日本小児科学会自由集会(NEWS No.451 p01)

-日本小児科学会自由集会-

「4/20こどもたちを放射線障害から守る全国小児科医の集い」にご参加下さい。

<基調報告>

「日本小児科学会-150mSv見解の撤回を求める!」「福島県県民健康管理調査-甲状腺がん多発を受けて子どもたちを放射線障害から守るために何をすべきか?」

<講  演>

「100mSv以下の放射線被ばくの健康影響について」
「福島県での甲状腺がん検診の結果に関する考察」
岡山大学大学院環境生命科学研究科
公衆衛生学教授津田敏秀氏

<報  告>

「福島避難者子ども健康相談会の取り組み」

<各地の報告>

(予定)
4月19日(金暟日)~21日(日暟日)広島市での日本小児科学会の開催期間中に、「こどもたちを放射線障害から守る全国小児科医の集い」を開催いたします。2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故で放出された放射能による健康被害が懸念されています。実際に、2月13日の福島県県民健康管理調査の報告では、2011年度(原発事故の年)に行われた38,114人(0歳から18歳)の甲状腺がん検診から3例の甲状腺がんが、すでに手術をされて確認されています。さらに、「がんの疑い7人」と報告された子どもたちも、実際は、病理細胞診断により、がんが確認されており、甲状腺がんの症例数は9例もしくは10例です(*)。これは統計学的に暼意な多発であり、福島県のこの地域で大変な異常事態が生じていることを意味しており、疫学の専門家からも証明されています(津田先生の講演を、昩非お聞きください)。
このままでは甲状腺がんが数年後に爆発的に増加する可能性もあります。また、今後、甲状腺がんだけでなく、白血病や様々な小児がん、免疫力の低下、妊娠―出産の異常、先天性障害など様々な小児の健康障害が懸念されていますが、それまで国や県が事実を認めなければ、多くの子どもたちの命や健康が犠牲にされてしまいます。個人情報を保護した上で早急に全てのデータを公開させ、全国の小児科医の英知を集めて必要な対策を議論すべきです。
ところが放射線被ばくの健康被害に関して、現在の日本では100mSvを放射線の発がん影響の閾値とし、100mSv以下の被ばく量では、放射線被ばくによる人体影響がないかのごとき議論がなされています。しかし世界の医学文献の検討では、低線量被ばくでのがん増加は多数報告されており,低線量放射線の被ばくは明確にリスクを示しています。
(2011年5月19日)「東京電力福島原子力発電所事故が小児に与える影響についての日本小児科学会の考え方(150mSv見解と略す)」(広島大学原爆放射線医科学研究所細胞再生学研究分野田代聡教授の御指導と記載)の中で、「統計学的には、約150mSv以下の原爆被爆者では、がんの頻度の増加は確認されていません」と、低線量被ばくの危険性を否定しています。この「150mSv見解」の根拠とする文献を検討してみても、日本小児科学会の見解を支持する内容は見当たりませんでした。日本小児科学会のこの立場は日本の数ある学術団体の中でも突出して異常であり、直ちに「150mSv見解」の撤回を求めなくてはなりません。
また,2011年6月から福島県で行われている「子どもたちの健康相談会」や、放射能汚染から避難した子ども達を対象にした「健康相談会」の取り組みの報告を予定しています。低線量被ばくの厳しい現実に向きあって生活する不安な思いを受け止めて,私たちに何ができるかを考えていきたいと思っています。さらに,大変に悲しく残念なことですが,今後生じてくるだろう健康被害に対し、何をすべきか、何ができるかを共に考えたいと思っています。
この集いは,放射線から子どもたちやあなたを守るために,きっと皆さんのお力になると思います。この広島での集いに昩非ご参加ください。
(*)この甲状腺がん3 例という数字ですが、すでに手術が終わって切り出した甲状腺から病理組織診断でがんを確認した症例とのことです。実際は、病理細胞診断によりがんが見つかっている症例は、この3 例以外にさらに7 例あります。病理細胞診断においては、約10%の偽陽性があると言われており、実際は、甲状腺がんの症例数は9例もしくは10 例ということになります。