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	<title>医療問題研究会 &#187; 571号2023年3月発行</title>
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	<description>エビデンスに基づく保健・医学・薬学（EBM）の実践的研究を！</description>
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		<title>福島原発事故から12年－放射能の人体と環境障害をより多くに市民に知ってもらう活動が求められている（NEWS No.571 p01）</title>
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		<pubDate>Sun, 21 May 2023 15:30:42 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[福島原発事故]]></category>
		<category><![CDATA[571号2023年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[東日本大震災と福島原発事故から12年たちました。今も3万1千人の方々が避難生活を余儀なくされています。その大多数は原発事故による放射能汚染によるものです。福島原発の事故処理はこの1年間で大きな進展はないばかりか、汚染水の海洋投棄の決定や原発推進の政策が矢継ぎ早に進んでいます。 今号に福島敦子氏が、避難者として闘っておられる立場からこの状況を鋭く分析していただいていますので、ぜひお読み下さい。 それと表裏一体として、放射能による人間の障害が一切なく、将来も無いような似非医学研究報告が世界の医学雑誌に掲載されています。その中心になっているのが福島県立医科大学です。他方で、甲状腺がんをはじめとする放射線障害を証明した科学的な研究論文は極めて限定されています。 事故後、私たちはこの健康障害を明白にすることに取り組んできました。福島の放射線障害に関する学会発表、高松勇氏を中心に小児科学会・公衆衛生学会での研究集会への積極的参加、日本小児科学会での委員会の開催、健康相談会などでした。また放射線障害全般にわたる本と、甲状腺がんの多発に的をしぼった本を出版しました。ZENKOを始め、多くの運動団体には、それらの研究の成果を広める講演会などを開催していただきました。 また、福島での放射線障害を証明する科学的論文の少なさに危機感を抱き、放射線による健康障害の論文を発表されているドイツのハーゲン・シュアプの力で、福島の健康障害に関する、甲状腺がん・周産期死亡・低出産体重児の増加を証明する論文を書くことがでました。前2論文は福島の健康障害を否定した原発推進の国連科学委員会UNSCEAR2021年報告で全く非科学的な批判を受けるという「名誉」を得ました。 しかし、そのUNSCEAR報告では足りないと思ったのか、昨年12月には、福島県立医科大学が、「放射線の健康障害否定」論文の特集を出しています。 最も明白な甲状腺がんに関しては、3月3日に藤岡毅氏ら主催のシンポジウムで、津田敏秀氏などが放射線被ばくによる甲状腺がん異常多発否定の論協がいかに疫学の常識を外れたものであるか、まともな調査研究では異常多発が明白であることを明確にしています。甲状腺がんについての論文を書いた山本英彦氏が3月例会で報告し、今号に解説を書いています。 甲状腺がん以外の健康障害を証明した論文は、私たちの論文以外に、村瀬香氏らの先天性重症心疾患と、停留睾丸（精巣）、ドイツのコルブレイン氏の周産期死亡と早産児の論文程度と思われます。しかし、しっかりしたレビューをすると見つかるかも知れません。さらに、私たちの論文がなかなか掲載されなかったように、多くのすぐれた論文が発表されないままになっているのかも知れません。ご存じの方はぜひ教えてください。 今回の福島医大の特集には、2つの妊娠・出産に関連する論文が載せられており、いずれも大きなごまかしをしていると思われ、今号で検討していますので、ご覧ください。 高線量地域への帰還の半強制的推進や、放射性物質汚染水の海への放出、60年もたつ原発の運転延長、新原発の開発などは、核兵器開発の準備でもあります。 放射能の人体と環境障害をより多くに市民に知ってもらい、原発事故被害者の闘いと連帯する活動が求められています。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>東日本大震災と福島原発事故から12年たちました。今も3万1千人の方々が避難生活を余儀なくされています。その大多数は原発事故による放射能汚染によるものです。福島原発の事故処理はこの1年間で大きな進展はないばかりか、汚染水の海洋投棄の決定や原発推進の政策が矢継ぎ早に進んでいます。<span id="more-5423"></span></p>
<p>今号に福島敦子氏が、避難者として闘っておられる立場からこの状況を鋭く分析していただいていますので、ぜひお読み下さい。</p>
<p>それと表裏一体として、放射能による人間の障害が一切なく、将来も無いような似非医学研究報告が世界の医学雑誌に掲載されています。その中心になっているのが福島県立医科大学です。他方で、甲状腺がんをはじめとする放射線障害を証明した科学的な研究論文は極めて限定されています。</p>
<p>事故後、私たちはこの健康障害を明白にすることに取り組んできました。福島の放射線障害に関する学会発表、高松勇氏を中心に小児科学会・公衆衛生学会での研究集会への積極的参加、日本小児科学会での委員会の開催、健康相談会などでした。また放射線障害全般にわたる本と、甲状腺がんの多発に的をしぼった本を出版しました。ZENKOを始め、多くの運動団体には、それらの研究の成果を広める講演会などを開催していただきました。</p>
<p>また、福島での放射線障害を証明する科学的論文の少なさに危機感を抱き、放射線による健康障害の論文を発表されているドイツのハーゲン・シュアプの力で、福島の健康障害に関する、甲状腺がん・周産期死亡・低出産体重児の増加を証明する論文を書くことがでました。前2論文は福島の健康障害を否定した原発推進の国連科学委員会UNSCEAR2021年報告で全く非科学的な批判を受けるという「名誉」を得ました。</p>
<p>しかし、そのUNSCEAR報告では足りないと思ったのか、昨年12月には、福島県立医科大学が、「放射線の健康障害否定」論文の特集を出しています。</p>
<p>最も明白な甲状腺がんに関しては、3月3日に藤岡毅氏ら主催のシンポジウムで、津田敏秀氏などが放射線被ばくによる甲状腺がん異常多発否定の論協がいかに疫学の常識を外れたものであるか、まともな調査研究では異常多発が明白であることを明確にしています。甲状腺がんについての論文を書いた山本英彦氏が3月例会で報告し、今号に解説を書いています。</p>
<p>甲状腺がん以外の健康障害を証明した論文は、私たちの論文以外に、村瀬香氏らの先天性重症心疾患と、停留睾丸（精巣）、ドイツのコルブレイン氏の周産期死亡と早産児の論文程度と思われます。しかし、しっかりしたレビューをすると見つかるかも知れません。さらに、私たちの論文がなかなか掲載されなかったように、多くのすぐれた論文が発表されないままになっているのかも知れません。ご存じの方はぜひ教えてください。</p>
<p>今回の福島医大の特集には、2つの妊娠・出産に関連する論文が載せられており、いずれも大きなごまかしをしていると思われ、今号で検討していますので、ご覧ください。</p>
<p>高線量地域への帰還の半強制的推進や、放射性物質汚染水の海への放出、60年もたつ原発の運転延長、新原発の開発などは、核兵器開発の準備でもあります。</p>
<p>放射能の人体と環境障害をより多くに市民に知ってもらい、原発事故被害者の闘いと連帯する活動が求められています。</p>
