「ガザで拘留されている小児科医・フサム・アブ・サフィア博士の拘留からの即時解放」「ガザのパレスチナ人小児科医の逮捕に関する IPA 声明への賛同、周知」を求め、日本小児科学会に対する要請行動にご協力を!(NEWS No.595 p04)

昨年12月28日、イスラエルにより北ガザで最後の主要な医療施設であったカマル・アドワン病院への襲撃が行われました。この襲撃でカマル・アドワン病院の院長(パレスチナ人小児科医・フサム・アブ・サフィヤ博士)をはじめ多くの医療従事者が不当に拘束され、現在も釈放されていません。この不当な逮捕、拘留に対してフサム・アブ・サフィヤ医師とすべての医療従事者の即時釈放を求め世界から批判の声が上がっています。

ガザでの戦争は驚くべき速さで命を奪い続けています。2023年10月7日から2025年2月11日の間に、ガザ保健省によると、ガザでは、少なくとも48,219人のパレスチナ人が殺害され、111,665人が負傷したと報じられています。

イスラエル軍による医療施設とスタッフへの意図的で標的を絞った破壊によってガザの医療システムは完全かつ徹底的に破壊され崩壊しました。何千人ものパレスチナ人が強制的に拘束されており、その中にはカマル・アドワン病院の小児科医であり院長であるフサム・アブ・サフィヤ博士も含まれています。

カマル・アドワン病院などの医療施設は強制的に避難させられ、襲撃され、医療従事者が拘束され、攻撃され、殺害されています。2024年11月現在、ユニセフは「病院への継続的な攻撃により、過去1年間で少なくとも4,000人の赤ちゃんが命を救う新生児ケアを受けられなくなった」と推定しています。カマル・アドワン病院NICUの破壊により、ガザ地区の8つのNICUのうち稼働しているのは4つだけで、通常年間6,000人の新生児が集中治療を必要とする地域で、保育器は45台しかありません。アムネスティ・インターナショナルと他の複数の国際機関は、これらの行為はジェノサイドに該当すると結論付けています。

世界保健機関(WHO)は昨年12月28日、イスラエルによるカマル・アドワン病院への襲撃に対して声明を発表しました。「カマル・アドワン病院への襲撃に愕然としており、これにより、北ガザで最後の主要な医療施設が機能しなくなりました。医療制度の組織的な解体と、北ガザでの80日以上にわたる包囲は、その地域に残っている75,000人のパレスチナ人の命を危険にさらしています。WHOは国際人道法に従って医療従事者と病院を保護するよう繰り返し緊急の呼びかけを行ってきましたが、これらの呼びかけは聞き入れられていません。医療施設、労働者、患者は積極的に保護されなければならず、決して攻撃されたり、軍事目的で使用されたりしてはなりません。国際人道法の下で安全性が確保され、戦場から区別されるという原則は絶対的であり、常に適用されます。」

WHOのテドロス事務局長は本年1月6日、イスラエルに対し、この襲撃で不当逮捕されたガザのカマル・アドワン病院の院長を釈放するよう要請しています。

国際小児科学会・The International Pediatric Association (IPA) は、ガザでのパレスチナ人小児科医の逮捕に関する IPA の声明を発し「昨年12月に不当逮捕・拘束されているガザのパレスチナ人小児科医・カマル・アドワン病院長の釈放」を求めています。

「イスラエル軍によるカマル・アドワン病院の院長で小児科医のフサム・アブ・サフィヤ博士の逮捕に深い懸念を抱いています。私たちは、フサム・アブ・サフィヤ医師と不当に拘束されたすべての医療専門家の即時釈放を求めます。世界中の小児科学会に声を上げてこの声明を広く配布し、世界中のすべての組織と人々に認識を高め、この悲惨な出来事について世界に知らせるよう求めます。これにより、この非常に重大な問題に関するイスラエルの占領による侵害に圧力がかかります。私たちの優先事項は、子どもたちを救い、進行中の紛争にもかかわらず子どもたちを守ってきた人々と共に立ち上がることです。」

