9月15日「第4回避難者 こども健康相談会おおさか」報告(NEWS No.457 p06)


「こども健康相談会」は、低線量被曝を避けるため福島県や東日本から全国各地に避難した親子の声に耳を傾け、悩みや心配、不安を受け止め、一緒に子育ての環境を考え整えていく、子ども達の検診依頼に応える、そして子どもを放射線被曝から守り、子どもの健康問題に積極的に応えることを目的に開催されています。今回は新たに、健康相談と共に、福島第一原発事故をめぐる現在の状況を学習する場(セミナー)が設定されました。

今までと同様に、問診担当の看護師さん、保育や教育相談担当の「NPO法人み・らいず」さんや学生さん達、法律相談担当の大阪青年司法書士会の方々、アロマハンドマッサージ師の方々など、「避難者支援を続けよう」と、50名近いボランティアスタッフが集まりました。在日フィリピン人の被災者・避難者支援をされている方々は、昼食のカレーを用意して下さいました。

台風が近づき、朝からは風が強く、午後には強い雨という天候でしたが、今回はセミナーへの参加者も含めて福島県(4家族6名)、千葉県・埼玉県・東京都など東日本(4家族7名)から避難した子ども達の相談を受けました。

「子どもに甲状腺超音波検査を受けさせるべきか」で両親の考えが異なるが、どうしたら良いか?・避難後に妊娠して出生した子は大丈夫か?・異常値の出た甲状腺血液検査の再検希望・前回は問題なかった甲状腺検査に「要観察所見」が出た、以前より「のう胞・結節」が見つかっている、2年後に再検といわれているが、それでよいのか?これから、どんな症状がでるのか?注意することは?など、不安な思いの声が続いていました。

月に1~2回の熱発に対してどうしたらよいか?せき込み・軟便が続く、舌炎を繰り返すなど、幼少児たちの様々な症状についての相談、また父と離れての生活が長引くなか、成長する子どもの心の中が心配との訴えもありました。

「セミナー」では、大阪青年司法書士会から「被災地での法律相談や生活相談の報告」、医問研の高松勇さんから「甲状腺がん多発を受けて、原発事故による健康被害の実態報告」そして郡山市からの母子避難者で、国・東京電力の責任を問う裁判の原告団長に立たれた森松明希子さんが「今も 福島に帰れない~避難の権利を求めて~」と題したお話で、「子どもの未来を守りたい、皆さんと共に!」と訴えられました。

(小児科医 伊集院)