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		<title>臨薬研・懇話会2023年3月例会報告  津田敏秀氏「福島原子力事故後の科学と健康政策の弱体化を実証する」論文紹介（NEWS No.571 p02）</title>
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		<pubDate>Sun, 21 May 2023 15:30:28 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[福島原発事故]]></category>
		<category><![CDATA[571号2023年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[原発再運転策動の中、3月12日の例会報告は、医問研ニュースの2022年9月号で紹介された2022年8月岡山大の津田敏秀氏の「悪用された疫学的方法を検出するためにツールキットを適用することにより、福島原子力事故後の科学と健康政策の弱体化を実証する」という論文についての紹介と討議を行った。 前提として津田氏が2016年に発表した論文の骨子を述べる。福島県で小児甲状腺がんが多発していること、その多発は当時すでに全国の小児甲状腺がんの罹患率と比べても数十倍の規模であること、福島県内でも地域による有病率のばらつきがあること、この多発やばらつきは被ばく放射線量と関連していることを示した。 津田氏の2022年論文は以上を背景に、膨大な新事実、論文等を網羅した総論文であるが、実証対象は唯一と思われる。甲状腺がんが多発か否かの評価を回避しながら、放射線量が少なすぎるため被曝が原因ではなく「超音波甲状腺スクリーニングで検出された甲状腺がんの過剰診断が症例数を大幅に増加させた」という過剰診断説が対象である。実証の何点かを追ってみる（津田氏の2022年論文は主として原子力擁護勢力の発行した諸文献への批判という形をとっているが、ここでは施政者側と表現した）。 まず、チェルノブイリ原発と甲状腺がんについて。チェルノブイリでは1986年の事故後の1990年から甲状腺エコー検査が始まり、多くの甲状腺がんが診断される中、超音波で特定された甲状腺がんは過剰診断ではないかという論議が続いた。が、Ito、Shibataらの論文による原発事故後に生まれた子供からは10年以上甲状腺がんは発生していないこと、また非被ばく集団からも同様に発生なしという論文もあり「甲状腺検査で検出された多数の甲状腺がんは、過剰診断によるものではなく、原発事故が原因であることが最終的に合意」された。（なお原事故発後生まれた小児から甲状腺がんはいないというベラルーシの疫学データグラフ（2008年のUNSCEAR報告）、非暴露地域についての検索文献はすでに医問研が指摘していたことである）。 福島でも多発が明らかになるにつれ、エコー機器の精度が問題という説も流れたが、チェルノブイリも福島も、「がんかどうかの精査の診断基準は5.1㎜以上と変わらず、10MHzか7.5MHzかの違いだけである」と津田氏は一蹴している。 事故後1年以内の発症は事故の影響とすれば早すぎるという批判に対して。津田氏はチェルノブイリデータからは小児甲状腺がんがすでに事故1年後にはエピデミックカーブといわれる増加がみられることから「放射線被ばくによる子どもの甲状腺がんの最少潜伏期間は1年」の可能性に言及。さらに福島ではがんの穿刺吸引細胞診断の対象とされたのは5.1㎜以上の大きさであり、診断までに1年近くかかっているため最少潜伏期間は1年以下に違いないと展開している。施政者側のいうような過剰診断説の前提としてのゆっくり発育するがんではないこと、したがって過剰診断でないことはこの潜伏期論議からだけでも明白である。 施政者の側はIto、Shibataらによるチェルノブイリでのこれらの論文など参照せず、林田による4365名の甲状腺エコーによるスクリーニングでひとり甲状腺がんが発見されたという論文だけを引用している。林田らの論文にしても、福島の甲状腺がん有病率に比べ優位に低い(0.6倍)。 過剰診断の例として韓国による超音波甲状腺スクリーニング検査データ論文もよく引用されるが、津田氏は「日本の20歳未満の甲状腺の発生率は100万人当たり2名、40歳以上の年間発生率は1万人あたり2名を超えています」とし、韓国の論文はもっと小さながんを見つけていることに加え、何よりも20歳以上を対象とした論文であり、「子供のスクリーニングと成人のスクリーニングとの意味のない比較」を行っていると評価している。 また、「1回目のスクリーニングで検出された115名の甲状腺がんが過剰診断に起因するものであるとすれば、1回目でほとんどの過剰診断例は摘み取られていたために2回目のスクリーニングで甲状腺がんと特定されるケースは、非常に少ないと予想されます」が、2回目で71例が検出、超過の程度は同程度でした」。つまり、過剰診断とすれば、1回目検査から2回目検査の2年間の間に、ゆっくりとしたはずのがんが5㎜以上にまで大きくなったということになります」と述べている。さらに「2回目のスクリーニングで検出された71例の甲状腺がんのうち33例は1回目では結節または嚢胞は検出されず、7例は5.1㎜未満の結節、25例は20.1㎜未満の嚢胞、5例は5㎜を超える結節/20㎜を超える嚢胞、1例は1回目受診していなかったということです」とも述べ、とても「ゆっくり」発育するがんではないということがわかる。 線量測定について津田氏は「（事故直後のWHO、SPEEDIのデータ、海野らの母乳測定などからのデータを示しながら）100-1000ｍSvを超える地域のあることは明らかです。したがって線量が低すぎるという論理は通用しません。」と述べ、UNSCEARなどが日本からの多額の寄付を受けつつ、線量の測定値の訂正を改訂ごとに行ってきていることも津田氏は暴露しています。一方施政者側はStewart 、Doll、Cardis らの線量とがんの関係を示した論文は無視しているという点も指摘している。 さらに氏は、福島のスクリーニング検査の順番が、高線量地域が最初、低線量地域が最後になっていることを示し、交絡を生んでいると看破。それぞれ事故から観察まで高線量地域1年目、2年目、3年目として有病率を推定している図を示した。「事故からスクリーニングまでの時間間隔による交絡の影響を無視」した結果、あたかも低線量地域の甲状腺がんが高線量地域よりも多いという錯覚に陥るのがよくわかります。黒い点は甲状腺がんの有病率が示されています。一方それぞれの地域の直線の傾きががんの平均発症速度（罹患度）を表していると思われ、線量の高い順に罹患数増加が早いことが理解されます。 病理所見との関連では、津田氏は1回目検査の小児甲状腺がん115例のうち、甲状腺外浸潤が42%、リンパ、血管浸潤73%、リンパ節転移80%、遠隔転移2.6%を示し、これらの進展度からは「過剰診断説」は怪しいと述べています。事故後4年以内か以後かでの進展度の違いもなかったことも示しました。 福島県のスクリーニングで診断した甲状腺がんとがん登録からの全国データを比較した津田氏の論文に対し、理由を示さずに、超音波エコー検査を使用しない全国がん登録データと直接比較はできないという施政者側の批判に対しても津田氏は答えています。2016年の論文で津田氏は、福島の9地域のうち8地域が全国がん登録に比べ1回目の罹患率で20倍から６0倍以上有意に多いという結果を示しました。めったに起こらない小児甲状腺がんの過剰診断を持ち出し、福島と全国との比較を批判するのはおかしいと津田氏は指摘します。また、がんセンターの片野田氏が同じような比較から20-30倍福島県の発症は過剰であるというデータをだしながら、片野田氏が「甲状腺がんに対する放射線の影響に関する既知の知識」による「過剰診断の可能性を示唆」したためか、片野田氏の論文は施政者側に引用されている一方で津田氏の論文は引用すらされていないとのことで施政者側の非科学性を暴露しています。この論議を裏付ける資料として私どもの作成した2011年から2019年までの福島甲状腺がんの全国に対するIRRを提示します。