浮雲保健師ぶ~やんの呟き 「おっちゃん!これ、なんぼ?」の巻(NEWS No.459 p06)

秋、様々なイベントが開かれる季節。
地元の自治体 幼稚園 学校 職場など 土日祝日に大勢が集まる行事が企画され大きな会場を使って開催される。
人が集まるところ「浮雲保健師…参上!」
大概のイベントでは「救護室」なるものが設置され、看護師が待機するためだ。

今年も その季節がやってきた。
あるイベントで「応急処置要員として待機」の予定だが、ちょっと様子が違った。
その日は、大きな企業の健康フェア。
職員家族向けの健保組合主催の健康祭りで、りっぱな体育館に 色々な機器と、多数のスタッフやコンパニオンが整列。

体脂肪などは当然で体成分調整・骨量検査・血管年齢測定・足裏測定・呼気CO濃度測定…など 数えきれないほどの最新機械の数。
産業医からの健康講演会の後 栄養士監修のヘルシーランチが配られ、一斉に測定とあって どのブースも長蛇の列。

皆さんのお目当ては、骨の年齢や、血管年齢が 気になる様子。
結果説明は、各ブースの栄養士から丁寧にしてもらえる。
「毎年測定してるけど、なんも運動して無い割には、数値ええねん~」
「さっき、フィットネスで測った体脂肪より多いねんけど~怒!」
「病院で、毎年測定してて 骨の密度悪いって言われてるのに、ここの機械では良かったから、測定間違ってるんじゃない?」
「50歳代やって~嬉」云々…
測定結果に 一喜一憂される参加者たちのご機嫌を損なうことの無いよう、対応することが 本日の「応急処置業務」なのだ。

特に、処置がなければ会場を巡回するので、各機器も、ちょっと見学できる。
そんな会場で、体育館の外に誘導する張り紙「最新のCTが搭載された検診車です。
ぜひ ご覧ください!」
(CT;コンピューター断層撮影)
見ると、企業の健診を請け負っている会社が、最新の検診車をお披露目。

『CT搭載の検診車? どこで、いつ使う??』
と、考えても思いつかないまま、見学。
集団検診用の移動胸部レントゲン車と、良く似た車外のプリントで、入り口も同じ。
しかし入ると、即、CT用のモニターが並んでいて、広いスペース。扉の向こうに病院にあるのと同じCTが、デ~ン。車体の横幅一杯ギチギチに鎮座していた。

「肺がんの早期発見になります。」
「どこでも行けます。」「一般の病院にあるCTより被曝は少ないのも特徴です」…
健診会社の職員が見学者に説明している。
気になったので、優しく聞いてみた。
「大きな病院がない地方とかにも行けますね?」
しかし、その解答は残念なことに「大体行けると思いますが、車体がトレーラーなので細い道は入れません。」
普通のレントゲン車とは桁外れに大きいトラックなのだ。
また聞いてみた「線量が少なかったら解像度は?」
回答は「あくまでも検診車ですから、定期検査で二次健診としてのCTで最終診断ではないので…」
もう一つ「CTって結構時間かかりますよね。何人ぐらいで(採算合うんで)しょうか?」
回答は「肺だけなので20人集めて頂けたら行きます。検査料金8000円ほど自己負担かかりますけど。」
20人が一度に二次検査必要となる企業って? 疑問が湧き出る。
にっこり笑って「CTって高価ですよね?億とか聞くけど。その搭載車って…笑顔」職員の方はニヤッとしながら「これくらいですねぇ~」と、指 三本!!!  超高級車~!
一般見学者が一言「胸のレントゲン車があるからCTも有ったら良いよね?」
う~ん。一般の方は そう思うのか。
指三本より、恐るべし。

保健師 川崎恵子