余計ひどくなっているのではとの指摘も出されました。</p>
<p>なお、この論文での記載について、5段階のグレード分類（1-5、4が命を脅かす、5が死亡）と別の分類を混同している面があり、注意して読む必要があるとの指摘がありました。</p>
<p>薬剤師　寺岡章雄</p>
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		<item>
		<title>原発事故発災から10年。思いはせること（NEWS No.547 p04）</title>
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		<pubDate>Tue, 25 May 2021 03:48:42 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[福島原発事故]]></category>
		<category><![CDATA[547号2021年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[今年の3月で原発事故発災から10年を迎えます。原発事故の後処理は、福島第1原子力発電所（イチエフ）内外ともに進んでいるとはいえません。最近頻発する福島県沖周辺での地震に、地元の方々が10年前の悪夢を思い出し「生きた心地がしない」と言いました。全国では30もの訴訟団が、国と東電（あるいは東電のみ）を相手取り提訴しています。避難者が住まう無償提供住宅補償は、「避難者は自立しないといけない」という国と福島県からの見当違いな理由により、2015年に打ち切られました。住宅確保が困難な首都圏では、公営住宅の抽選に漏れるなど正当な理由があり住宅を出ていけない避難者に対し福島県が提訴するという国際人権法を全く無視した人権の蹂躙が続いています。この10年の原発事故が落とす影を記したいと思います。 私が福島県南相馬市から京都へ小学生の娘2人と一緒に避難したのは、同年4月2日の事です。翌日の京都市内では「原発止めろ」のデモ行進が行われていました。 震災時の東日本は、コンビニやガソリンスタンドに長蛇の列ができるほど物不足の状態でした。イチエフで次々と爆発が起きるたびに降り落ちる大量の放射性物質のことは、情報があまりにも少なく、福島市方面へ延びるように飛散していることなど想像するも難しい状況でした。そうして多くの人々は寒空の下、被ばくしてしまいました。 京都入りした私たちは、避難所いた時に受け取った「被ばくスクリーニング検査済証」を提示しました。これは、外部被ばくはしていないといういわば「通行手形」でした。 つい最近、黒い雨裁判の一審判決が原告の全面勝訴で話題となりました。2015年に提訴したみなさんは、原発事故被害者に心寄せ、提訴にふみきったといわれています。放射性物質による内部被ばくの影響を考慮した判断が正しく認定されたのは本当に画期的で、これからの「核被害」を考える上で、大きな一歩を進めたものです。 さて、私は「大飯原発差止京都訴訟団」の世話人、「原発賠償京都訴訟団」の原告団共同代表をしています。裁判闘争において大切なことは、「民意に訴える」ことで、原告団、弁護団、支援者の強い協力体制があり傍聴席が埋め尽くされることで勝訴へ近づいていくと確信しています。最近では、東電の元トップに対する東電刑事裁判や東電株主代表訴訟で使った証拠を賠償訴訟や原発差止訴訟で使用するなど横のつながりが被告を追い詰めることに功を奏しています。 「原発賠償京都訴訟原告団」では、2019年夏に原告の陳述書の分析とストレスアンケート調査が実施され、結果が控訴審の証拠として提出されました。原告たちは原発事故後、地元の食材や水道水を使う不安があり（92.5%）、家の中の換気扇を止めたり窓を開けないなどの自衛策へのストレス（77.4%）を感じまた、自治体の発表する線量より高く（74.3%;n=35）、鼻血が出るなどの体調の変化もあり（鼻血は41.2%;n=34）、避難元の放射線量は子どもには安全でないと感じ（77.1%;n=35）、金銭的な負担に対する葛藤や（92.7%）、住み慣れた家を離れる不安はあったが（80.0%）避難することを決意したことがわかりました。子どもたちの異変はさらにひどく、体調変化があったのは58.5%、79.7%に放射能の影響と考えられる症状がみられています。 全国には4万人以上いるとされる避難者。健康面のサポートは喫緊の課題であり、原発事故の原因究明、責任と賠償の追求と同時に施策の転換を国へ求めることが重要です。今後もどうか応援のほどよろしくお願いします。 福島敦子]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>今年の3月で原発事故発災から10年を迎えます。原発事故の後処理は、福島第1原子力発電所（イチエフ）内外ともに進んでいるとはいえません。<span id="more-4666"></span>最近頻発する福島県沖周辺での地震に、地元の方々が10年前の悪夢を思い出し「生きた心地がしない」と言いました。全国では30もの訴訟団が、国と東電（あるいは東電のみ）を相手取り提訴しています。避難者が住まう無償提供住宅補償は、「避難者は自立しないといけない」という国と福島県からの見当違いな理由により、2015年に打ち切られました。住宅確保が困難な首都圏では、公営住宅の抽選に漏れるなど正当な理由があり住宅を出ていけない避難者に対し福島県が提訴するという国際人権法を全く無視した人権の蹂躙が続いています。この10年の原発事故が落とす影を記したいと思います。</p>
<p>私が福島県南相馬市から京都へ小学生の娘2人と一緒に避難したのは、同年4月2日の事です。翌日の京都市内では「原発止めろ」のデモ行進が行われていました。</p>
<p>震災時の東日本は、コンビニやガソリンスタンドに長蛇の列ができるほど物不足の状態でした。イチエフで次々と爆発が起きるたびに降り落ちる大量の放射性物質のことは、情報があまりにも少なく、福島市方面へ延びるように飛散していることなど想像するも難しい状況でした。そうして多くの人々は寒空の下、被ばくしてしまいました。</p>