0-9歳は両郡ともほとんど0-0.1人/10万人です。 私ども医療問題研究会も原発事故直後から被ばくによる被害に注目し、小児科学会や公衆衛生学会での発表と討論会の開催（津田氏に参加願ったこともある）、パンフレットや冊子の発行を行ってきた。また、ドイツIPPNWを通じたチェルノブイリ訪問や欧州研究者との交流も重ねてきた。20〇年周産期死亡、2019年（脱稿は2017年）小児甲状腺がんについてドイツの研究者であるH.Sherb氏との共著論文を世界に向け発表もした。2019年の小児甲状腺がんについてのメディシン論文は、2016年の津田氏の論文を補完することもかねてのものであり福島の多発甲状腺がんと放射線量との用量反応関係を示した。私たちも津田氏と同様、チェルノブイリで放射線被ばくを原因とした小児甲状腺がんが多発したこと、福島で被ばく事故のあった2011年から小児甲状腺がんの多発が見られてきたこと、福島県内の市町村での罹患頻度が異なっていること、原発事故から診断までの時間間隔が異なるのに放射線の高濃度汚染地域と相対的に低濃度の汚染地域の罹患率を直接比較するのはおかしいのではないかという点から出発しました。その上で、人時間ごとの事故からの各市町村での甲状腺がん頻度を比較し、用量反応関係ありとの論文の結論を導き出したのです。参考までに我々の2019年論文の発端となったデータと用量反応関係を示したグラフの一部を提示します。 最後になりますが、津田氏は、福島の原発事故と甲状腺がん多発を無きものにしようとする施政者側の「科学と健康政策の弱体化」に対し、強力な武器を私たちに提供してくれました。福島から避難された方、やむを得ず福島に残った方や帰郷された方、がんを発症しやっとの思いで裁判に打って出た方など、多くの人々に勇気と力を与える論文と思います。施政者側は巨大ですが、医療問題研究会も科学的実証を追い続けて発信していく所存です。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>原発再運転策動の中、3月12日の例会報告は、<a href="http://ebm-jp.com/2022/11/news-565-2022-09-p04/">医問研ニュースの2022年9月号</a>で紹介された2022年8月岡山大の津田敏秀氏の「悪用された疫学的方法を検出するためにツールキットを適用することにより、福島原子力事故後の科学と健康政策の弱体化を実証する」という論文についての紹介と討議を行った。<span id="more-5426"></span></p>
<p>前提として津田氏が2016年に発表した論文の骨子を述べる。福島県で小児甲状腺がんが多発していること、その多発は当時すでに全国の小児甲状腺がんの罹患率と比べても数十倍の規模であること、福島県内でも地域による有病率のばらつきがあること、この多発やばらつきは被ばく放射線量と関連していることを示した。</p>
<p>津田氏の2022年論文は以上を背景に、膨大な新事実、論文等を網羅した総論文であるが、実証対象は唯一と思われる。甲状腺がんが多発か否かの評価を回避しながら、放射線量が少なすぎるため被曝が原因ではなく「超音波甲状腺スクリーニングで検出された甲状腺がんの過剰診断が症例数を大幅に増加させた」という過剰診断説が対象である。実証の何点かを追ってみる（津田氏の2022年論文は主として原子力擁護勢力の発行した諸文献への批判という形をとっているが、ここでは施政者側と表現した）。</p>
<p>まず、チェルノブイリ原発と甲状腺がんについて。チェルノブイリでは1986年の事故後の1990年から甲状腺エコー検査が始まり、多くの甲状腺がんが診断される中、超音波で特定された甲状腺がんは過剰診断ではないかという論議が続いた。が、Ito、Shibataらの論文による原発事故後に生まれた子供からは10年以上甲状腺がんは発生していないこと、また非被ばく集団からも同様に発生なしという論文もあり「甲状腺検査で検出された多数の甲状腺がんは、過剰診断によるものではなく、原発事故が原因であることが最終的に合意」された。（なお原事故発後生まれた小児から甲状腺がんはいないというベラルーシの疫学データグラフ（2008年のUNSCEAR報告）、非暴露地域についての検索文献はすでに医問研が指摘していたことである）。</p>
<p>福島でも多発が明らかになるにつれ、エコー機器の精度が問題という説も流れたが、チェルノブイリも福島も、「がんかどうかの精査の診断基準は5.1㎜以上と変わらず、10MHzか7.5MHzかの違いだけである」と津田氏は一蹴している。</p>
<p>事故後1年以内の発症は事故の影響とすれば早すぎるという批判に対して。津田氏はチェルノブイリデータからは小児甲状腺がんがすでに事故1年後にはエピデミックカーブといわれる増加がみられることから「放射線被ばくによる子どもの甲状腺がんの最少潜伏期間は1年」の可能性に言及。さらに福島ではがんの穿刺吸引細胞診断の対象とされたのは5.1㎜以上の大きさであり、診断までに1年近くかかっているため最少潜伏期間は1年以下に違いないと展開している。施政者側のいうような過剰診断説の前提としてのゆっくり発育するがんではないこと、したがって過剰診断でないことはこの潜伏期論議からだけでも明白である。</p>
<p>施政者の側はIto、Shibataらによるチェルノブイリでのこれらの論文など参照せず、林田による4365名の甲状腺エコーによるスクリーニングでひとり甲状腺がんが発見されたという論文だけを引用している。林田らの論文にしても、福島の甲状腺がん有病率に比べ優位に低い(0.6倍)。</p>
<p>過剰診断の例として韓国による超音波甲状腺スクリーニング検査データ論文もよく引用されるが、津田氏は「日本の20歳未満の甲状腺の発生率は100万人当たり2名、40歳以上の年間発生率は1万人あたり2名を超えています」とし、韓国の論文はもっと小さながんを見つけていることに加え、何よりも20歳以上を対象とした論文であり、「子供のスクリーニングと成人のスクリーニングとの意味のない比較」を行っていると評価している。</p>
<p>また、「1回目のスクリーニングで検出された115名の甲状腺がんが過剰診断に起因するものであるとすれば、1回目でほとんどの過剰診断例は摘み取られていたために2回目のスクリーニングで甲状腺がんと特定されるケースは、非常に少ないと予想されます」が、2回目で71例が検出、超過の程度は同程度でした」。つまり、過剰診断とすれば、1回目検査から2回目検査の2年間の間に、ゆっくりとしたはずのがんが5㎜以上にまで大きくなったということになります」と述べている。さらに「2回目のスクリーニングで検出された71例の甲状腺がんのうち33例は1回目では結節または嚢胞は検出されず、7例は5.1㎜未満の結節、25例は20.1㎜未満の嚢胞、5例は5㎜を超える結節/20㎜を超える嚢胞、1例は1回目受診していなかったということです」とも述べ、とても「ゆっくり」発育するがんではないということがわかる。</p>
<p>線量測定について津田氏は「（事故直後のWHO、SPEEDIのデータ、海野らの母乳測定などからのデータを示しながら）100-1000ｍSvを超える地域のあることは明らかです。したがって線量が低すぎるという論理は通用しません。」と述べ、UNSCEARなどが日本からの多額の寄付を受けつつ、線量の測定値の訂正を改訂ごとに行ってきていることも津田氏は暴露しています。一方施政者側はStewart 、Doll、Cardis らの線量とがんの関係を示した論文は無視しているという点も指摘している。</p>
<p>さらに氏は、福島のスクリーニング検査の順番が、高線量地域が最初、低線量地域が最後になっていることを示し、交絡を生んでいると看破。それぞれ事故から観察まで高線量地域1年目、2年目、3年目として有病率を推定している図を示した。「事故からスクリーニングまでの時間間隔による交絡の影響を無視」した結果、あたかも低線量地域の甲状腺がんが高線量地域よりも多いという錯覚に陥るのがよくわかります。黒い点は甲状腺がんの有病率が示されています。一方それぞれの地域の直線の傾きががんの平均発症速度（罹患度）を表していると思われ、線量の高い順に罹患数増加が早いことが理解されます。</p>
