長時間作用型β作動剤は市場撤去されるべき

LABA(長時間作用型β作動剤)は市場撤去されるべき
—33826例を対象としたメタアナリシス論文が結論

内科学アナルズ誌2006年6月20日号が,LABA(長時間作用型β作動剤)の重篤な喘息悪化と喘息関連死に対する影響を検討したメタアナリシス論文を掲載し,著者達はLABAを含有する吸入剤の市場撤去を強く訴えています。
3か月以上継続し喘息患者におけるLABA使用を評価した19のランダム化プラセボ対照比較試験(33826例)を併合した結果,LABAはプラセボに 比し,入院を要する重篤な悪化(OR2.6,95%CI 1.6-4.3)と生命を脅かす悪化(OR1.8,CI 1.1-2.9)を増加させました。入院増加のリスクはサルメテロールとホルモテロール,小児と成人とで同じでした。また吸入ステロイド剤併用でも入院は 2倍増加しました(OR2.1,CI1.3-3.4)。6か月を超える入院は0.7%(CI 0.1-1.3%)に生じました。喘息関連死のリスクも増加しました(OR3.5,CI 1.3-9.3,累積リスク差0.07%,CI 0.01%-0.1%)。
喘息関連死の実数の増加は0.06-0.07%と推定され,これはLABAが1000例・年に約1人の過剰死亡を引き起こすことを示します。サルメテ ロールは世界的に最も多く処方される医薬品の1つで2004年に米国成人350万人に処方されており,年に4000人の喘息関連死の原因であると推定され ます。喘息の治療はLABAを用いなくとも可能です。添付文書の黒枠警告は喘息関連死のリスクについて明瞭に警告していますが,それらは医師の処方習慣を 変えていず,今回の結果で市場撤去が考慮されるべきと著者達は結論しています。
日本では,「喘息予防・管理ガイドライン2006」でステロイド吸入剤の効果が不十分な場合にLABAの上乗せが推奨されており,またサルメテロールと ステロイド剤フルチカゾンの合剤セレタイド(申請中)の早期承認の要望がだされるなど,LABAの危険性がよく認識されていない状況があり,危惧していま す。

(2006年6月)