大阪市私立保育園連盟(私保連) 小児保健研修会報告②(NEWS No.464 p07)

大阪市内認可私立保育園315園(認定こども園含む2013/4/1現在)が加盟している大阪私保連。http://o-shihoren.or.jp
連盟参加保育園の職員対象に実施されている小児保健研修会報告その2

第3回は年が明けて2014年1月。
我ら医問研のムーミンパパ、山本英彦先生。
「子供のけがの対応」
スーツ姿の片手には、ベビーモデル(救命処置実習に使うベビー人形)を抱きかかえて壇上に登場されました。
まず1ページ目に『どうしますか?』

【問題】3歳の児。滑り台から落ちた。
幼い子どもたちを預かっている保育者にとって、日々緊張している遊具遊びでの事故が起きたら、どう対処するのか?と参加者に質問を投げかけられたまま、一時救命処置の話へ。緊急事態に直面した時、1人の場合、他のスタッフが居る場合などあらゆる場面を想定して、実施判断基準を考える。そして処置の方法を学習。窒息の対応、大出血時の対応、AEDの使い方等、一時救命処置教育用の動画で各項目ごとに確認しながら、ベビーモデルでも説明

救命の基本を確認したあとで、近年毎夏に問題となる熱中症について対策、対処方法。そして「いわゆるけがの応急処置」きず・やけど・異物誤飲・骨折・頭部外傷など。具体的な事例紹介や病院での症例一覧。ほとんどの症例が予防可能なケースとも言われる。保育者達にとって、保育中に発生してほしくない症例だが、「ヒヤリ・ハット」を最小限に抑えるためには、日々どんな場面でも事故発生の可能性を意識しつつ、その回避のために注意・観察・危険回避のポイント、最悪、発生した場合の対処方法をシュミレーションしていく。

その上、園児の外傷を観察して、虐待の可能性を疑い対処することも保育者の重要な任務のひとつ。
『実際起こったら…』とドキドキ緊張しながら進められた講義の締めくくりは、最初のページに戻り『どうしますか?』滑り台から落ちた時。例として挙げられた7つの状況に判断回答でまとめ。日頃からスタッフ同士での会議や申し合わせ、園児の保護者との信頼関係を築いていくことも事故防止の重要な対処法。講義終了後も様々な症例の相談が続き、保育者にとって永遠のテーマである「噛みつき」対処の質問に障害児受け入れについての相談まで、大盛況でした。

第4回は、大寒の2月。医問研の料理長、森圀悦先生。「喘息とアレルギー」
アレルギーとは=免疫 外敵から体を守る働き。と、免疫のメカニズムから学習が開始。そしてその働きがおかしくなる時、様々な症状を呈してくる自己免疫性疾患。気管支喘息、喉頭浮腫。そしてアナフラキシーショック。
具体的に保育所の対応で何が原因かの観察点から食物アレルギー、花粉、ダニアレルギーなど予防対策上、原因除去が大切。アレルゲン検査について。アレルギー反応発作の予防・発作時の対応方法。エピペン(アナフィラキシーショックを抑える筋肉注射)の対応問題の症例紹介。気管支喘息の慢性時・発作時の対応・処方薬についてなど。
保育の場面で実際直面している問題なためか(アレルギー対応食については、どこの保育所も苦慮している)講義中から随時具体的な質問があり、講義終了後も、各自、現在の受け持ち児についての対応から、保育士本人の我が子のことについての質問まで、長蛇の列。
参加者から「アレルギーの基本から振り返ることができた」との感想もありました。唯一残念だったのは、講義中随所に織り込まれた森先生のおやじギャグ・ダジャレが、水を打ったように受けなかった事でしょうか?
先生方、本当に、お忙しい中、講師をお引き受け頂きありがとうございました。また来年度も、よろしくお願いいたします。

川崎恵子