<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-2-1.png"><img class="aligncenter size-medium wp-image-5427" title="571-2-1" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-2-1-500x242.png" alt="" width="500" height="242" /></a></p>
<p>病理所見との関連では、津田氏は1回目検査の小児甲状腺がん115例のうち、甲状腺外浸潤が42%、リンパ、血管浸潤73%、リンパ節転移80%、遠隔転移2.6%を示し、これらの進展度からは「過剰診断説」は怪しいと述べています。事故後4年以内か以後かでの進展度の違いもなかったことも示しました。</p>
<p>福島県のスクリーニングで診断した甲状腺がんとがん登録からの全国データを比較した津田氏の論文に対し、理由を示さずに、超音波エコー検査を使用しない全国がん登録データと直接比較はできないという施政者側の批判に対しても津田氏は答えています。2016年の論文で津田氏は、福島の9地域のうち8地域が全国がん登録に比べ1回目の罹患率で20倍から６0倍以上有意に多いという結果を示しました。めったに起こらない小児甲状腺がんの過剰診断を持ち出し、福島と全国との比較を批判するのはおかしいと津田氏は指摘します。また、がんセンターの片野田氏が同じような比較から20-30倍福島県の発症は過剰であるというデータをだしながら、片野田氏が「甲状腺がんに対する放射線の影響に関する既知の知識」による「過剰診断の可能性を示唆」したためか、片野田氏の論文は施政者側に引用されている一方で津田氏の論文は引用すらされていないとのことで施政者側の非科学性を暴露しています。この論議を裏付ける資料として私どもの作成した2011年から2019年までの福島甲状腺がんの全国に対するIRRを提示します。0-9歳は両郡ともほとんど0-0.1人/10万人です。</p>
<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-2-2.png"><img class="aligncenter size-full wp-image-5428" title="571-2-2" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-2-2.png" alt="" width="461" height="357" /></a></p>
<p>私ども医療問題研究会も原発事故直後から被ばくによる被害に注目し、小児科学会や公衆衛生学会での発表と討論会の開催（津田氏に参加願ったこともある）、パンフレットや冊子の発行を行ってきた。また、ドイツIPPNWを通じたチェルノブイリ訪問や欧州研究者との交流も重ねてきた。20〇年周産期死亡、2019年（脱稿は2017年）小児甲状腺がんについてドイツの研究者であるH.Sherb氏との共著論文を世界に向け発表もした。2019年の小児甲状腺がんについてのメディシン論文は、2016年の津田氏の論文を補完することもかねてのものであり福島の多発甲状腺がんと放射線量との用量反応関係を示した。私たちも津田氏と同様、チェルノブイリで放射線被ばくを原因とした小児甲状腺がんが多発したこと、福島で被ばく事故のあった2011年から小児甲状腺がんの多発が見られてきたこと、福島県内の市町村での罹患頻度が異なっていること、原発事故から診断までの時間間隔が異なるのに放射線の高濃度汚染地域と相対的に低濃度の汚染地域の罹患率を直接比較するのはおかしいのではないかという点から出発しました。その上で、人時間ごとの事故からの各市町村での甲状腺がん頻度を比較し、用量反応関係ありとの論文の結論を導き出したのです。参考までに我々の2019年論文の発端となったデータと用量反応関係を示したグラフの一部を提示します。</p>
<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-2-3.png"><img class="aligncenter size-medium wp-image-5429" title="571-2-3" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-2-3-500x281.png" alt="" width="500" height="281" /></a></p>
<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-2-4.png"><img class="aligncenter size-full wp-image-5430" title="571-2-4" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-2-4.png" alt="" width="410" height="304" /></a></p>
<p>最後になりますが、津田氏は、福島の原発事故と甲状腺がん多発を無きものにしようとする施政者側の「科学と健康政策の弱体化」に対し、強力な武器を私たちに提供してくれました。福島から避難された方、やむを得ず福島に残った方や帰郷された方、がんを発症しやっとの思いで裁判に打って出た方など、多くの人々に勇気と力を与える論文と思います。施政者側は巨大ですが、医療問題研究会も科学的実証を追い続けて発信していく所存です。</p>
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		<title>福島原発事故の健康障害を隠蔽する「学者」の嘘のつき方（NEWS No.571 p05）</title>
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		<pubDate>Sun, 21 May 2023 15:30:07 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[福島原発事故]]></category>
		<category><![CDATA[571号2023年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[福島原発事故後12年を迎えました。原発推進勢力は、原発の稼働拡大を強行しようと、福島原発事故を覆い隠すために、健康障害は何もなったとの似非科学論文を次々と発表しています。 昨年12月5日には、福島県立医大は日本疫学会雑誌に「福島特集号―東日本大震災後の10年」を発表しました。これらの論文も、その非科学性を示しています。甲状腺がんに関しては、3月3日に開かれた藤岡毅氏らが主催するシンポジウムで、岡山大学津田敏秀氏、加藤聡子氏、黒川眞一氏、本行忠司が厳しく批判しています。 ここでは、3月の医問研例会で議論していただいた、妊娠・出産に関る、Kyozuka H et al. とYasuda S et al.の論文を検討します。 これまでの、この問題に関して、福島原発事故との関連を証明した以下の論文があります。 １, Hagen Sherb, Kunihiro Mori, Keiji Hayashiの周産期死亡の増加１） ２,Hagen Sherb, Keiji Hayashiの低出生体重児の増加２） ３, Kaori Muraseらの重症先天性心疾患の増加 ４，同　停留精巣手術の増加 ５, Korblein Aの周産期死亡などの増加 これらのうち１，3，４，5が、原発推進派である国連科学委員会UNSCEAR2021報告で批判されるという「名誉」を得ています。 その内容は、「科学委員会」との名に価しないものです。例えば、私たちの論文の周産期死亡が増えたこと自体の否定はできないため、被曝量が少ないのに周産期死亡が15%も増える「はずがない」、というものです。