全交第9分科会「尊厳ある暮らしの保証を:誰もが安心して暮らせる高齢者の生活を実現しよう」に参加しました(NEWS No.600 p04)

<訪問介護事業所の経営悪化>

基調報告から、特に訪問介護事業所の経営が悪化していることが明らかにされました。様々な物価上昇の中で、事業収入が減って、やりくりができない状況におちいっているとのことでした。訪問介護事業所の実に4割が赤字になっているとの、事前の調査結果にもかかわらず、訪問介護報酬が2%引き下げになったのです。前年度同月比で、57%の事業所の収益が悪化しているとのことです。

<倒産の増加、その原因>

もう少し、具体的に見てゆきますと、老人福祉・介護事業所の倒産件数が2024年度には、過去最高の784件となっています。このうち、訪問介護事業所の倒産が529件でした。

(2024年「老人福祉・介護事業」の倒産、休廃業・解散調査 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ)

倒産の原因として、「売上不振」が133件(報酬引き下げや利用者の減による)、賃上げが進まない中で、ヘルパー採用ができない、ガソリン代など支出の増加、人件費の高騰などでした。その多くが、個人企業を含む小規模・零細事業者が占めています。

この結果として、訪問介護がしてもらえない「空白地帯」が拡大しています。「事業所0」が107町村、「事業所たった1」が272市町村(2024年6月末)にもなっています。

<きつい労働と安い給料>

この分科会への参加者で、訪問介護をされている方からの報告で、介護の度に排便の処理、その他様々な心身の介護を汗だくになって、毎日多くの方々の家を回っているとことでした。介護してもらう方も収入が少ないため、クーラーをできるだけつけずにいる家庭も多々あるとのことでした。その訪問介護職員の給料は「全産業」より月8万円少なく、看護師より10万以上少ないのです。

仕事はきつく、賃金は安いので、当然介護職員は増加せず、2022年をピークに減少に転じて、23年には212.6万人です。厚労省の推計でも、57万人の不足だそうです。

<介護改悪案による被介護者負担増>

そんな状況での、訪問看護報酬の2%引き下げですから、訪問介護事業所経営は展望を見いだせず閉鎖するところが多数でてくるのは当然です。

その上、比較的軽いが介護が必要な「要介護1・2」の方々への介護保険給付を外す(全額自費にする)、ケアプラン作成の有料化(これも自費)、利用料2割負担の対象者の拡大など、介護される側の直接的負担の増加が「政府の2025年骨太方針」で出されています。それらの、負担増は、主に軍事力強化に使われようとしているようです。

<介護改善の取り組みと成果>

ZENKOは年2回の厚労省交渉を実施し、東京、大阪市や西宮市などでアンケートを実施するなど、先の困窮を訴え、改善を迫っています。当面の課題を集約して、当該自治体へ提議し、改善を実現した例も紹介され、力強く思いました。また、東京の複数の区では、介護事業所への補助金、などが実現しています。

<私の発言:病床削減より介護の拡充が先>

私は、本誌6月号1面に書いた、主要な医療の改悪である、自・公と維新が提案している11万病床削減案を報告しました。その半分5万6千床が一般病床削減案です。これは、急性期を過ぎた患者の病床で、在宅介護も求められる「回復期」病棟を、厚労省の試算で必要とされた16万床も減らすことになります。すると、多くの病気からの「回復期」で、介護が必要な病人を在宅に放り出すことになります。訪問介護が縮小される中でこのような病床削減は決して許されものではありません。

<老いも若きも、巨大企業の莫大な利益を介護に投入させよう>

維新などは介護保険料が高額すぎるとして「高齢者」と若者との分断を図っています。確かに、介護保険料は高すぎ、給付は低すぎ、介護保険は破綻しかかっています。高齢者だけでなく、その家族の若い家族も困るはずです。いまこそ、高齢者と若者が分断されず共に、天文学的に増加している巨大企業の内部保留や超高額所得者への課税を増加させ、それを介護につぎ込むことで連帯して闘わなければならないとの思いを強くしました。

(はやし小児科 林敬次)