「医療・福祉を語るつどい」参加報告(2008年11月23日)

「医療・福祉を語るつどい」参加報告

2008年11月23日に西宮勤労会館で開かれた「安心して暮らせる街に〜医療・福祉を語るつどい」に参加し,「医療崩壊の現場より:高齢者と高齢者を取り巻く状況に注目して」と題し,医問研の一医師としてお話して来ました。
当日の基調報告で明らかにされていたことですが,2002年度より医療・福祉・年金は毎年2200億円ずつ削減(!)されて来ています。昨今の医療・福 祉システムの崩壊を直接的にもたらしたのは,この公費削減なのです。長い間,国民にこの事実は隠されてきましたが,今年度,後期高齢者医療制度の施行後, 問題が噴出し,「もう限界だ」という声が政府を追い詰めてきています。私の方からは,日本の医療費は少なすぎること,患者負担がますます増大していること と共に,公的医療費削減の中にあっても製薬企業や医療機器産業は確実に利益を確保していることを解説しました。
「本当に良い薬でも,安くて儲からないものは製造中止になるんです。それが市場原理です。」
という話に参加者は驚きの様子を隠せませんでした。自分達の命をあずける薬がそんな危うい事態となっているとは,思いもよらなかったようです。一方で,保 険制度つぶし,混合診療の推進が狙われており,必要な治療用ミルクが勝手に6倍に値上げされようとした(批判で中止になりました)事にも,皆,驚かれてい ました。
参加者からは深刻な体験談が赤裸々に語られました。以下,紹介しておきます。

Case1:胸・腰椎の圧迫骨折があり,日常的にはかなりの介助が必要な方。本年4月に心不全を起こしたが,子どもは東京在住で独居のため,対応に苦慮。 本人は老人保健施設入所を拒否。独居のまま過ごす。10月になり特変あり。24時間点滴が必要となり,サービス提供者がボランティアで泊まることに。朝方 急変し死亡。こういう例が特例でなくなっている。「地域の力で」と行政は言うけれど,どこに力があるのか?

Case2:72歳,男性,末期癌。高熱が出たので救急車でK病院に搬送。独居なので自分が同乗した。主治医から,「家に帰りたいというから連れて帰っ て。」と言われたが,独居であることを説明。「本人,家で死にたいと言うてる。」と反論されたが,それは困ると,何とか入院させてもらった。その後,緩和 ケア病院を捜したがみつからないので一般病院に転院。11月初旬,死亡。

Case3:父母ともに認知症で認知症対応型グループホームに入所した。入所費用は36〜37万円/月。しかし父母合わせて年金が32万円/月しかない。 これでは他の費用も含め月々10万円不足する。しかたがないので,父母の家を売ってできた貯金を切り崩して使っている。施設の介護ベッド購入は保険が利か ず,自己負担だった。

医療・福祉の崩壊を止めるための取り組みが,ますます問われていることを強く実感した集会でした。

2008.11 Y