<p>京都入りした私たちは、避難所いた時に受け取った「被ばくスクリーニング検査済証」を提示しました。これは、外部被ばくはしていないといういわば「通行手形」でした。</p>
<p>つい最近、黒い雨裁判の一審判決が原告の全面勝訴で話題となりました。2015年に提訴したみなさんは、原発事故被害者に心寄せ、提訴にふみきったといわれています。放射性物質による内部被ばくの影響を考慮した判断が正しく認定されたのは本当に画期的で、これからの「核被害」を考える上で、大きな一歩を進めたものです。</p>
<p>さて、私は「大飯原発差止京都訴訟団」の世話人、「原発賠償京都訴訟団」の原告団共同代表をしています。裁判闘争において大切なことは、「民意に訴える」ことで、原告団、弁護団、支援者の強い協力体制があり傍聴席が埋め尽くされることで勝訴へ近づいていくと確信しています。最近では、東電の元トップに対する東電刑事裁判や東電株主代表訴訟で使った証拠を賠償訴訟や原発差止訴訟で使用するなど横のつながりが被告を追い詰めることに功を奏しています。</p>
<p>「原発賠償京都訴訟原告団」では、2019年夏に原告の陳述書の分析とストレスアンケート調査が実施され、結果が控訴審の証拠として提出されました。原告たちは原発事故後、地元の食材や水道水を使う不安があり（92.5%）、家の中の換気扇を止めたり窓を開けないなどの自衛策へのストレス（77.4%）を感じまた、自治体の発表する線量より高く（74.3%;n=35）、鼻血が出るなどの体調の変化もあり（鼻血は41.2%;n=34）、避難元の放射線量は子どもには安全でないと感じ（77.1%;n=35）、金銭的な負担に対する葛藤や（92.7%）、住み慣れた家を離れる不安はあったが（80.0%）避難することを決意したことがわかりました。子どもたちの異変はさらにひどく、体調変化があったのは58.5%、79.7%に放射能の影響と考えられる症状がみられています。</p>
<p>全国には4万人以上いるとされる避難者。健康面のサポートは喫緊の課題であり、原発事故の原因究明、責任と賠償の追求と同時に施策の転換を国へ求めることが重要です。今後もどうか応援のほどよろしくお願いします。</p>
<p style="text-align: right;">福島敦子</p>
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		<title>福島甲状腺がんについてのメディシン論文がランセットに紹介（NEWS No.547 p05）</title>
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		<pubDate>Tue, 25 May 2021 03:48:27 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[福島原発事故]]></category>
		<category><![CDATA[547号2021年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[2021年3月のランセット誌のWorld Report欄に医問研ニュースの1月号で紹介した福島の放射線被ばく甲状腺がんについての私たちの手になる2019年のメディシン論文が紹介されました。 ランセット誌は世界的に最も有名な医学雑誌の一つです。週一回発行され、論文と討論、論説、とともにWorld　Report欄で構成されています。 今回、私たちを紹介するレポートを書いたJustin McCuryという方は、これまでも東北大震災、福島原発事故について、10年間で何本かのレポートを書いています。 今回のレポートは「2011年東北大震災、10年後」というテーマで2ページの記事が載っています。 記事を概略します。「「被災地の生活は戻ったが津波被災者や原発被災者の健康影響の把握には何年もかかるだろう。核メルトダウンで16万人が原発周囲から逃げるように命令され当初は短期避難と信じられたが何年も続いている。福島医大の坪倉正治氏は「健康に影響した最大の危険因子は避難だった」と述べた。政府は汚染表土の除染に2,9兆円かけ、2015年避難命令の解除を開始したが、現在でも放射線レベルが年間20mSvを超える地域があり立ち入り禁止のままである。これはICRPが許容する最大被ばくだ。国は福島の住民の許容レベルを上げ、1mSvは長期目標のままと主張している。 2011年から5年間で、事故当時18歳以下の甲状腺がんは187例、2016年4月から18年3月最新ラウンドでは217000名中15例が確認された。 IAEA、UNは2015年、子どもたちがどれだけの放射線にさらされたかは不明だが福島の子どもたちの甲状腺がんの増加はありそうにないと述べた。またロンドンインペリアルカレッジのジェリートーマスは「福島後の甲状腺放射線量は、チェルノブイリ後の約100分の1」「子どもたちに甲状腺がんの増加がみられる可能性は非常に低い」と述べた。 しかし、グリーンピースドイツの上級専門家ジョーンバーニー、環境放射線の専門家イアンフェアリーは、危機の初期からの包括的暴露データの欠如を指摘しIAEAの結論に異議を唱えている。バーニーとフェアリーはYamamotoらの2019年の論文から「福島原発事故による放射能汚染は、小児および青年の甲状腺がん検出率と正の相関があります。 これは、原発事故とその後の甲状腺がんの発生との因果関係の証拠を提供する以前の研究を裏付けています」と引用し、バーニーはまた「現在の甲状腺率がどの程度放射線被曝によるものであるかは証明されていません。しかし、線量データを含む不確実性を考えると、ヨウ素曝露と甲状腺がんの発生率が高いこととの関連を却下することは信頼できません。 当局は、避難や避難から生じる他の身体的および精神的健康問題のスクリーニングと優先順位付けを継続し、帰省した人々をみまもる必要があります。」と引用している。 最後に東京目白大学の重村敦教授の福島の自殺率の高さと差別に言及し」」McCury氏のレポートは終わっています。 筆者McCury氏の意図は明らかと思われます。今なお解決に程遠い福島の現実を世界の医療者に向け発信したことだと考えています。