世界の小児科医に抗議の声を上げる様に求めています。アジアからは、韓国、インド、インドネシア、マレ-シア、シンガポ-ルをはじめ、世界44か国、地域の小児科学会長が名を連ねています。

私たちは、日本小児科学会も速やかに、このIPA声明に賛同し学会長が名を連ねることが必要に考えます。また、日本小児科学会全会員に迅速に衆知されることを求めます。

1月19日、ガザでの停戦合意が発効しました。世界の平和を願う人々の思いが突き動かしたものとして歓迎します。しかし、この停戦合意が始まって以来、イスラエルの攻撃で100人以上のパレスチナ人が殺害され、さらに多くの負傷者が出ています。さらに、3月18日、早朝から、イスラエルはガザ地区への大規模な爆撃作戦を開始し、パレスチナの保健当局によると、少なくとも404人を殺害し、数百人を負傷させています。ソーシャルメディアは、子どもを含む殺害されたパレスチナ人の画像や悲しみに打ちひしがれる家族の姿であふれかえりました。この空爆は、2023年10月7日に勃発した17カ月間の戦争において、これまでで最も血なまぐさい日の一つとなっています。これ以上の人道的大惨事を避けるために、今すぐ全面的、かつ恒久的な停戦を求める声を上げる必要があります。

国際小児科学会・ (IPA) はIPA Statements on Children Issuesにおいて、IPA Statement on Immediate Ceasefire in Gaza声明を発し即時停戦を求め続けています。

2月4日、トランプ米大統領は、アメリカがガザ地区を「乗っ取る」ことができるとし、そこに住むパレスチナ人に退去を呼びかけました。この発言を受けて、2月5日、グテーレス国連事務総長は、「パレスチナ人の不可侵の権利の行使は、その本質において、パレスチナ人が自分たちの土地で人間として生きる権利に関わるものである」と演説しています。ガザからの「一掃」は民族浄化(ethnic cleansing)行為であり許されるものではありません。

ガザの人道的大惨事に直面し、全面的かつ恒久的停戦を求め、救援と支援に尽力することは医療界の課題と考えます。日本小児科学会は、定款において、「小児医療の充実、子どもの健康、人権および福祉の向上、さらにこれらを社会へ普及啓発することを目的とする」と定めています。私たちは、今、日本小児科学会に対して、この使命を守り、すべての子どもたちの健康を擁護し、会員をサポ-トし、この恐ろしい大量虐殺の終結に向けて努力されるよう求めます。ガザの子どもたちは救援と支援を必要としている私たちの患者さんです。ガザの医療従事者は私たちの同僚であり、友人です。彼らは、これまで以上に支援を必要としています。

私たちは、日本小児科学会に対して、その組織力を使って、以下の内容を直ちに訴えられるように強く要請します。

1.ガザの小児科医フサム・アブ・サフィア博士と他の医療従事者の拘留からの即時釈放

2.国際小児科学会(International Pediatric AssociationIPA)のガザでのパレスチナ人小児科医の逮捕に関する IPA の声明に対して日本小児科学会もIPA声明に速やかに賛同され公表されること。日本小児科学会全会員に迅速に衆知されること

3. ガザ全域の病院など医療施設への攻撃を即時停止し、必要な医療を受けられるようにすること。

4.ガザでの全面的、かつ恒久的停戦を求め、ガザの人々と子どもたちに必要な人道支援と安全で健康な未来を確保すること。

現在、全国で心ある小児科医に賛同を求め、小児科学会に向けて要請行動を取り組んでいます。

昨年は、「ガザでの即時、かつ持続的な停戦に関する日本小児科学会の声明」を求める要請文を小児科学会長宛に送付し、博多で開催された第127回日本小児科学会学術集会で「ガザでの即時、かつ持続的な停戦」を求めて訴えてきました。本年も名古屋で開催される第128回日本小児科学会学術集会で訴えていきたいと考えています。

皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

髙松 勇  たかまつこどもクリニック