くすりのコラム(NEWS No.462 p08)

HPVワクチン本当の予防効果は?
HPV診断システム「コバス 4800システム HPV」を調べて…

株式会社が新しいHPV診断のキットとシステムの販売を始めました。
同社サイトではコルポスコピー検査・細胞診を補うためのジェノタイピング(遺伝子型決定)は有効で、特に16型陽性はハイリスク型HPV一括検査陽性に比べ2倍以上高い割合でCIN2以上の病変を認めるとあります。この診断システムでは12種類のハイリスク群とは別に16型、18型を測定できます。

このシステムの参考資料の1つの「GENERAL GYNECOLOGY The ATHENA human papillomavirus study: design, methods, and baseline results Thomas C. Wright Jr, MD; …」に評価対象(細胞診でASC-US:軽度の扁平上皮系の異型またはハイリスク型HPV陽性者と細胞診NILM:非腫瘍性所見・炎症でハイリスク型HPV陰性の25歳以上)の登録時にコバスHPVテストを用いてハイリスク型一括、16型、18型を同定した結果がありました。

その結果Table3をみて驚きました。
ガーダシルやサーバリックスの海外での有効性評価97-100%とあまりにかけ離れた結果だったからです。

21-24歳の16型陽性率は接種群8.1%で、非接種群は8.8%
25-29歳の16型陽性率は接種群4.7%、非接種群は5.4%になります。
ハイリスクHPV陽性率はどちらもワクチン接種群の方で増加しています。

Table3抜粋

コバスHPVシステムを使って同定されたHPV陽性率
hrHPV, ハイリスク遺伝子型HPV
Wright. ATHENA HPV study. Am J Obstet Gynecol 2012.

このスタディの目的はシステムの販売のためにあります。
ロッシュは、子宮頸がんはワクチンを打ったからと言って安心できません。
16型を特定できるコバスシステムを使うことで特にリスクの高い女性を特定することができます。
頻繁に経過観察を促し、子宮頚がんを早期発見することができます。
コバス4800 システム 希望販売価格 25,000,000円
HPV増幅・検出用試薬セット 960テスト 1,498,000円
…と言いたいのでしょう。

保険適応となったこのシステムを利用すれば国は将来HPVワクチンの予防効果を簡単に検証することができるはずです。

薬剤師 小林