くすりのコラム (続)リバーロキサバン(イグザレルト)海外販売名: Xarelto(NEWS No.460 p08)

リバーロキサバンは新しい第Ⅹa因子阻害薬として日本で昨年バイエルから販売開始され今年4月から長期投与制限が解除されました。
利点は食品の影響を受けにくいことで、問題点はワーファリンと違い効果測定方法がなく、出血時の阻害薬がないことです。

薬価はリバーロキサバン10mg:372.4円15mg:530.4円でワーファリン錠1mg:9.6円と比べて、とても高価な薬です。薬局ではワーファリンからのリバーロキサバンに変更となった処方箋を持ってきて「これで納豆が食べられる。」と嬉しそうに来たのに、領収書を見て「高すぎる。」と嘆いて帰る患者さんもいます。

このリバーロキサバンの海外添付文書には黒枠警告があります。
しかし日本ではこの警告の記載がありません。
似たような警告は類薬のリクシアナ錠(エンドキサバン):第一三共にはあります。

【警告】
(A)XARELTOを含む、どの抗凝血薬でも早期中止は血栓イベントのリスクを増大させる。もしXARELTOを病理学的出血または治療経過の完了よりも他の理由で中止するなら、このリスクを減少させるために他の抗凝血薬の適用を行うこと。

(B)脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により硬膜外、脊髄血腫が発生している。これらの血腫によって麻痺の後遺症が残るかもしれない。併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。抗凝固処置の必要がある場合や既に受けている場合は脊椎・硬膜外麻酔、腰椎穿刺等をする前にリスク、ベネフィットをよく考えること。

注:警告のみ抜粋のため、原文の添付文書をご確認ください。

ワルファリン投与中の患者が脊椎麻酔や硬膜外麻酔を受ける場合は,PT-INRを測定して抗凝固状態を評価するよう 肺血栓塞栓症-深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドラインに書かれています。例えば、長期にワルファリン投与を受けている患者では,「原則的には手術前4日前に投与を中止する. 抗凝固療法の継続が必要であれば未分画ヘパリン200単位/Kg/dayに変更する.未分画ヘパリン投与は脊椎麻酔や硬膜外麻酔施行2~4時間前に中止する. 手術前にPT-INR<1.5,あるいはACT(活性化全血凝固時間)<180秒であることを確認する」とあります。他に「カテーテルの抜去はPT-INR<1.5で行う.硬膜外ブロック中にPT-INR>3となった場合は,ワルファリン投与を中断するか,減量する」とあります。

このように細かい凝固能の測定が必要な脊椎、硬膜外麻酔にそれができないリバーロキサバンを含む新規抗凝固薬を使用することは困難だということがわかります。

さて、同じ薬でありながら海外と日本の添付文書がどうして違うのでしょう?
日本で事故が起きてから記載するつもりなのでしょうか?

(薬剤師 小林)