浮雲保健師ぶ~やんの呟き 「天使の微笑み…♡」〜の巻(NEWS No.473 p05)

母乳を満腹飲んで、ベビーベットでスヤスヤ眠っている赤ちゃん。寝顔は正に天使そのもの。でも それが 夜中に目を覚ましぐずり始めると、お疲れ気味のママは 最悪の気分。
産後疲れのママたちにとって 睡眠不足との戦いは 必須科目。初産婦さんなら まずは約3時間毎の授乳に付き合わなければならない。ついこの間まで、目覚まし時計を 何個もセッチングしなければ、遅刻していた女の子。たまたま母になって ある日から突然 3時間毎に起きる日々。
起きられるか心配する新米ママも居る。それでも頑張って母乳やミルクのために起きて毎日寝不足状態のママにとって「赤ちゃんは天使」って聞いていたが、そんな気分になれない。
昼間の寝顔は本当に可愛くて 何時間見ていても飽きないと思えることもある。ゆったり眺めている時に 赤ちゃんが目覚めると 幸せそうな笑顔を見せてくれる。『天使の笑顔』だ。
しかし、その笑顔が 一変『小悪魔の笑顔』になる時がある。
昼間に仮眠が出来なかったり 仕事に行っていたり 上の兄姉が居ると 幼稚園や学校の都合で 日中 ゆっくり出来そうにないママ達は、日々疲れが溜まってくる。ましてや、夜中に 夜泣きでもされると 益々 辛くなってくる。
夜中に 泣いている赤ちゃんを なんとか眠ってほしいと ママの疲れた体を叩き起こし 祈りながら抱き寄せる。こんな時に 満面の笑顔を見せられると 『なんでこんな時間に笑顔なの?怒』と思ってしまい 昼間と同じ 赤ちゃんの笑顔なのに 『小悪魔の笑顔』に見えてしまう瞬間だ。
落ち着いて見たら天使なんだけど、ママたちのお疲れ判定指数にも使えるかも?
ある日の Aくん。
兄 姉 が居る第3子。
兄姉は、行事ごとで 忙しい3学期。産後とは言っても 休む間もなく ママは大奮闘。
Aくんへの夜中の授乳が済んで ママがウトウトし始めた頃 いつもよく寝てくれるAくんが 何故か珍しくベビーベットでぐずり始めた。眠いママは しばし聞こえないふり…。
それでも泣き止まず、ママが仕方なくベビーベットを覗きこむと 抱っこしてもらえると喜んだのか、Aくんは、泣き止み満面の笑み。『ガーン!小悪魔の笑顔だ~』と思った。ため息つきながらも 仕方なく抱き上げて 家族が雑魚寝している布団に連れて行き一緒に入眠を試みる。すると、不思議と グズること無くスヤスヤ眠り始めるAくん。「寒かったのかな?」と大して気にせずママも横になった『天使の寝顔』に癒やされながらウトウト…。
…と、その直後

ドッスーン ガタン グラグラ ゴゴー・・

激しい振動に驚き 何が起こったのかわからない状況に。
1995.1.17 am5:46 阪神淡路大震災
目覚めたAくん家族は 散乱した室内ではあったが 幸い皆無事。ふと見ると さっきまでAくんが眠っていたベビーベットは 壁にあった本棚が倒れこみ潰れていた。ゾッとすると同時に抱いている我が子をみると 『天使の笑顔』を見せてくれた。
「それからは何時に見ても天使の笑顔に見えるんです~」が、当時 大阪に避難してきたばかりのAくんママの口癖。その後も、大阪での生活を立て直すのに大変な毎日を送られていたAくん家族。心身ともに疲れきった時に 癒やされるのは 子どもたちの元気な笑顔。
あれから20年。
Aくんは 無事 成人式を迎えました。

川崎恵子