コロナワクチンとの関連を示唆する超過死亡の分析(NEWS No.602 p04)

少し前になりますが、8月25日、雑誌PRESIDENT on line「によるとコロナワクチンで50万人死んでる!すごい猛毒を日本政府が勧めた!という投稿がXで拡散した。」とのネット記事を読みました。38.4万件を超える表示があるとのことです。多くの読者が、今もコロナワクチンによる有害作用に関心が高いために「プレジデント」も記事にしたものと思われます。

<超過死亡の原因は解明されていない>

他方で、この「記事」の「検証記事」では、「専門家」宮坂昌之大阪大招へい教授により、「ワクチン接種と超過死亡がよく重なったのは、7回の定期接種のうち1回のみでした。“超過死亡説”が本当なら、接種のたびに超過死亡が起きたはずです。したがって超過死亡はワクチンではなく、新型コロナ感染症によって起きた、と考えるべきでしょう」と説明されています。宮坂氏はどのようなデータを根拠に、この理解困難な主張をしたのかわかりませんが、50万人とコロナ感染による死亡数(昨年8月までで約13万人)とはかけ離れています。また宮坂氏は「たまたま突然死と重なってしまったケースが多いと考えるのが自然です」としていますが、従来から生じていた頻度の「突然死」とワクチンが単に重なっただけなら「超過死亡」は生じるはずがありません。きっと「専門家」もまともな説明ができないのでしょう。

多大な犠牲と費用を払って取り組まれたコロナ対策にもかかわらず、多数の超過死亡があれば、その原因を科学的に明らかにすることが政府や専門家の責務ですが、納得できる説明がされていません。

<超過死亡の正確な分析が必要>

そして、まずはどれほどの超過死亡が発生したかを科学的に分析することが求められています。コロナが流行した時期についての、超過死亡の分析は、色々されているようですが、私はドイツの生物統計学者ハーゲン・シャアブ(HS)氏と論文を発表したことは既にお伝えしました。

コロナワクチンに批判的な内容だけに、HS氏は掲載医学雑誌に苦労しました。福島原発の人体被害の報告以上に雑誌の発表が妨害されている可能性を疑います。事実、儀保美紀氏らのコロナワクチンとガン増加との関連を示した論文は一度掲載されましたが、不当な撤回がされています。

ここでは、改めてHS氏と私の論文内容を簡単に説明します。また、その論文に対するKorblein氏の批判に対する回答した論文を、初めて紹介します。

<2022年までの超過死亡論文内容紹介>

再度になりますが、下図で紹介します。縦軸は、千人当たりの死亡率、横軸は年度です。基準となる死亡率の推移は、左下から右上にかけての直線です。2011年から13年までの黒丸は東日本大震災の影響による死亡率の増加を示しています。

コロナに関しては、右上に移行して2020年に大きく死亡率が低下し、2021年に少し超過死亡が現れています。2022年に大きく増加、この年だけでも122,158(95% 信頼区間98,438 から 145,5049)人の超過死亡でした。2023年には千人当たり死亡率が12.4人で、2024年は同12.7人でした。上図の2022年の超過死亡は、12万人をこえていますので、2023年と2024年を合わせた超過死亡は10万人以上だと考えられます。とすると、2022年から24年の超過死亡は20万人を超えると思われます。(正確な数字は現在シェアプ氏が検討中です。)

<ドイツでの超過死亡の詳しい分析>

この論文に対し、ドイツのKoerblein氏が批判のレターをくれました。以下は、彼への反論の中でドイツの0歳から30歳までの超過死亡の分析と、70から75歳の分析を報告していますので見てゆきます。

下図は、0~30歳層の男女別の死亡率データです。実線は、ポアソン回帰モデルを示しています。上が男、下が女です。年々死亡率は低下しています。2020年3月22日ごろの縦の点線(新型コロナウイルス感染症のロックダウン開始日)からは、死亡率が急に低下して、しばらく横ばいです。この急な低下は、交通事故の減少による可能性が高いようです。

しかし、新型コロナウイルス感染症の集団ワクチン接種が開始された、同年12月ごろ死亡率は上昇し始め、23年に2019年以前の水準に戻っています。若者の同ワクチン接種は遅れましたので、死亡率は徐々に増加したように思われます。

次の図は、70-75歳の死亡率の推移です。この年齢では、2020年の低下なしに、2021年に急激に増加し、そのまま増加し続けています。

以上の2つの図の、コロナ流行時の死亡率の推移を比較すると、コロナワクチン接種の優先権が認められていた高齢者では、死亡率は突然かつ急激に増加しましたが、若者ではワクチン接種効果がゆっくりと増加したことを反映した死亡率の推移であり、コロナワクチン接種との関連性を示唆しています。

上図の回帰モデルによると、「2023年までの観測値と予測値の合計の差(超過死亡)は約37,000(95%信頼区間は23,000から51,000)人です。これは、2020年から2022年にかけてのドイツ全体の超過死亡数133,000人のうち、最大約3分の1が、70~75歳層における集団ワクチン接種による超過死亡のみによるものであり、ワクチン接種が行われなかった場合の2020年の超過死亡によるものではないことを意味します。」(論文本文)

このように、年齢別の死亡率の推移と、コロナワクチン接種との関連を見ると、元の論文より、一層コロナワクチンと超過死亡の関連も明らかになることを示唆した報告でした。

今後、日本での超過死亡の詳しい分析が課題となっています。

(はやし小児科 林敬次)

<文献>
Med Clin Sci. (2023) Vol 5 Issue 2:1-7

https://doi.org/10.33425/2690-5191.1084