また我田引水かもしれませんが、福島の放射線量は低かったという国際的デマの中で、私たちの論文を紹介したことも含めて、多発している福島の小児甲状腺がんは放射線被ばくに起因するということついて世界に知らせることだと思われました。 一方で、2ページという、ランセット誌の中では原著論文を除けば大きく誌面を割いているWorld Report欄でのこのような文章の掲載を許可し、文頭にクリックすれば我々の原著論文だけにたどり着けるよう采配したランセット誌編集部にも敬意を表したいと思います。 この欄を紹介することも運動に力を与えるものと考えています。 大手前整肢学園　山本]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>2021年3月のランセット誌のWorld Report欄に医問研ニュースの1月号で紹介した福島の放射線被ばく甲状腺がんについての私たちの手になる2019年のメディシン論文が紹介されました。<span id="more-4669"></span></p>
<p>ランセット誌は世界的に最も有名な医学雑誌の一つです。週一回発行され、論文と討論、論説、とともにWorld　Report欄で構成されています。</p>
<p>今回、私たちを紹介するレポートを書いたJustin McCuryという方は、これまでも東北大震災、福島原発事故について、10年間で何本かのレポートを書いています。</p>
<p>今回のレポートは「2011年東北大震災、10年後」というテーマで2ページの記事が載っています。</p>
<p>記事を概略します。「「被災地の生活は戻ったが津波被災者や原発被災者の健康影響の把握には何年もかかるだろう。核メルトダウンで16万人が原発周囲から逃げるように命令され当初は短期避難と信じられたが何年も続いている。福島医大の坪倉正治氏は「健康に影響した最大の危険因子は避難だった」と述べた。政府は汚染表土の除染に2,9兆円かけ、2015年避難命令の解除を開始したが、現在でも放射線レベルが年間20mSvを超える地域があり立ち入り禁止のままである。これはICRPが許容する最大被ばくだ。国は福島の住民の許容レベルを上げ、1mSvは長期目標のままと主張している。</p>
<p>2011年から5年間で、事故当時18歳以下の甲状腺がんは187例、2016年4月から18年3月最新ラウンドでは217000名中15例が確認された。</p>
<p>IAEA、UNは2015年、子どもたちがどれだけの放射線にさらされたかは不明だが福島の子どもたちの甲状腺がんの増加はありそうにないと述べた。またロンドンインペリアルカレッジのジェリートーマスは「福島後の甲状腺放射線量は、チェルノブイリ後の約100分の1」「子どもたちに甲状腺がんの増加がみられる可能性は非常に低い」と述べた。</p>
<p>しかし、グリーンピースドイツの上級専門家ジョーンバーニー、環境放射線の専門家イアンフェアリーは、危機の初期からの包括的暴露データの欠如を指摘しIAEAの結論に異議を唱えている。バーニーとフェアリーはYamamotoらの2019年の論文から「福島原発事故による放射能汚染は、小児および青年の甲状腺がん検出率と正の相関があります。 これは、原発事故とその後の甲状腺がんの発生との因果関係の証拠を提供する以前の研究を裏付けています」と引用し、バーニーはまた「現在の甲状腺率がどの程度放射線被曝によるものであるかは証明されていません。しかし、線量データを含む不確実性を考えると、ヨウ素曝露と甲状腺がんの発生率が高いこととの関連を却下することは信頼できません。 当局は、避難や避難から生じる他の身体的および精神的健康問題のスクリーニングと優先順位付けを継続し、帰省した人々をみまもる必要があります。」と引用している。</p>
<p>最後に東京目白大学の重村敦教授の福島の自殺率の高さと差別に言及し」」McCury氏のレポートは終わっています。</p>
<p>筆者McCury氏の意図は明らかと思われます。今なお解決に程遠い福島の現実を世界の医療者に向け発信したことだと考えています。また我田引水かもしれませんが、福島の放射線量は低かったという国際的デマの中で、私たちの論文を紹介したことも含めて、多発している福島の小児甲状腺がんは放射線被ばくに起因するということついて世界に知らせることだと思われました。</p>
<p>一方で、2ページという、ランセット誌の中では原著論文を除けば大きく誌面を割いているWorld Report欄でのこのような文章の掲載を許可し、文頭にクリックすれば我々の原著論文だけにたどり着けるよう采配したランセット誌編集部にも敬意を表したいと思います。</p>
<p>この欄を紹介することも運動に力を与えるものと考えています。</p>
<p style="text-align: right;">大手前整肢学園　山本</p>
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		<item>
		<title>国連科学委員会2020年報告　周産期死亡率増論文などへの全くの非科学的批判（NEWS No.547 p06）</title>
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		<pubDate>Tue, 25 May 2021 03:47:54 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[福島原発事故]]></category>
