医療トピックス 医療・介護難民を拡大する医療・介護総合法案に反対しよう(NEWS No.465 p04)

5月15日に衆院本会議で全野党の反対を押し切って医療・介護総合法案が強行可決され、現在参院に送られている。法案は断固撤回廃棄すべきである。以下に批判を述べる。
まず、介護保険について。「要支援1・2」と認定された人(160万人)は「訪問介護」と「通所介護」が介護保険では受けられなくなり、市町村による「地域支援事業」の対象に移される。要支援者を丸ごと介護保険制度から追い出すものだ。サービス内容での市町村格差の拡大、サービス単価や人件費切り下げ、利用者の負担増は避けられない。
特別養護老人ホーム(特養ホーム)の入所者を「要介護3以上」に限定する。特養待機者は52万人を超え、うち17万8千人は「要介護1・2」。これらの人は対象外となり、待機者の枠からも除外されてしまう。政府が受け皿にするという「サービス付き高齢者住宅」(サ高住)は月15万~25万円もの負担が必要で、貧困・低年金者が多い特養申請者の受け皿にはなり得ない。
これまで1割負担だった介護保険サービス利用料が、2割負担になる。対象者は「合計所得160万円以上」(単身者)で、高齢者の2割に及ぶ。在宅では、要介護1が7700円から1万5400円になるなど軒並み倍加。特養など施設でも要介護1を除き入所者すべてが負担上限額(3万7200円)に達する。低収入者の入所の場合、食費・居住費の負担を抑える「補足給付」(103万人利用)も縮小する。預貯金が一定額ある人や、世帯分離をしていても配偶者が課税の場合は打ち切り、月2万~7万円の負担増を求める。
次に、医療供給に関して。病床の大幅削減を進める。高齢化のピークとされる2025年までに202万床が必要なのに、43万床も減らす計画だ。都道府県に「病床再編計画」をつくらせ、従わない場合はペナルティーまで科して在宅に押し戻す。診療報酬改定でも、重症患者を治療する病床(「7対1」入院基本料)について、一定の基準を満たす重症患者が 15%以上であることや、難病等の長期療養患者に対する特定除外制度の廃止、在宅復帰率が 75%以上であること、DPCデータの提出義務付けなど、急性期病床の要件を厳格化した。これにより、今後2年間で急性期病床を現在の36万床から9万床を削減する方針。患者追出しが強まる。
地域で医療や介護が受けられる「地域包括ケア」をつくるというが、地域包括ケアを担う人員は、訪問看護師はわずか3万人で、介護職員は100万人も不足しており、到底在宅ケアを支えられない。
本法案は安倍内閣が進める社会保障と税の一体改革の具体化であり、社会保障における国の責任を放棄して本人と家族の責任におしつけるものだ。法案に対しては210地方議会が意見書を可決するなど国民の批判や不安が大きく存在する。医療・介護総合法案に断固反対しよう
いわくら病院 梅田

5月15日に衆院本会議で全野党の反対を押し切って医療・介護総合法案が強行可決され、現在参院に送られている。法案は断固撤回廃棄すべきである。以下に批判を述べる。
まず、介護保険について。「要支援1・2」と認定された人(160万人)は「訪問介護」と「通所介護」が介護保険では受けられなくなり、市町村による「地域支援事業」の対象に移される。要支援者を丸ごと介護保険制度から追い出すものだ。サービス内容での市町村格差の拡大、サービス単価や人件費切り下げ、利用者の負担増は避けられない。特別養護老人ホーム(特養ホーム)の入所者を「要介護3以上」に限定する。特養待機者は52万人を超え、うち17万8千人は「要介護1・2」。これらの人は対象外となり、待機者の枠からも除外されてしまう。政府が受け皿にするという「サービス付き高齢者住宅」(サ高住)は月15万~25万円もの負担が必要で、貧困・低年金者が多い特養申請者の受け皿にはなり得ない。これまで1割負担だった介護保険サービス利用料が、2割負担になる。対象者は「合計所得160万円以上」(単身者)で、高齢者の2割に及ぶ。在宅では、要介護1が7700円から1万5400円になるなど軒並み倍加。特養など施設でも要介護1を除き入所者すべてが負担上限額(3万7200円)に達する。低収入者の入所の場合、食費・居住費の負担を抑える「補足給付」(103万人利用)も縮小する。預貯金が一定額ある人や、世帯分離をしていても配偶者が課税の場合は打ち切り、月2万~7万円の負担増を求める。
次に、医療供給に関して。病床の大幅削減を進める。高齢化のピークとされる2025年までに202万床が必要なのに、43万床も減らす計画だ。都道府県に「病床再編計画」をつくらせ、従わない場合はペナルティーまで科して在宅に押し戻す。診療報酬改定でも、重症患者を治療する病床(「7対1」入院基本料)について、一定の基準を満たす重症患者が 15%以上であることや、難病等の長期療養患者に対する特定除外制度の廃止、在宅復帰率が 75%以上であること、DPCデータの提出義務付けなど、急性期病床の要件を厳格化した。これにより、今後2年間で急性期病床を現在の36万床から9万床を削減する方針。患者追出しが強まる。地域で医療や介護が受けられる「地域包括ケア」をつくるというが、地域包括ケアを担う人員は、訪問看護師はわずか3万人で、介護職員は100万人も不足しており、到底在宅ケアを支えられない。
本法案は安倍内閣が進める社会保障と税の一体改革の具体化であり、社会保障における国の責任を放棄して本人と家族の責任におしつけるものだ。法案に対しては210地方議会が意見書を可決するなど国民の批判や不安が大きく存在する。医療・介護総合法案に断固反対しよう

いわくら病院 梅田