タミフルのデータ開示要求を!(NEWS No.457 p05)


ワクチントークの青野さんから、抗インフルエンザ薬タミフルの使用期限延長のニュースをメイルしていただいたことを契機に、タミフル備蓄問題とデータ開示要求の関連を考えてみました。

中外製薬社は、今後製造分からカプセルは使用期限が7年から10年に延長、ドライシロップも7年に延長すると7月1日に発表しています。同日、厚労省は備蓄しているタミフルの3年間の延長を決めています。それならば、市場に流通しているタミフルも3年間の使用期限延長があってしかるべきですが、それについてのニュースはないようです。同じ製品が使用期限で3年間の違いがあるという異常な事態になっているわけです。中外と厚労省が同じ日に発表しているのは、厚労省との裏取引があったことを示唆しています。

客観的事実からは、中外とその親会社ロシュは、備蓄からの利益は3年間ないことになり、日本だけで約300億円の税金の節約、中外からいえば減益となります。しかし通常の保険適応からの利益は、薬問屋・薬局・医療機関に売れ残った商品の使用期限が3年間延長されるので、多少へるかもしれないが、大多数の患者に使用される分はほぼ今まで通り確保することができます。

備蓄に関して、中外製薬が大幅な利益の後退を余儀なくされた理由について、さまざまな原因があるのかもしれません。その中の、重要なものとして現在イギリス医学雑誌BMJがキャンペーンし、英国政府で問題化している、タミフルのデータ改ざん疑惑があります。降圧剤ディオバンと同様、元データがはっきりしないままロシュ社の社員が行ったデータ処理で作った論文が「カイザー論文」です。「タミフルは肺炎や入院を防ぐ」とするこの論文を根拠に世界の政府を説得して備蓄がはじめられたとされています。そのほか、タミフルの効果を主張する多くの論文が出ていますが、ほとんど信頼できないことがますます明らかになっています。

このカイザー論文の問題点を最初に指摘したのが私とされ、世界的に報道されましたが、日本ではほとんど無視され、いまひとつ大きな運動になっていません。代わってイギリスなどでコクラン共同計画とBMJやBBC放送がキャンペーンして影響が強まっています。

タミフルの権威である浜六郎氏はさまざまな本や雑誌にタミフルの問題点を紹介されています。私も、保護者向けの雑誌などに、タミフルの効果や副作用について書く機会をいただき、積極的に書いています。微々たる活動ですが、被曝問題以外でも頑張らなければと思った次第です。

(はやし小児科 林)