喘息に対するキプレスの効果 短期使用でも効果がある!!

商品名キプレスなどで売られているモンテルカストは,ザフィルカストやプランクラスト(商品名オノンなど)と同様,抗ロイコトリエン剤です。前回,オノ ンの効果は大変疑問であることはすでに書きましたが,モンテルカストとザフィルカストはそれなりに効くという証拠があります。しかし,吸入ステロイドを超 えるものではなく,吸入が困難な人に使うというのが妥当とされているようです。

今回取り上げたのは,これも含めて抗ロイコトリエン剤の使われ方です。喘息発作もほとんどないのにオノンを長期に飲んでいるが大丈夫かという相談がよく ありますが,発作の予防投与としてズーと続けるのが一般的な使われ方です。以前,キプレスの宣伝文句に,服用数時間後に効果が現れますという話を聞いたこ とがあります。また,私が観察した範囲でも,服薬数時間後で「効いた」と思われる経験を何度かしていました。そうだとすれば,予防として長期に服用するよ りも,風邪を引いたり,喘息発作に対して使えばいいのではないかと思っていました。

しかし,この根拠があるのかどうかわかりませんでした。最近,それに応えてくれる文献を入手しました。これによれば,2-14才の子どもに,喘息発作が 起こったときに7日ないし発作が静まるまでモンテルカストを投与すると,対照と比べて,一般医への受診,専門医への受診,救急への受診が4割程度減る,入 院は3割程度減る可能性はあるが有意差はなかった,というものです。(Am J Respir Crit Care Med 2007;175:323-329)Googleでmontelukast, short courseで検索するとすぐでます。 この論文を根拠に,オーストラリアのガイドラインは,喘息発症時に短期のモンテルカストの使用を推薦しています。

しかし,このような論文は今のところ一つしかありません。メーカーはこのような使い方は推薦しないと思われます。なぜなら,予防的にズーと使用する従来 の方法と比較して使用量が激減するからです。逆に言いますと,オノンのように数週間使わないと効果が現れない抗ロイコトリエン剤とは本当に効果があるの か,ますます疑いたくなります。

私は,最近発作が起こった後に,短期の使用を実行しています。特に,吸入ステロイドの開始に迷っている症例や,発熱しておりステロイドが何となく使いに くい場合には使いやすい気がして,使っていますが,それでも長期に予防的に使うよりは遙かに少ない量で大きな効果があるように思えます。批判的検討をお願 いする次第です。

(2007年12月)