7月2日の党首討論会で、石破首相は、消費税減税はある意味「ばらまき」、社会保障費減額を自・公と維新との合意に基づき「改革」を進めると表明しました。「医療費4兆円削減」「11万病床削減」計画を推進すると表明したのです。この2月に3党は、2027年までの2年間に病床11万床削減、最低4兆円の医療費削減を「骨太方針」に反映、6月6日には自・公・維新で正式合意していました。 下表右端列のように、削減病床の内訳は、一般・療養病床を5.6万床、精神病床5.3万床です。今回は前者について検討します。 昨年8月26日の厚労省「第7回新たな地域医療構想等に関する検討会」では、2025年必要病床を、「高度急性期」13万床、急性期40.1万床、回復期37.5万床、慢性期は28.4万床と、コロナ禍でのこれら医療施設の充実が強く求められたことを忘れたかのように、不当にも大幅に減らしました。それでも、回復期に関しては37.5万床必要とし、その見込み数より16.4万床増やす必要があるとしています。その必要総数は119.1万床でした。(下表)
自・公・維新の3党案の11万床削減案は、政府の案とも全く矛盾するものであり、その点でもなんの根拠もない無責任なものです。
また、日本の医療機関は大変な経営難に直面しています。日本医師会と日本病院協会など6団体が実施し、3月に公表した緊急アンケ―ト調査(1800施設)では、6割が昨年6月以降赤字でした。昨年の物価は3.5%だったのに対し、診療報酬わずか0.88%増。また、人件費、購入資材費、水・光熱費などが2.6%増に対し、医業収入1.9%増で、当然、赤字病院は2023年で50.8%、24年には61.2%に増加したわけです。職員の確保ができず、稼働病床の削減(20.7%)、患者サービルの低下(44.8%)などが報告されています。
病床削減を含めた医療費削減圧力は、当然、医療機関に患者のためでなく、赤字解消のための方策を強要します。患者を増やす(過大な診断)、利益の高い検査、高額な薬剤による「収入増」などに頼らざるを得ません。
今年に入り、政府は「薬機法」を改悪し、効果なく危険な薬でも早く認可できるシステムを作りました。医療機関はそれによる製薬企業の利益増の一部に頼るかも知れません。がん検診など、患者を増やせる分野への投資増も考えられます。がん検診は、毎日新聞でさえ「科学的根拠に疑問符」(5/28毎日)と報じるほどです。日立などが進める低線量CTの肺がん検診も問題です。(本誌No.534 p7参照)患者に不利益を与える病院の「利益」が推進されれば大変です。利益が出ない患者の排除が生じる可能性さえ危惧されます。
そうではなく、財源は、大企業や富裕層への優遇税制、軍事費や大企業内部保留(564兆円)から医療に回し、患者の利益を最優先する体制を作るべきです。
