夢洲万博の会場中央にある「静けさの森」の水盤から、5月19日に保健所が検査のため採取した水で、指針値を上回るレジオネラ属菌が検出され、保健所は28日夜に即座に通知をし、その時点で万博協会は状況を把握していた。しかし水を抜くなどの対応をしたのは、翌29日の営業終了後の午後10時であった。営業時間中は、子ども達が水遊びできる状態が続いていたのである。
さらに水上ショーの開催可否の判断のため、30日に自主的検査を行ったところ160CFU(菌のコロニー数)と指針値の100CFUを超えていたため、次亜塩素酸の投入量を増やし、配管を清掃するなどの対策後、6月3日に再び簡易検査をしたところ、4日の夕方に20倍の菌を検出した、と保健所に報告し水上ショーの中止を決めた。大阪市生活衛生課は「ウォータプラザは水景施設に該当するため、100CFU以上が検出されれば噴水を止めることになっている」と説明しているから、既に30日にはウォータプラザで開催している水上ショー「水と空気のシンフォニー」と「アオと夜の二次のパレード」は中止すべきであった。その後、万博協会は配管の清掃や次亜塩素酸の投入量を増やすなどの対策を行ったにもかかわらず、最新の検査では基準値の50倍と倍増している。
国立感染研究所によると、レジオネラ症は、レジオネラ・ニューモフィラを代表とするレジオネラ属菌による細菌感染症で、その病型は劇症型の肺炎と一過性のポンティアック熱がある。土壌や水環境に普通に存在している。しかし快適な生活や水資源の節約のため、エアロゾルを発生させる人工環境(噴水等の水景施設、ビル屋上に立つ冷却塔、ジグジャー、加湿器等)や循環水を利用した風呂が、感染機会を増やしている。7月に多く発生し、しばしば旅行と関連する。人から人への感染はない。レジオネラ肺炎は市中肺炎の約5%を占め、潜伏期は2~10日である。細胞性免疫機能が低下した人での肺炎の危険性は高く、高齢者や新生児のみならず、大酒家、重喫煙者、透析患者、悪性疾患・糖尿病・AIDS患者は特に留意する必要があるとしている。
感染症法上の取り扱いは、全数報告対象(4類感染症)であり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届ける義務を負っている。
現在の「レジオネラ症防止指針」では
検査の結果レジオネラ属菌が検出された場合の対応は以下のとおりである。
1) 人が直接吸引する可能性のない場合
100CFU/100ml(CFU:Colony Forming Unit)以上のレジオネラ属菌が検出された場合、直ちに清掃・消毒等の対策を講じる。
また、対策実施後は検出菌数が検出限界(10CFU/100ml未満)以下であることを確認する。
2) 浴槽水、シャワー水等を人が直接吸引するおそれがある場合
レジオネラ属菌数の目標値を10CFU/100ml未満とし、レジオネラ属菌が検出された場合、直ちに清掃・消毒等の対策を講じる。
また、対策実施後は検出菌数が検出限界以下であることを確認する。
と定められている。
万博協会の【お詫びとお知らせ】が出た6月4日までの2週間以上、会場内がレジオネラ菌に汚染されていたことになる。
本格的な夏を迎え、大阪中のゴミの埋立地をアスファルトで覆っている万博会場では腐敗・発酵が進み様々な健康リスクが高まらざるを得ない。
ガス濃度測定では、爆発事故を起こしたメタンガスほか硫化水素、二酸化炭素、アンモニアなど有毒ガスが検知されていたが、6月2日より公表がメタンガスのみに簡略化された。熱中症ほか救急搬送の発生の隠蔽にも注意が必要である。
入江診療所 入江