「避難者こども健康相談会きょうと」報告(NEWS No.455 p04)

6月16日京都市内で、福島県と東日本からの避難者家族への「こども健康相談会」が初めて開催されました。福島から京都へ避難された方々と共に結成された同実行委員会の企画・運営で、その要請に応えられた京都・滋賀の小児科医5名を中心に、教育や法律に関する相談、アロママッサージ、子どもスペースなどの担当そして共催を担われたCRMS市民放射能測定所福島からの応援も含めて70名を超えるボランティアスタッフが集まりました。医問研からは高松、入江、梅田、伊集院が参加、また京都と大阪の保険医協会の医師が2人、オブザーバー参加されていました。

14家族25名の相談があり、福島県内と東日本(宮城、茨城、千葉、神奈川などの各県および東京都)が同数でした。やはり、ほとんど全ての方が母子避難で、京都に来られるまで、原発爆発後あちこち移動された方も多く、3年目に入る避難生活の中で「疲れやすい、不眠」など母の体調不良の訴えもあり、子どもだけでなく、お母さん方の健康相談の必要も感じられます。

甲状腺超音波検査をすでに受けられた方も多いでしたが、福島県による甲状腺検査は、たとえ京都市内で施行しても、すぐには結果を聞けず、またA2判定であっても、「甲状腺がん発生」報道のさなか2年間は放置など、不信・不安を抱かせるもので再検査を希望される方や、今後の検査方針についての相談希望も多いでした。その場合には、距離的に近い京都の先生がたに紹介先となって頂くことができ、少しでも避難者の負担軽減になったのではと考えられます。

関東地域では風向き(放射性プルームの流れ)や雨・雪などの気象状況によって汚染を受け、ある市ではモニタリングポストを設置したにも関わらず、「福島県ではない」との理由で子ども達の学校生活は通常通りとの事で、行政担当者に任せず自分たちから声を挙げていくしかないことを又もや痛感させられました。

午前の相談終了後スタッフが集まり、CRMSから福島の現状報告、福島と関東からの母親避難者の訴えがあり、現状の厳しさを全員で学ぶ機会となりました。医問研・高松氏からは「甲状腺がん多発を受けて」と題した報告を行い、低汚染地域と評されている福島市で9名の子どもが甲状腺がんと診断されたことが持つ意味を明らかにしました。

終了後ずらりと揃ってのスタッフミーティングには、京都の医師たちも参加されて次回への協力も言及されました。若い方々からは「避難者だけでなく自分達の問題でもある」「今後また、健康相談会を続けて行こう」との意見も出て、元気を頂いた集まりでした。その後、第2回目は11月開催と決定されています。

(小児科医 伊集院)