		<category><![CDATA[547号2021年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[3月9日、国連科学委員会UNSCEARは、福島原発事故10周年に当たり、2020年報告1）を発表しました。その中で、Hagen Scherb氏と私たちの周産期死亡2）と甲状腺がん3）が増加したとの2つ論文を紹介しています。チェルノブイリ事故後の健康障害を甲状腺がんしか認めなかった、非科学的とはいえ「国連」の名を冠した委員会が、低線量被ばくの障害性を明確に証明した我々の3論文2）3）4）のうち2論文を、福島原発事故10年をまとめる文章に引用したわけです。これは、原発推進派にとって、世界の国・学者や市民が我々の研究により、福島原発事故の健康破壊を知ることを恐れているものと考えらえます。 今回は、2020報告書でのP94 ;231項’various adverse pregnancy outcome’「様々な有害な妊娠結果」に関して報告します。なお、甲状腺がんに関しては長文の批判がされていますので、詳しく検討した後に報告します。 周産期死亡が増加したという我々への批判がこの項目の中心であり、全体の3分の2を占めています。我々2）とコルブレイン氏の論文5）を紹介して、周産期死亡がそれぞれ15%と10%増えていると報告しているとしています。しかし、後者は「非放射線要因が原因である可能性があることを認めました。」などと、その意義を低めようとしています。両論文の関係については、後者の論文に対する我々の「Comment」6）で2つの論文は対立するものでなく、原発事故以後に周産期死亡が増加し続けていることを証明し合うものであることを示しています。 結局、国連科学委員会は我々の論文に対する具体的な批判点は何も明確にすることができず、「周産期死亡率の10-15%という大幅な増加は、推定実効線量が0.2から4.3mSvしかないことを考えると、もっともらしいとは見なせません。」というドグマに逃げ込んでいます。 この見解は、これまでの世界の研究が示している低線量被曝の障害性を全く無視して、「低線量では障害が出るわけがない」とした上で、低線量被曝で出現した具体的な害を否定する非科学的論理です。我々の論文は「日本政府が作り、長年公表しているデータ」を基に、厳密な統計的手法で周産期死亡が増加していることを証明しているが、それを論破できないための手段です。 また、同報告書は、「死産または早産の場合、発生率が上昇することはありませんでした。」とし、その根拠として2010年8月—11年7月に母子手帳を交付された福島県の妊婦へのアンケート調査結果を報告しFujimoriらの論文7）を引用しています。 しかし、我々は昨年3月掲載の「低出産体重児LBW」の論文4）で、Fujimori論文の疫学・統計学の基本的な間違いを以下の様に指摘しています。 「この研究では、福島県の中西部の5つの地域と比較して、いわき地域と相双地域の2つの最東部地域を合わせたLBW比率の増加が記録されている:（その増加の）オッヅ比OR は1.163、p値0.0723（で後者の方がLBWの比率が高い傾向だった。）この観察結果は、いわき地域と相双地域の死産率がOR 1.923、p値0.1321と増加していたことによりさらに裏付けられています。この研究のアンケ—ト回収率は60%未満であり、より長い期間のより大きな集団で調査すれば統計的有意な結果が得られる可能性があります。」要するに、この論文は増加を否定するものでなく、もう少し調査対象者を多くすれば、むしろ「LBW」も「死産率」も統計的有意な増加を示唆するデータなのです。国連科学委員会はこんな初歩的なごまかしで健康障害を否定するのです。 また、Fujimoriら7）は全福島の先天性形態異常は2013年で8672中236で2.72%（95%信頼区間2.38-3.06%）とのデータを明示しています。同論文によれば、全日本の2010年のその率は2.31%ですから、福島県では全国平均より高いことになり、決して増加を否定するものではありません。 低出生児体重児が増加していることは、前述のように、すでに昨年3月に発行された我々の低出生体重児の論文4）で証明していますが、それを無視しています。前述したように、その論文は、UNSCEARが増加を否定する根拠にあげているFujimoriらの論文7）に対する明確な批判が載っているからかもしれません。停留睾丸に関しては、村瀬香氏の停留睾丸が原発事故後に増加したという論文8）を否定するために、福島医科大学の雑誌に23pにもの論評9）を載せ、それを根拠に否定しています。 周産期死亡・低出生児は原発事故で増加しており、その他の妊娠・出産に関連する異常が増加した可能性が大だと考えられ、それらを明確にする多くの分析が待たれます。 はやし小児科　林 〈文献〉 1）http://www.unscear.org/unscear/en/publications.html. 2）https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5044925/ 3）https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6750239/ 4）https://doi.org/10.1186/s12940-020-00630-w 5）Perinatal mortality after the Fukushima accident: a spatiotemporal analysis &#8211; IOPscience 6）J.Radiol.Prot.39（2019）647-649 7）https://www.jstage.jst.go.jp/article/fms/60/1/60_2014-9/_article 8）https://www.goldjournal.net/article/S0090-4295(18)30450-3/fulltext 9）Fukushima J. Med.Sci vol.65, Np3 2019]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>3月9日、国連科学委員会UNSCEARは、福島原発事故10周年に当たり、2020年報告<strong>1）</strong>を発表しました。<span id="more-4671"></span>その中で、Hagen Scherb氏と私たちの周産期死亡2）と甲状腺がん3）が増加したとの2つ論文を紹介しています。チェルノブイリ事故後の健康障害を甲状腺がんしか認めなかった、非科学的とはいえ「国連」の名を冠した委員会が、低線量被ばくの障害性を明確に証明した我々の3論文<strong>2）3）4）</strong>のうち2論文を、福島原発事故10年をまとめる文章に引用したわけです。これは、原発推進派にとって、世界の国・学者や市民が我々の研究により、福島原発事故の健康破壊を知ることを恐れているものと考えらえます。</p>