増加した事実を、被ばく線量が低いから、とのドグマで否定するだけです。ならば私たちが示した放射能被曝の強い地域での増加（周産期死亡）がどうして生じたのかの、説明が必要ですが、それらを避けています。また、私達の放射線量と低出生体重児の増加が比例していることを証明した論文の批判は避けています。 昨年末に掲載された福島医大からの2つの論文も私たちの低出生児死亡が増加したとの論文に同様の批判をしています。 さて、これまでの、福島医大からの放射線障害を否定する論文は、「県民健康調査」のデータを使っていますが、今回の2論文もそのデータを使っています。 ところで、私たちは、甲状腺がんの論文を書く際に、甲状腺がん検診の日時とその結果についてのデータの開示の是非を聞いたことがありますが、開示されないとのことでした。福島医大の論文は他の研究者がアクセスできないデータに基づいて書いているのです。ごまかしはいくらでもできそうです。 まず、Kyouzuka らの論文３）では、「早産や低出生体重児の発生状況には地区間で大きな差がありましたが、」として、先天性形態異常の頻度の図を提示していますが、統計的有意差がないから、結論として差がなかった＝放射線の悪影響はなかったとしています。 しかし、我々は既に低出生体重児の論文２）で、今回のKyouzuka H らの論文と同様の誤りをしているFujimori K, Kyouzuka H４）らの論文に対して、もっと観察人数を増やせば有意差が出る可能性が高かったことを示していたのです。このことを、「タイプ２のエラー」といい、本当は差があるのに、分析したデータが少なかったために差がないと間違った結論を出しているものです。 我々の批判があったためか、今回の論文では別のデータも持ち出して、以下の結論を出しています。「福島県の新生児の早産、低出生体重児、形態異常の発生状況には2011年度と2018年度で変化は見られませんでした。したがって、震災後の放射線事故が周産期のアウトカムに及ぼす長期的な影響は非常に小さいと考えられる。」として、周産期異常の増加全体を否定しています。 その根拠の、次の図を良くご覧ください。上から、低出生体重児、早産児、先天性形態異常の2011年から2018年までの推移です。縦軸は０から12%を示しています。 この図より、著者らは「早産、低出生体重児、先天性形態異常の発生が、2011年から2018年まで変化していないので、長期的な影響は非常に少ない」としています。これはまるきりの誤りです。我々が調べた公式な全国・都道府県レベルでのデータは、「先天性形成異常」と関連する、周産期死亡（下図：上）、低出生体重児（下）も2011年から福島近隣でも、全国的にも年と共に減少しています。...]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>福島原発事故後12年を迎えました。原発推進勢力は、原発の稼働拡大を強行しようと、福島原発事故を覆い隠すために、健康障害は何もなったとの似非科学論文を次々と発表しています。<span id="more-5432"></span></p>
<p>昨年12月5日には、福島県立医大は日本疫学会雑誌に「福島特集号―東日本大震災後の10年」を発表しました。これらの論文も、その非科学性を示しています。甲状腺がんに関しては、3月3日に開かれた藤岡毅氏らが主催するシンポジウムで、岡山大学津田敏秀氏、加藤聡子氏、黒川眞一氏、本行忠司が厳しく批判しています。</p>
<p>ここでは、3月の医問研例会で議論していただいた、妊娠・出産に関る、Kyozuka H et al. とYasuda S et al.の論文を検討します。</p>
<p>これまでの、この問題に関して、福島原発事故との関連を証明した以下の論文があります。</p>
<p>１, Hagen Sherb, Kunihiro Mori, Keiji Hayashiの周産期死亡の増加<sup>１）</sup></p>
<p>２,Hagen Sherb, Keiji Hayashiの低出生体重児の増加<sup>２）</sup></p>
<p>３, Kaori Muraseらの重症先天性心疾患の増加</p>
<p>４，同　停留精巣手術の増加</p>
<p>５, Korblein Aの周産期死亡などの増加</p>
<p>これらのうち１，3，４，5が、原発推進派である国連科学委員会UNSCEAR2021報告で批判されるという「名誉」を得ています。</p>
<p>その内容は、「科学委員会」との名に価しないものです。例えば、私たちの論文の周産期死亡が増えたこと自体の否定はできないため、被曝量が少ないのに周産期死亡が15%も増える「はずがない」、というものです。増加した事実を、被ばく線量が低いから、とのドグマで否定するだけです。ならば私たちが示した放射能被曝の強い地域での増加（周産期死亡）がどうして生じたのかの、説明が必要ですが、それらを避けています。また、私達の放射線量と低出生体重児の増加が比例していることを証明した論文の批判は避けています。</p>
<p>昨年末に掲載された福島医大からの2つの論文も私たちの低出生児死亡が増加したとの論文に同様の批判をしています。</p>
<p>さて、これまでの、福島医大からの放射線障害を否定する論文は、「県民健康調査」のデータを使っていますが、今回の2論文もそのデータを使っています。</p>
<p>ところで、私たちは、甲状腺がんの論文を書く際に、甲状腺がん検診の日時とその結果についてのデータの開示の是非を聞いたことがありますが、開示されないとのことでした。福島医大の論文は他の研究者がアクセスできないデータに基づいて書いているのです。ごまかしはいくらでもできそうです。</p>
<p>まず、Kyouzuka らの論文<sup>３）</sup>では、「早産や低出生体重児の発生状況には地区間で大きな差がありましたが、」として、先天性形態異常の頻度の図を提示していますが、統計的有意差がないから、結論として差がなかった＝放射線の悪影響はなかったとしています。</p>
<p>しかし、我々は既に低出生体重児の論文<sup>２）</sup>で、今回のKyouzuka H らの論文と同様の誤りをしているFujimori K, Kyouzuka H<sup>４</sup>）らの論文に対して、もっと観察人数を増やせば有意差が出る可能性が高かったことを示していたのです。このことを、「タイプ２のエラー」といい、本当は差があるのに、分析したデータが少なかったために差がないと間違った結論を出しているものです。</p>
<p>我々の批判があったためか、今回の論文では別のデータも持ち出して、以下の結論を出しています。「福島県の新生児の早産、低出生体重児、形態異常の発生状況には2011年度と2018年度で変化は見られませんでした。したがって、震災後の放射線事故が周産期のアウトカムに及ぼす長期的な影響は非常に小さいと考えられる。」として、周産期異常の増加全体を否定しています。</p>
<p>その根拠の、次の図を良くご覧ください。上から、低出生体重児、早産児、先天性形態異常の2011年から2018年までの推移です。縦軸は０から12%を示しています。</p>
<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-5-1.png"><img class="aligncenter size-medium wp-image-5433" title="571-5-1" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-5-1-500x292.png" alt="" width="500" height="292" /></a></p>
<p>この図より、著者らは「早産、低出生体重児、先天性形態異常の発生が、2011年から2018年まで変化していないので、長期的な影響は非常に少ない」としています。これはまるきりの誤りです。我々が調べた公式な全国・都道府県レベルでのデータは、「先天性形成異常」と関連する、周産期死亡（下図：上）、低出生体重児（下）も2011年から福島近隣でも、全国的にも年と共に減少しています。</p>
