10/13団結まつりが10月13日に大阪市の扇町公園で開催されました。スローガンは「大軍拡・ミサイル弾薬庫・カジノ・原発やめて命・くらしを守ろう ガザ・パレスチナへの虐待をすぐ止めよう!」で、ガザ虐殺反対、カジノ反対、労働者の雇用と権利の闘いなども持ち寄られました。交流の広場「オンラインカジノに道開くカジノ中止」の企画にカジノとギャンブル障害についての話題提供を依頼されていたので参加しました。
実は話題提供の依頼段階で、事前に案内された交流企画のテーマではギャンブル障害当事者が排除を感じるおそれを含んだ表現だったので、運営者に疑念を伝えましたが、配慮が不十分なことは認められつつも排除の意図はないということで、話題提供を引き受けました。
交流の広場では、まず初めに多数の被害相談が「ギャンブル依存症を考える会」に寄せられているオンラインギャンブルに関する報道の録画上映がありました。
次いで「ギャンブル障害とカジノをめぐる最近の情勢について」と題して梅田が話題提供。これまでの医問研例会や医問研ニュース、山川会などで報告したまとめに加えて、最近のオンラインカジノに関する報道やギャンブル障害の病態、オンラインギャンブルの特性などにも触れました。
コロナ禍以降、オンラインギャンブル(オンラインカジノ含む)が急増しています。公営ギャンブル(中央競馬、地方競馬、競輪、オートレース、ボートレース)のオンライン購入の割合は2023年にはおよそ80-90%に急増しています。また、ギャンブルの種目では、コロナ禍前の2017年4月から2019年3月までの調査では、パチンコ・パチスロが6割超、公営オンラインギャンブルおよび非合法オンラインギャンブルの割合は、合計でも14%程度だったのが、パンデミック後の22年6月から24年5月までの調査では、公営オンラインギャンブルが最多の40%、非合法オンラインギャンブルも19%で、オンラインというくくりでは50%超えています。ギャンブル依存症(障害)の若年化も進行しています。大学生でギャンブル依存症になると、中退するのが3割で、そこから派遣社員や非正規雇用まっしぐらです。社会的経験を積まないまま依存症になるので、スキルもないし、賃金も低い仕事にしかつけず、再起が難しい。犯罪や自殺にも繋がりやすく、何千万という額を横領することもあって、会社や家族にも迷惑をかける。スマホ一台でギャンブルができるため、切り離しにくい問題があることも述べました。特徴的な事例として、10代前半の子どもがオンラインカジノを繰り返していた報道を紹介しました。(小6から賭博…オンラインカジノで賭博繰り返した中1男子生徒(13)を児相に通告「親の財布から…」警視庁 FNNプライムオンライン2025年10月8日 水曜 午後5:26配信。すでに削除)
ちなみにカジノとは、施設(やサイト)の来訪者であるゲスト、プレイヤーに対して「カードやダイス等を用いたゲーム」による賭けを提供し、その賭けに投じられた金額の一部を収益とすることで運営を行っているもの、という一つの定義があります。また、ギャンブルとは、確率(偶然)によって現金の増減を伴う賭け事全般、簡単にいうと、「金をかけて金を得ようとすること」です。
また、ギャンブル障害では物質使用障害(薬物依存症)者と同じように、ギャンブルによる刺激なしには報酬系が満足しなくなる一方で、理性や判断をつかさどる前頭前野の機能低下があるという脳内変化が起こってギャンブルに関するコントロールを喪失しており、当事者の自業自得でもなく治療対象であることを確認しました。(次の図でイメージ化)
オンラインカジノは特に射幸性(ギャンブル性)や簡便性、即時性は強烈です。借金開始がオンラインカジノでは段違いに早く、これまでのギャンブルではギャンブル開始から借金開始まで7年ほどかかっていたのに、実に63.4%の人がオンラインカジノを始めて1カ月以内に借金を始めているという報告もあります。オンラインカジノは「依存になるまでの時間が早い」「ほかのギャンブルと比べて借金額が多い」「犯罪などのヤバい状況に巻き込まれるリスクが高い」、端的にいうと「早い、多い、ヤバい」という3拍子のリスク特性があることも述べました。
オンラインカジノが急増している状況や背景をまとめた図解を以下に示します。
オンラインカジノに対する対策としては、「通信の秘密」とのバランスに配慮しながらも、国民保護の観点から法的規制も必要だが、日本の(ギャンブルに限らず)依存症対策が総じて供給側に対する対策に偏重しているのが現状で、ギャンブル障害をもつ当事者や予備群への予防や治療といった需要側への対策の拡充も必要なことも述べました。
ギャンブル障害の予防・治療についての概要にも触れました。社会資源を以下に示します。
家族の相談 【保健所、精神保健福祉センター、医療機関(一部)】
本人の相談 【保健所、精神保健福祉センター】
依存症の診療 【医療機関】
認知行動療法 【医療機関、精神保健福祉センター】
自助グループへの参加 【GA(gamblers anonymous)】
回復施設の利用 【グレイス・ロード】
行政・医療機関との連携・交渉、当事者・家族支援【ギャンブル依存症問題を考える会、家族会】
なお、すべての嗜癖行動に不快な感情や体験の自己治療の側面があることを理解して、良好な治療関係を維持しつつ、動機づけの介入を行うことが良識的だと理解すること、完全な禁断をめざすより嗜癖に伴う害を少しでも抑制するハームリダクションを模索することが重要です。
カジノに反対すべき理由もまとめました。日本はすでにギャンブル大国ですが、カジノだけがだめで、パチンコなどほかのギャンブルならたしなむ範囲でやるならいい、ということはないが、それでもカジノに反対するのはなぜか?
ランドカジノは合法化されてオンラインカジノへの敷居も下がるうえに、オンラインカジノはスマホ一つで24時間アクセスができ、大量のギャンブル障害の当事者を生じうること、ギャンブル欲求とギャンブル施設・サイトへのアクセス、お金へのアクセスの3条件の一つでも欠けるとギャンブル行為は起こらないことから、オンラインカジノにもランドカジノにも反対する必要があることを述べました。
大阪関西万博成功のキャンペーンもある中で、万博は失敗であること、次に狙うカジノ追加選定阻止の運動を全国化したいことが夢洲カジノを止める府民の会の山川氏からまとめとして提起がありました。
まつり全体では、最後に”Free Palestine!”を会場全体で合唱して、ガザ虐殺をとめる、カジノをとめるという意思を一つにできたと思います。
精神科医 梅田