<p>今回は、2020報告書でのP94 ;231項’various adverse pregnancy outcome’「様々な有害な妊娠結果」に関して報告します。なお、甲状腺がんに関しては長文の批判がされていますので、詳しく検討した後に報告します。</p>
<p>周産期死亡が増加したという我々への批判がこの項目の中心であり、全体の3分の2を占めています。我々<strong>2）</strong>とコルブレイン氏の論文5）を紹介して、周産期死亡がそれぞれ15%と10%増えていると報告しているとしています。しかし、後者は「非放射線要因が原因である可能性があることを認めました。」などと、その意義を低めようとしています。両論文の関係については、後者の論文に対する我々の「Comment」<strong>6）</strong>で2つの論文は対立するものでなく、原発事故以後に周産期死亡が増加し続けていることを証明し合うものであることを示しています。</p>
<p>結局、国連科学委員会は我々の論文に対する具体的な批判点は何も明確にすることができず、「周産期死亡率の10-15%という大幅な増加は、推定実効線量が0.2から4.3mSvしかないことを考えると、もっともらしいとは見なせません。」というドグマに逃げ込んでいます。</p>
<p>この見解は、これまでの世界の研究が示している低線量被曝の障害性を全く無視して、「低線量では障害が出るわけがない」とした上で、低線量被曝で出現した具体的な害を否定する非科学的論理です。我々の論文は「日本政府が作り、長年公表しているデータ」を基に、厳密な統計的手法で周産期死亡が増加していることを証明しているが、それを論破できないための手段です。</p>
<p>また、同報告書は、「死産または早産の場合、発生率が上昇することはありませんでした。」とし、その根拠として2010年8月—11年7月に母子手帳を交付された福島県の妊婦へのアンケート調査結果を報告しFujimoriらの論文7）を引用しています。</p>
<p>しかし、我々は昨年3月掲載の「低出産体重児LBW」の論文4）で、Fujimori論文の疫学・統計学の基本的な間違いを以下の様に指摘しています。</p>
<p>「この研究では、福島県の中西部の5つの地域と比較して、いわき地域と相双地域の2つの最東部地域を合わせたLBW比率の増加が記録されている:（その増加の）オッヅ比OR は1.163、p値0.0723（で後者の方がLBWの比率が高い傾向だった。）この観察結果は、いわき地域と相双地域の死産率がOR 1.923、p値0.1321と増加していたことによりさらに裏付けられています。この研究のアンケ—ト回収率は60%未満であり、より長い期間のより大きな集団で調査すれば統計的有意な結果が得られる可能性があります。」要するに、この論文は増加を否定するものでなく、もう少し調査対象者を多くすれば、むしろ「LBW」も「死産率」も統計的有意な増加を示唆するデータなのです。国連科学委員会はこんな初歩的なごまかしで健康障害を否定するのです。</p>
<p>また、Fujimoriら<strong>7）</strong>は全福島の先天性形態異常は2013年で8672中236で2.72%（95%信頼区間2.38-3.06%）とのデータを明示しています。同論文によれば、全日本の2010年のその率は2.31%ですから、福島県では全国平均より高いことになり、決して増加を否定するものではありません。</p>
<p>低出生児体重児が増加していることは、前述のように、すでに昨年3月に発行された我々の低出生体重児の論文<strong>4）</strong>で証明していますが、それを無視しています。前述したように、その論文は、UNSCEARが増加を否定する根拠にあげているFujimoriらの論文<strong>7）</strong>に対する明確な批判が載っているからかもしれません。停留睾丸に関しては、村瀬香氏の停留睾丸が原発事故後に増加したという論文<strong>8）</strong>を否定するために、福島医科大学の雑誌に23pにもの論評9）を載せ、それを根拠に否定しています。</p>
<p>周産期死亡・低出生児は原発事故で増加しており、その他の妊娠・出産に関連する異常が増加した可能性が大だと考えられ、それらを明確にする多くの分析が待たれます。</p>
<p style="text-align: right;">はやし小児科　林</p>
<p>〈文献〉</p>
<p>1）<a href="http://www.unscear.org/unscear/en/publications.html">http://www.unscear.org/unscear/en/publications.html</a>.<br />
2）<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5044925/">https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5044925/</a><br />
3）<a href="https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6750239/">https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6750239/</a><br />
4）<a href="https://doi.org/10.1186/s12940-020-00630-w">https://doi.org/10.1186/s12940-020-00630-w</a><br />
5）Perinatal mortality after the Fukushima accident: a spatiotemporal analysis &#8211; IOPscience<br />
6）J.Radiol.Prot.39（2019）647-649<br />