<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-5-2.png"><img class="aligncenter size-medium wp-image-5434" title="571-5-2" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-5-2-500x251.png" alt="" width="500" height="251" /></a></p>
<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-5-3.png"><img class="aligncenter size-medium wp-image-5435" title="571-5-3" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-5-3-500x373.png" alt="" width="500" height="373" /></a></p>
<p>即ち、Kyozuka  et al.が示したデータは、全国と比べて福島では相対的に増加し続けていることを示していることになります。これは、我々の低出生体重児の論文を読めば簡単にわかることです。したがって、著者らの結論は全くまちがいで、出生児の異常は「相対的に増加傾向にある」と訂正すべきです。</p>
<p style="text-align: center;"><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-5-4.png"><img class="aligncenter size-full wp-image-5436" title="571-5-4" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-5-4.png" alt="" width="373" height="205" /></a></p>
<p>もう一は、Yasuda Sらの論文<sup>５）</sup>で、これもタイプ2エラーを犯しています。Yasuda Sらによれば、例えば、低出生体重児では、被曝線量が＜１ｍSVに対しての、＞＝１ｍSV を比較すると、下表のように、ORは1.065（95%CI：0.79，1.435）で、&gt;=1mSvグループが障害が多いことを示しています。これは95%の統計的有意差は認めません。しかし、観察人数を増やせばOR=1.065で約6.5%の増加があった可能性を示しています。さらに、95%信頼区間上限の約1.435倍になる可能性も否定できないわけです。</p>
<p>それに対して、私たちの論文は、全国的で長年のデータを使用し、高度汚染の福島・宮城・茨城・栃木・岩手で、OR=1.055(1.013,1.100), 中等度汚染の東京＋4県でOR=1.021(1.005,1.0307)など明白に増加していることを証明しています。</p>
<p>さらに、Yasudaらの論文のアンケート調査では回答率は57.9％でした。その53.5％が放射線量が不明でしたから、アンケート調査対象の31％（0.579×0.535=0.310）だけのデータが使用されています。このような、調査対象の3割程度のデータでは、大きなバイアスがかかりますので、差があるか無いかの結論は出せないはずです。</p>
<p>さらに、バイアスの可能性が高いことを示すデータもあります。結論を出したデータの対象者よりも、「放射線量不明」群の方がより多くの障害を示唆するものです。（下表）線量不明群の方が、6項目中SGA（在胎不当過少）を除く5項目で、ORが１を超えており、95%信頼区間の下限も１に近く、上限は1.2倍から4.6倍です。多くの異常がこの「線量不明」の中にまぎれこんで、線量と障害の関連が出なくなった可能性もあります。それらを確かめるためにもデータの公開が求められています。</p>
<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-5-5.jpg"><img class="aligncenter size-full wp-image-5437" title="571-5-5" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-5-5.jpg" alt="" width="394" height="176" /></a></p>
<p>以上より、著者らの結論「福島原発事故による外部被曝量は、先天性形成異常・低出生体重児・SGA・早産児と関連しない。」というのは間違いで、「関連を否定できない」ないし「関連を示唆する」が妥当と思われます。</p>
<p>以上、昨年末の福島医大の原発事故との関連がないとする2つの論文は、私達が指摘してきた初歩的誤りを繰り返したもので、その結論は全くの誤りです。（はやし小児科　林敬次）</p>
<p>（紙面の都合で、文献はホームページhttp://ebm-jp.com/に掲載します）</p>
<p>＜資料：低出生体重児の論文<sup>２）</sup>の、Fujimori K, Kyouzuka H<sup>４</sup>）らの論文に対しての批判。＞「・・ アンケートに基づく研究は選択バイアスが生じやすく、母集団が少ない研究（主に臨床環境での研究）はおそらくタイプ<strong>2</strong>のエラーを伴う可能性があります[46]。</p>
<p>アンケートに基づく妊娠と出産の調査は、福島健康管理調査のために放射線医科学センターによって実施されました[43]。 この研究では、福島県の中部と西部の 5 地域と比較して、いわきと相双の最東端の 2 地域を合わせた 低出生児体重児割合の増加が記録されています: OR 1.163、p 値 0.0723。 この観察結果は、OR 1.923、p値 0.1321で相双といわきの死産率の増加によってさらに裏付けられています。 この研究 [43] の参加率は 60% 未満であったため、より大きな集団をより長い期間検討すると、有意な効果が得られる可能性があります。」([ ]内は元文献の文献番号)</p>
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		<item>
		<title>原発事故は「美味しい」ものなのか（NEWS No.571 p07）</title>
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		<pubDate>Sun, 21 May 2023 15:29:53 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[福島原発事故]]></category>
		<category><![CDATA[571号2023年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[2011年3月11日の東日本大震災により発災した福島第一原子力発電所の炉心溶融事故からまた卯年がめぐってきました。卯年とは、閉じていた門が開き「飛び出る」、祭りごとの際に生贄として捧げる肉を二つに切り裂いた形から出来た「分ける（区切る）」という意味に、動物の「兎」をあてたとされています。エネルギー政策の見直しが議論されるきっかけとなってから12年が経ち、この世の中は本当に変化したでしょうか。 国・県が避難者への「みなし仮設住宅」の無償提供を2017年3月末で打ち切る政策をとった後に転居を強いられた避難者たち。私たち親子は、京田辺市にて三度目の避難生活を始め、少しずつ地に足が着くようになってきました。上の娘は社会人に、下の娘は、大学生になるほど時間は過ぎています。 避難者たちは健康問題や住宅問題などで闘う中、疲弊し、声も出せなくなっている人が増えました。しかし最近は風向きが変わってきました。それは、バイバイ原発きょうと2023で登壇した賠償訴訟原告のうち、当時子どもたちだった原告が多数参加して発言してくれたこと。