フィリピン健診報告 AKCDF健診報告「発達の心配について」(NEWS No.464 p05)

平成25年度の健診から問診項目をいくつか増やし、AKCDFの保護者の、児童の発達に対する心配の現状について調査させていただきました。キンダークラス(年長児)のエステリータ先生にも保護者と同様の問診を行い、保護者の結果との比較を行いました。その結果について簡単にご報告申し上げます。

大卒で教員免許をもつエステリータ先生の判断はある程度確かであるという仮説のもとに先生の問診結果をみてみますと、「発育または育てにくさに心配あり」の児童は14.8%存在していました。「視力聴力言語」については、入園前の家庭訪問調査において問題のある児童はすべて省いているとのことで0%でした。

次に、「先生の心配ありの児童」と「保護者の心配ありの児童」について比較してみたところ、先生と保護者とで一致していた割合は3.3%でした。
「教師のみ心配している児童」の、収入別レベル(1、2A、2B、3A,3Bの5段階)を確認したところ、2A~3B(3Bが最も貧困)の各レベルに存在していました。

一方「保護者のみ心配している児童」について、貧困レベルである3Aと3Bクラスの保護者で「心配がある」と答えた割合は0%でした。貧困レベルの保護者はこどもの発達に対する関心が低い可能性が示唆されました。貧困世帯の世帯主は学歴が低いという、フィリピン国家統計局の報告がありますので、インテリジェンスの低さもこどもの発達に関心が低いことの原因ではないかと推察されました。

また、「先生の心配ありの児童」のバックグラウンドについてさらに調査してみたところ、出産場所が自宅だった児童が44.4%で、「先生の心配なしの児童」と比較して多い傾向でした。また、出生体重についてみてみると、「心配ありの児童」の平均出生体重は「心配なしの児童」よりも低い傾向でした。

25年度の健診で発達の心配についての現状をはじめて調査し、n数は少ないですが、発達の心配と貧困との関係が示唆される結果が得られました。26年度も継続して調査させていただき、現状を把握し、どのようなかかわりができるのかを一専門職として考えていきたいと思っています。

(NPO法人リハケア神戸 児童デイサービスいっぽいっぽ 山本八穂)