7）<a href="https://www.jstage.jst.go.jp/article/fms/60/1/60_2014-9/_article">https://www.jstage.jst.go.jp/article/fms/60/1/60_2014-9/_article</a><br />
8）<a href="https://www.goldjournal.net/article/S0090-4295(18)30450-3/fulltext">https://www.goldjournal.net/article/S0090-4295(18)30450-3/fulltext</a><br />
9）Fukushima J. Med.Sci vol.65, Np3 2019</p>
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		<title>緊急事態宣言はCOVID-19感染者をへらしたか？（NEWS No.547 p07）</title>
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		<pubDate>Tue, 25 May 2021 03:47:29 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[新型コロナウイルス感染症]]></category>
		<category><![CDATA[547号2021年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[1月7日緊急事態宣言が発令されて、3月21日まで継続されました。 今回は緊急事態宣言が「感染者数」の抑制に寄与し多かどうかの検討をしました。 NHK報道では、東京の「検査で確定された」人数の推移が示されました。上図は、NHK報道です。棒グラフは東京の「検査で確定された」人数の推移です。この図をみますと、棒グラスのピークは1月7-8日にあり、東京の緊急事態宣言が急速に感染者を減少させたかのように見えます。しかし、これはNHKが巷で多くの市民が感じている錯覚を京子にするためのだましです。インフルエンザなどに関してもNHKは以前から信用できません。 ところで、緊急事態宣言により、3密などが改善し感染が抑制できたかどうかはこのグラフと宣言の関連を見てもわかりません。下図は感染した日と診断が確定され発表された日の関係です。感染した日から平均5日程して、症状が出て検査結果が出るのに3日程かかります。（今回の波の場合;4月では約14日だった）感染した日は感染確定から8日程度前になるのです。 上図の棒グラフは、政府の諮問機関アドバイサリーレポートの中にあった図を使って、緊急事態宣言との関係をしめしたものです。棒グラフは、1都3県の、感染確定した日でなく、「感染した日」の人数の推移を現しています。そのピークは得ん末年始であり、1都2県の宣言日の1月7日には既に感染人数は半分近くに減っていました。さらに、11道府県も宣言された時はさらに減少していました。（腺グラフは「実効再生者数」） 大阪・兵庫・京都でも宣言のずいぶん前に減っていたことになります。 緊急事態宣言を出した時点では既に、4月の場合も、同じでした。（本誌No.537） 以上は、宣言が話題になるほどの感染増が、宣言とは別の、市民の感染予防策をとることを自らが決めて行動していることを示しています。 緊急事態宣言のような強制でなくても、政府が、本当のことを正しく国民に伝えれば、感染を減らすことができること示しているようにも思えます。アドバイサリーレポートの「実行再生産者数」と、同宣言との関連を示す図もありますので、 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000748321.pdf をご覧ください。 はやし小児科　　林]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>1月7日緊急事態宣言が発令されて、3月21日まで継続されました。<span id="more-4676"></span></p>
<p>今回は緊急事態宣言が「感染者数」の抑制に寄与し多かどうかの検討をしました。</p>
<p style="text-align: center;">
<p>NHK報道では、東京の「検査で確定された」人数の推移が示されました。上図は、NHK報道です。棒グラフは東京の「検査で確定された」人数の推移です。この図をみますと、棒グラスのピークは1月7-8日にあり、東京の緊急事態宣言が急速に感染者を減少させたかのように見えます。しかし、これはNHKが巷で多くの市民が感じている錯覚を京子にするためのだましです。インフルエンザなどに関してもNHKは以前から信用できません。</p>
<p style="text-align: center;"><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/547-6-02.png"><img class="aligncenter size-full wp-image-4681" title="547-6-02" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/547-6-02.png" alt="" width="584" height="328" /></a></p>
<p>ところで、緊急事態宣言により、3密などが改善し感染が抑制できたかどうかはこのグラフと宣言の関連を見てもわかりません。下図は感染した日と診断が確定され発表された日の関係です。感染した日から平均5日程して、症状が出て検査結果が出るのに3日程かかります。（今回の波の場合;4月では約14日だった）感染した日は感染確定から8日程度前になるのです。</p>