京都の大学院生が中心になり原発事故に向き合い活動するチームの姿があるからです。 当時の子どもたちが、原発事故が起きてどう大人たちの話を聞いていたか。ニュースに触れ、友人たちとどう考えてきたか。子どもたちは、成長する過程で、「言葉」にし、それを「形」にしようと模索し始めています。原発から作られた電気の恩恵を受け、経済の発展の名のもとに大量消費生活にどっぷりと浸かってきた大人の一人として大変複雑な心地ではありますが、少しでも早い「福島第一原発事故の解決」を子どもたちとも一緒に達成できたらよいと思います。 2013年9月に提訴した原発賠償訴訟原告団(現在56世帯170名)は、 2018年3月の京都地裁判決では原発事故への国・東電の責任が認められました。しかし、避難指示区域外からの避難の相当性を認定こそしたものの、法定被ばく限度(1mSv/年)を避難の基準にせず、避難の相当性を翌年4月1日までの避難に限定、賠償期間を避難開始から2年間に限定、賠償額はあまりにも低額であるため、大阪高裁に控訴しそろそろ結審の日が具体的に見えるところまで来ました。 控訴審でのハイライトは、原告のほとんどが回答したストレスアンケート調査や当時大阪大学医学系研究科の本行教授に書いていただいた意見書が提出されたことです。 意見書には、放射性感受性に個体差があること、年齢が若いほど放射性感受性が高く、影響を強く受けやすいこと、が示されています。 また、国際人権法に関する主張。私たちが主張する「避難に対する権利」や「「健康に対する権利」に関連している国際法は、自由権規約や社会権規約と多岐にわたり、日本はこれらの締約国のため人権条約上の義務を国内で実施する法的義務があります。現在もなお、原発事故の収束のめどは立たず、子どもたちの健康がおびやかされたり、避難者が不当に住宅を追い出されたり、事故後の補償もない今の状態は明らかな国際人権法違反です。また、昨年6月の最高裁での4訴訟（群馬、生業、千葉、えひめ訴訟）に対する国の責任を認めない不当判決に対し、私たち京都訴訟は勝訴しなければなりません。みなさまの継続的な支援が必要です。 長きにわたる裁判闘争をよそに地元では、「放射性物質」が国民そっちのけで資金源として「利用」されて続けています。これを、国や東電、福島県までもが「復興」と呼びます。 福島県内に30基の仮設焼却炉が作られ、目的達成すれば解体するという工事発注だけで1.6兆円を超えるお金が使われています。これを請け負っているのは原発メーカーとゼネコンです。また、焼却された可燃物は10万Bq/kg以下なら既存の管理型処分場（地元との安全協定がなくても実行）で埋め立てられますが、10万Bq/kg以上なら中間貯蔵施設で減容化や「再生利用」されます。下水汚泥を例にすれば、福島市には今は解体された脱水汚泥等の乾燥処理施設がありました。環境省HPにある除染や汚染廃棄物の処理技術実証事業の申請と契約結果でもゼネコンが躍進。便乗に便乗を重ね、原発事故景気さながらに税金を吸い上げます。 2020年秋からは、消費者からも毎月の「電気料金」から原発事故の賠償費用と各原発の廃炉費用が上乗せされています。原発は安い？ 原発事故の責任を国民に転嫁する国、東電は必ずや断罪されなければなりません。 福島敦子]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>2011年3月11日の東日本大震災により発災した福島第一原子力発電所の炉心溶融事故からまた卯年がめぐってきました。卯年とは、閉じていた門が開き「飛び出る」、祭りごとの際に生贄として捧げる肉を二つに切り裂いた形から出来た「分ける（区切る）」という意味に、動物の「兎」をあてたとされています。エネルギー政策の見直しが議論されるきっかけとなってから12年が経ち、この世の中は本当に変化したでしょうか。<span id="more-5439"></span></p>
<p>国・県が避難者への「みなし仮設住宅」の無償提供を2017年3月末で打ち切る政策をとった後に転居を強いられた避難者たち。私たち親子は、京田辺市にて三度目の避難生活を始め、少しずつ地に足が着くようになってきました。上の娘は社会人に、下の娘は、大学生になるほど時間は過ぎています。</p>
<p>避難者たちは健康問題や住宅問題などで闘う中、疲弊し、声も出せなくなっている人が増えました。しかし最近は風向きが変わってきました。それは、バイバイ原発きょうと2023で登壇した賠償訴訟原告のうち、当時子どもたちだった原告が多数参加して発言してくれたこと。京都の大学院生が中心になり原発事故に向き合い活動するチームの姿があるからです。</p>
<p>当時の子どもたちが、原発事故が起きてどう大人たちの話を聞いていたか。ニュースに触れ、友人たちとどう考えてきたか。子どもたちは、成長する過程で、「言葉」にし、それを「形」にしようと模索し始めています。原発から作られた電気の恩恵を受け、経済の発展の名のもとに大量消費生活にどっぷりと浸かってきた大人の一人として大変複雑な心地ではありますが、少しでも早い「福島第一原発事故の解決」を子どもたちとも一緒に達成できたらよいと思います。</p>
<p>2013年9月に提訴した原発賠償訴訟原告団(現在56世帯170名)は、 2018年3月の京都地裁判決では原発事故への国・東電の責任が認められました。しかし、避難指示区域外からの避難の相当性を認定こそしたものの、法定被ばく限度(1mSv/年)を避難の基準にせず、避難の相当性を翌年4月1日までの避難に限定、賠償期間を避難開始から2年間に限定、賠償額はあまりにも低額であるため、大阪高裁に控訴しそろそろ結審の日が具体的に見えるところまで来ました。</p>
<p>控訴審でのハイライトは、原告のほとんどが回答したストレスアンケート調査や当時大阪大学医学系研究科の本行教授に書いていただいた意見書が提出されたことです。</p>
<p>意見書には、放射性感受性に個体差があること、年齢が若いほど放射性感受性が高く、影響を強く受けやすいこと、が示されています。</p>
<p>また、国際人権法に関する主張。私たちが主張する「避難に対する権利」や「「健康に対する権利」に関連している国際法は、自由権規約や社会権規約と多岐にわたり、日本はこれらの締約国のため人権条約上の義務を国内で実施する法的義務があります。現在もなお、原発事故の収束のめどは立たず、子どもたちの健康がおびやかされたり、避難者が不当に住宅を追い出されたり、事故後の補償もない今の状態は明らかな国際人権法違反です。また、昨年6月の最高裁での4訴訟（群馬、生業、千葉、えひめ訴訟）に対する国の責任を認めない不当判決に対し、私たち京都訴訟は勝訴しなければなりません。みなさまの継続的な支援が必要です。</p>
<p>長きにわたる裁判闘争をよそに地元では、「放射性物質」が国民そっちのけで資金源として「利用」されて続けています。これを、国や東電、福島県までもが「復興」と呼びます。</p>
<p>福島県内に30基の仮設焼却炉が作られ、目的達成すれば解体するという工事発注だけで1.6兆円を超えるお金が使われています。これを請け負っているのは原発メーカーとゼネコンです。また、焼却された可燃物は10万Bq/kg以下なら既存の管理型処分場（地元との安全協定がなくても実行）で埋め立てられますが、10万Bq/kg以上なら中間貯蔵施設で減容化や「再生利用」されます。下水汚泥を例にすれば、福島市には今は解体された脱水汚泥等の乾燥処理施設がありました。環境省HPにある除染や汚染廃棄物の処理技術実証事業の申請と契約結果でもゼネコンが躍進。便乗に便乗を重ね、原発事故景気さながらに税金を吸い上げます。</p>
<p>2020年秋からは、消費者からも毎月の「電気料金」から原発事故の賠償費用と各原発の廃炉費用が上乗せされています。原発は安い？</p>
<p>原発事故の責任を国民に転嫁する国、東電は必ずや断罪されなければなりません。</p>
<p style="text-align: right;">福島敦子</p>
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		<title>いちどくを この本『発達障害児と家族への支援』（NEWS No.571 p08）</title>
