浮雲保健師ぶ~やんの呟き 「あんたは、偉い!」~の巻(NEWS No.467 p06)

(ある家族の風景)
5年生の長女Aちゃんが 学校から日本脳炎の予防接種2期接種の問診票をもらって帰宅。
以前は、インフルエンザの予防接種も毎年受けていた家族だが、最近ちょっと学習したママにより、ここ数年ワクチンのことは慎重になってきていた。
ママ「日本脳炎のワクチン。まだ副作用心配って聞いたから受けなくていいよ」
Aちゃん「え~。他の子は皆受けてるのに、Aちゃんだけ(日本脳炎に)罹って死んだらどうしてくれんの?」
と、最近のママの学習を知っているAちゃんも、笑顔で冗談交じりに答えた。
その数日後。
妹のBちゃん5歳が MR(麻疹風疹混合ワクチン)第2期就学前接種のため近所のクリニックに受診。以前から受診していた主治医と違う、近くに開院した医院。
姉のAちゃんも同伴。
ママはMRワクチンなので、説明も読み問診票も記入して緊張することなく受付に予防接種手帳と母子手帳を提出して、待合室で待っていた。
Bちゃんの名前を呼ばれ診察室に入ると、いきなり…
医師「この子、日本脳炎ワクチン受けてないね!どうして?」
ママ「え?日本脳炎?えっと…。副作用とか心配で…」
医師「副作用?そんなのは昔のワクチンで、新しくなってるし!」
ママ「でも、まだ心配で…」
医師「お母さん、何言ってるの!毎年 日本脳炎出てるし、この子が海外に留学するときとか困るのは、この子!」
ママ「え~。でも~…」
医師「今日、一緒に接種しといてあげるから。すぐ問診票書いて!」
ママ「でも…2種類も一緒に…」
医師「何言ってるの?欧米では4種も5種も同時接種してるし、ベビーちゃんでも大丈夫!云々…早く問診票書いて!」
ママ「・・・はい」
腑に落ちないまま、その場で問診票に記入させられた。それでも問診票の項目で
・この予防接種の説明書を読みましたか?
の欄は・いいえ に丸を付けて『強引な医師』への『小さな抵抗』を試みてみた。
しかし、奮闘むなしく、その項目などには見向きもされず、完全スルー。
いきなり、2か所に注射を打たれ、大泣きのBちゃん。ママも心で大泣き。
医師「次の2回目接種の予約して帰って!上の子の日本脳炎も一緒に予約して!」の指示だけ。当然!?接種後30分の確認も無く終了~。ボー然としているママ。
受付で次の予約日を聞かれるも「予定が分からないので…」と、なんとか予約せず医院を出た。
帰り道。
少しずつ落ち着きを取り戻してくると、疲れと不安がドッと押し寄せてきた。
『なんで、しっかり断れなかったんだろうか?』『副作用出たらどうしよう』『この子に何かあったら私の責任だ~』…大混乱。
付き添っていた姉Aちゃんは、冷静に妹を気付かいながら帰宅。
数日後、発疹と微熱がでたBちゃん。
大慌てで、以前からの主治医に受診。Aちゃんも一緒に。
主治医と違う医院に行って日本脳炎を接種してしまって恐縮し、副反応に怯えるママに主治医は「そんな医師の方が多いよ。断れなくても仕方ないよ。そんなに心配しなくていいから。様子見ようね。」と反対に優しく気遣ってくれた。ママ感激の涙。
そばで妹の相手をしていたAちゃんがポツリと、でも キッパリと一言
「私、日本脳炎の注射受けなくていい!」ママ感動の涙。「あんたは、偉いなぁ!」
(川崎恵子)