<p style="text-align: center;"><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/547-6-03.png"><img class="aligncenter size-full wp-image-4682" title="547-6-03" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/547-6-03.png" alt="" width="573" height="427" /></a></p>
<p>上図の棒グラフは、政府の諮問機関アドバイサリーレポートの中にあった図を使って、緊急事態宣言との関係をしめしたものです。棒グラフは、1都3県の、感染確定した日でなく、「感染した日」の人数の推移を現しています。そのピークは得ん末年始であり、1都2県の宣言日の1月7日には既に感染人数は半分近くに減っていました。さらに、11道府県も宣言された時はさらに減少していました。（腺グラフは「実効再生者数」）</p>
<p style="text-align: center;"><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/547-6-04.png"><img class="aligncenter size-full wp-image-4683" title="547-6-04" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/547-6-04.png" alt="" width="533" height="384" /></a></p>
<p>大阪・兵庫・京都でも宣言のずいぶん前に減っていたことになります。</p>
<p>緊急事態宣言を出した時点では既に、4月の場合も、同じでした。（<a href="http://ebm-jp.com/2020/06/news-537-2020-05-p01/">本誌No.537</a>）</p>
<p>以上は、宣言が話題になるほどの感染増が、宣言とは別の、市民の感染予防策をとることを自らが決めて行動していることを示しています。</p>
<p>緊急事態宣言のような強制でなくても、政府が、本当のことを正しく国民に伝えれば、感染を減らすことができること示しているようにも思えます。アドバイサリーレポートの「実行再生産者数」と、同宣言との関連を示す図もありますので、</p>
<p><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000748321.pdf ">https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000748321.pdf </a>をご覧ください。</p>
<p style="text-align: right;">はやし小児科　　林</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>いちどくを この本『コロナ禍の臨床を問う』（「こころの科学」Special Issue）（NEWS No.547 p08）</title>
		<link>http://ebm-jp.com/2021/05/news-547-2021-03-p08/</link>
		<comments>http://ebm-jp.com/2021/05/news-547-2021-03-p08/#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 25 May 2021 03:47:06 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[新型コロナウイルス感染症]]></category>
		<category><![CDATA[未分類]]></category>
		<category><![CDATA[547号2021年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[『コロナ禍の臨床を問う』（「こころの科学」Special Issue） 井原裕、斎藤環、松本俊彦 監修 日本評論社　1600円＋税 2021年2月15日刊行 新型コロナウイルス感染症COVID-19の感染拡大は世界規模で人々に大きな影響を及ぼしている。 保健福祉医療の現場で働く対人援助職はCOVID-19をめぐる深刻な当事者であるが、コロナ禍で身体や心に触れてケアをする仕事を続け、それに慣れてきているということ自体が外傷的だったともいえる。 パンデミックは、高齢者や基礎疾患のある人、社会経済的に不安定な状態にある人など、脆弱性をもつ人々に対して特に大きな影響を与える。また、社会全体の緊張が高まり、不満や怒りが暴発しやすい。 この特集号は、精神保健福祉医療の現場や当事者が強いられている困難や、当事者がどのように新たに状況に適応しようとしている苦闘についての、様々な現場からの2020年終盤時点での報告集である。 特徴的な報告を2点とりあげて紹介する。 ｢子どもたちにとってのコロナ禍の風景｣では、子どもと大人が生きていくための安全性の基盤が脅かされている現状を述べている。 2020年1月から6月に全国の児童相談所に寄せられた虐待件数は前年度より速報値で10%程度増加したが、例年の増加幅が20%前後であり、むしろ虐待が潜在化していることが推測される。 休校措置によって子どもたちから日常のルーティーン活動や家族以外の大人による見守り、厳しい家族環境からの逃げ場が失われたというのが問題であって、コロナ禍で子どもたちのメンタルヘルスに生じた問題は過度に医療化されるべきでないと提起している。 ｢コロナ禍における薬物依存症支援｣では、薬物依存症は｢孤立の病｣あり、回復には支援者や仲間とのつながりが重要なのだが、COVID-19感染拡大防止のためにそのつながりが危機に瀕していることを紹介している。 薬物依存症からの回復にはNAという自助グループの存在が極めて重要だが、｢3密を防ぐ｣名目でNAミーティングができなくなった。 覚醒剤依存症者の場合、一人でこもり続けること自体が薬物渇望を刺激する引き鉄になるが、｢ステイホーム｣が家庭内を過剰に密にして家族内葛藤を促進し、｢居場所のなさ｣｢密の中の孤独｣を生み出し、回復阻害的に働いた。 また、薬物問題と感染症問題の3つの共通点を挙げている。