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		<pubDate>Sun, 21 May 2023 15:29:34 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[571号2023年3月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[高橋脩 著/青木藍 聞き手 日本評論社　 定価2,530円（税込） 2022年5月刊行 小児科医としてスタートした40年前、子どもの障害といえば脳性麻痺、神経筋疾患、重症心身障害、先天性の形態障害などでした。その後、療育の場に携わり、知的障害や自閉症の子どもたちを前に、成す術もなく戸惑っている時、同じ職場で子どもや家族に接する姿勢を、傍らで見せていただいたのが著者の高橋脩先生です。 時は経て、「発達障害」・「自閉スペクトラム症」児のみならず、子ども達の世界が様変わる中で、発達という人生のスパンで、一人ひとりを観察し見通しを立てる大切さを再認識しています。 本書は若い児童精神科医によるインタビューと、著者の論文・エッセー集による二部構成となっており、半世紀にわたる自閉症の研究と実践の結晶となっています。どこから読むかは読者任せですが、まずエッセー「精一杯説」からを希望されます。子どもは余裕なく、ひたすら精一杯生きている。それは幼いため、未知の生活に活かす経験の蓄積がないからと。子どもは育てるのか、育つのか。教えねばならぬではなく、育ちを支えるため、発達や個性・特性に即して関わるという発達障害理解のための前提が示されています。 第一部を構成するインタビューでは、発達障害をもつ子どもと家族に対する診療の実際が、問答形式で解りやすく解説されます。対象は、発達障害に関心のある若い精神科医向けとなっていますが、小児科医や臨床心理士ほか、子どもに関わる医療福祉関係の方々にも必読と思われます。 診察は、部屋に入る前の子どもの行動観察、同伴する家族への配慮から始まります。問診では子どもの生育歴、発達行動、家族環境などの状況把握の重要性が示され、子どもの評価のために食事、　排泄、衣服の着脱、睡眠、発音、言語発達、表情、人との関係、遊び、描画・書字などについての定型発達の見方が述べられます。この確認のもとに、子どもの愛着の発達段階の観察と分析から、自閉症児とADHD児の定型発達の見方が示されます。 自閉症については、①コミュニケーション、②対人交流、③こだわり行動と感覚の異常、の三主徴の特異的行動の有無を確認して診断しなくてはならないとします。診断は結果ではなく、支援のための道具であるとされ、予後の予測と生活の見通しを、養育者の理解できる言葉で丁寧に伝えなくてはならない。療育の役割は、ありのままの子どもを認めて無理のない発達の支援と、親の子育て支援をセットにして、安心感と自己肯定感を黒衣として支援すると、療育の大切さを強調されています。 本書は、発達障害診療のノウハウ本ではなく、発達障害は人生途中の機能喪失である中途障害とは異なり、生まれつきの機能不全があっても失うものはない機能獲得の人生を歩み続ける子どもたちへの眼差し・障害観に貫かれています。 最後に、2014年「こころの科学」の論文「自閉症を巡る医学的概念の変遷」が紹介され、1943年米国のカナーから翌年のオーストリアのアスペルガーに始まり、広汎性発達障害、自閉症スペクトラム障害に至る自閉症概念について、医学的な重要研究と関連付けながら説明がされており、現在の到達点・問題点を整理するのに役立ちます。 発達障害・自閉スペクトラム症への関心が高まる中、療育と社会的支援に関心と情熱を持たれる方々には、拙い案内でしたが是非ご一読の上お許しいただきたい。 入江診療所　入江]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-8.jpg"><img class="alignleft size-full wp-image-5442" title="571-8" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/571-8.jpg" alt="" width="203" height="300" /></a>高橋脩 著/青木藍 聞き手<br />
日本評論社　 定価2,530円（税込）<br />
2022年5月刊行 <span id="more-5441"></span></p>
<p>小児科医としてスタートした40年前、子どもの障害といえば脳性麻痺、神経筋疾患、重症心身障害、先天性の形態障害などでした。その後、療育の場に携わり、知的障害や自閉症の子どもたちを前に、成す術もなく戸惑っている時、同じ職場で子どもや家族に接する姿勢を、傍らで見せていただいたのが著者の高橋脩先生です。</p>
<p>時は経て、「発達障害」・「自閉スペクトラム症」児のみならず、子ども達の世界が様変わる中で、発達という人生のスパンで、一人ひとりを観察し見通しを立てる大切さを再認識しています。</p>
<p>本書は若い児童精神科医によるインタビューと、著者の論文・エッセー集による二部構成となっており、半世紀にわたる自閉症の研究と実践の結晶となっています。どこから読むかは読者任せですが、まずエッセー「精一杯説」からを希望されます。子どもは余裕なく、ひたすら精一杯生きている。それは幼いため、未知の生活に活かす経験の蓄積がないからと。子どもは育てるのか、育つのか。教えねばならぬではなく、育ちを支えるため、発達や個性・特性に即して関わるという発達障害理解のための前提が示されています。</p>
<p>第一部を構成するインタビューでは、発達障害をもつ子どもと家族に対する診療の実際が、問答形式で解りやすく解説されます。対象は、発達障害に関心のある若い精神科医向けとなっていますが、小児科医や臨床心理士ほか、子どもに関わる医療福祉関係の方々にも必読と思われます。</p>
<p>診察は、部屋に入る前の子どもの行動観察、同伴する家族への配慮から始まります。問診では子どもの生育歴、発達行動、家族環境などの状況把握の重要性が示され、子どもの評価のために食事、　排泄、衣服の着脱、睡眠、発音、言語発達、表情、人との関係、遊び、描画・書字などについての定型発達の見方が述べられます。この確認のもとに、子どもの愛着の発達段階の観察と分析から、自閉症児とADHD児の定型発達の見方が示されます。</p>
<p>自閉症については、①コミュニケーション、②対人交流、③こだわり行動と感覚の異常、の三主徴の特異的行動の有無を確認して診断しなくてはならないとします。診断は結果ではなく、支援のための道具であるとされ、予後の予測と生活の見通しを、養育者の理解できる言葉で丁寧に伝えなくてはならない。療育の役割は、ありのままの子どもを認めて無理のない発達の支援と、親の子育て支援をセットにして、安心感と自己肯定感を黒衣として支援すると、療育の大切さを強調されています。</p>
<p>本書は、発達障害診療のノウハウ本ではなく、発達障害は人生途中の機能喪失である中途障害とは異なり、生まれつきの機能不全があっても失うものはない機能獲得の人生を歩み続ける子どもたちへの眼差し・障害観に貫かれています。</p>
<p>最後に、2014年「こころの科学」の論文「自閉症を巡る医学的概念の変遷」が紹介され、1943年米国のカナーから翌年のオーストリアのアスペルガーに始まり、広汎性発達障害、自閉症スペクトラム障害に至る自閉症概念について、医学的な重要研究と関連付けながら説明がされており、現在の到達点・問題点を整理するのに役立ちます。</p>
<p>発達障害・自閉スペクトラム症への関心が高まる中、療育と社会的支援に関心と情熱を持たれる方々には、拙い案内でしたが是非ご一読の上お許しいただきたい。</p>
<p style="text-align: right;">入江診療所　入江</p>
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