第1に、どちらもグローバル化に関係している。 第2に、どちらも行き過ぎた予防啓発は差別や偏見の温床になる。｢自粛警察｣による嫌がらせや｢夜の街｣クラスターへの非難が好例だが、｢ダメ。ゼッタイ｣運動が薬物使用者に｢極悪人｣というイメージを植え付け、保健医療福祉サービスから疎外し、地域社会での孤立を引き起こしている。 第3に、長期的には｢敵対的｣な対策より｢友好的｣な対策のほうが望ましい。薬物規制強化はより毒性の強い新規の脱法的な薬物を誕生させ、処方薬などの｢捕まらない｣薬物の乱用へと走らせた。 精神科医療の現場では、3密回避のために、入院治療上重要でも外出、外泊や家族、地域関係者とのカンファレンス、地域社会資源の活動が制約され、結果として治療を十分に展開しきれずに退院後の再発リスクが高じたり、感染拡大防止のために、新規入院の要請に直ちに応じきれなかったりして、本来必要な保健福祉医療活動が制約され、当事者の治療や安全な生活、人権保護が阻害されやすい状況にある。 高齢者比率が多く密な精神科病院の状況や、精神保健医療福祉体制の脆弱性は踏まえつつ、感染対策は徹底しながらも、当事者の人権を尊重しながら必要な保健医療福祉サービスを行える人的、経済的、システム的な公的支援が充実されるべきだと改めて考えた。 いわくら病院　梅田]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/book-coronakano-rinshowo-tou.jpg"><img class="alignleft size-medium wp-image-4689" title="book-coronakano-rinshowo-tou" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/book-coronakano-rinshowo-tou-211x300.jpg" alt="" width="211" height="300" /></a>『コロナ禍の臨床を問う』（「こころの科学」Special Issue）<br />
井原裕、斎藤環、松本俊彦 監修<br />
日本評論社　1600円＋税<br />
2021年2月15日刊行<span id="more-4685"></span></p>
<p>新型コロナウイルス感染症COVID-19の感染拡大は世界規模で人々に大きな影響を及ぼしている。<br />
保健福祉医療の現場で働く対人援助職はCOVID-19をめぐる深刻な当事者であるが、コロナ禍で身体や心に触れてケアをする仕事を続け、それに慣れてきているということ自体が外傷的だったともいえる。<br />
パンデミックは、高齢者や基礎疾患のある人、社会経済的に不安定な状態にある人など、脆弱性をもつ人々に対して特に大きな影響を与える。また、社会全体の緊張が高まり、不満や怒りが暴発しやすい。<br />
この特集号は、精神保健福祉医療の現場や当事者が強いられている困難や、当事者がどのように新たに状況に適応しようとしている苦闘についての、様々な現場からの2020年終盤時点での報告集である。<br />
特徴的な報告を2点とりあげて紹介する。</p>
<p>｢子どもたちにとってのコロナ禍の風景｣では、子どもと大人が生きていくための安全性の基盤が脅かされている現状を述べている。<br />
2020年1月から6月に全国の児童相談所に寄せられた虐待件数は前年度より速報値で10%程度増加したが、例年の増加幅が20%前後であり、むしろ虐待が潜在化していることが推測される。<br />
休校措置によって子どもたちから日常のルーティーン活動や家族以外の大人による見守り、厳しい家族環境からの逃げ場が失われたというのが問題であって、コロナ禍で子どもたちのメンタルヘルスに生じた問題は過度に医療化されるべきでないと提起している。</p>
<p>｢コロナ禍における薬物依存症支援｣では、薬物依存症は｢孤立の病｣あり、回復には支援者や仲間とのつながりが重要なのだが、COVID-19感染拡大防止のためにそのつながりが危機に瀕していることを紹介している。<br />
薬物依存症からの回復にはNAという自助グループの存在が極めて重要だが、｢3密を防ぐ｣名目でNAミーティングができなくなった。<br />
覚醒剤依存症者の場合、一人でこもり続けること自体が薬物渇望を刺激する引き鉄になるが、｢ステイホーム｣が家庭内を過剰に密にして家族内葛藤を促進し、｢居場所のなさ｣｢密の中の孤独｣を生み出し、回復阻害的に働いた。</p>
<p>また、薬物問題と感染症問題の3つの共通点を挙げている。第1に、どちらもグローバル化に関係している。<br />
第2に、どちらも行き過ぎた予防啓発は差別や偏見の温床になる。｢自粛警察｣による嫌がらせや｢夜の街｣クラスターへの非難が好例だが、｢ダメ。ゼッタイ｣運動が薬物使用者に｢極悪人｣というイメージを植え付け、保健医療福祉サービスから疎外し、地域社会での孤立を引き起こしている。<br />
第3に、長期的には｢敵対的｣な対策より｢友好的｣な対策のほうが望ましい。薬物規制強化はより毒性の強い新規の脱法的な薬物を誕生させ、処方薬などの｢捕まらない｣薬物の乱用へと走らせた。</p>
<p>精神科医療の現場では、3密回避のために、入院治療上重要でも外出、外泊や家族、地域関係者とのカンファレンス、地域社会資源の活動が制約され、結果として治療を十分に展開しきれずに退院後の再発リスクが高じたり、感染拡大防止のために、新規入院の要請に直ちに応じきれなかったりして、本来必要な保健福祉医療活動が制約され、当事者の治療や安全な生活、人権保護が阻害されやすい状況にある。<br />
高齢者比率が多く密な精神科病院の状況や、精神保健医療福祉体制の脆弱性は踏まえつつ、感染対策は徹底しながらも、当事者の人権を尊重しながら必要な保健医療福祉サービスを行える人的、経済的、システム的な公的支援が充実されるべきだと改めて考えた。</p>
<p style="text-align: right;">いわくら病院　梅田</p>
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