第6回避難者こども健康相談会おおさかに参加して 3・11後~変わりゆく4年目~(NEWS No.470 p02)

2012年の春より行われている「避難者健康相談会おおさか」がドーンセンターにて行われました。年に2回実施されて今回で第6回目となります。私はアロマハンドマッサージと時おり司会という形で参加をさせていただいております。
今回は午前はセミナーと午後に相談会という形式で行いました。
セミナーでは小児科医・青年司法書士・原発賠償訴訟団代表というお立場からお話しをしていただきました。
最初に小児科の入江紀夫先生より、福島の子どもから甲状腺がんやその疑いが104名となり、これらは『ブレイクアウトでありスクリーニング効果ではない』と話されてデータがスクリーンに映し出されました。子どもが母親のお腹の中に着床し10ヶ月後に生まれてくるまでの間で被ばくをするとどの成長過程においてどのような影響を及ぼすか、という内容を図にて説明がありました。このままいくと甲状腺がんの多発はこれからも増えると医師でなくとも予測できそうなものです。
日本の将来を担う子ども達がこれほど被ばくしているにも関わらず、どうして手をうたないのか、不思議でなりません。これは福島だけの人数であり、全ての福島の子ども達の人数でもありません。年齢も限られているのです。
これから5年、10年後に「やっぱりそうだった」と聞くまで医問研の先生達には声を大にして伝えていっていただきたいと願うばかりです。

次に若手司法書士の山下正悟先生からは、岩手の仮設住宅の現状報告がありました。定期的に仮設住宅の訪問を続けて行く中での被災者とのやりとりや、仮設住宅から離れて行く人がいる一方、今もそこに留まるお年寄りや単身者の生活状況をお話しされました。 もし留まる被災者の立場になったと想像して考えてみると、将来の展望が見えないとわかり、年齢も半世紀を終えてしまっていたなら、やはり仮設住宅に留まるであろうと思いました。ただ生きているだけ、生かされているだけのようにさえ感じますが、「同じ経験をした仲間」とのコミュニティが居心地良く安心感も生まれているのではないでしょうか。 逆に弱音が吐けない辛さもありストレスを抱えておられるでしょう。
あちらの仮設住宅の住民が減ったのでこちらに集めよう、なんて話しを聞いて本当に腹正しいです。仮説住宅に住まわれている方の中にも残りの人生だけでも自分らしく、と思っている方もおられると思います。そこには経済的な事情でそれも叶わない人もおられるでしょう。 まず、人から復興をするべきであると思います。そして地域、それらが整って初めて本当の復興が成立するのだと私は感じました。
司法書士の先生の地道に行っている行動には頭の下がる思いです。

続いて、原発賠償関西原告団代表の森松明希子さんのお話しになり、第1回目の口頭弁論の内容を報告していただきました。 森松さんは避難の経緯、国と東電を相手に訴えを起こすまでの決意を裁判官の目を見てお話しをされたそうです。
この日は私も裁判所に馳せ参じましたが、抽選により法廷には入る事はできませんでした。しかし、集まったサポーターの人達や京都・兵庫の訴訟団の熱い想いは周りにも伝わっているはずです。法廷内でも弁護団が話す言葉・言葉に拍手が沸き起こったそうです。弁護士が話しをして拍手が起こる法廷内なんてどこにあるでしょうか。一致団結していなければそれはありえません。
期日も2回目、3回目と決まり本当の勝負はこれからなのだと思います。兎に角「勝利」を手にしていただきたいです。
それぞれ専門分野のお話しでとても奥の深いセミナーとなりました。これからも健康相談会を通じて立場の違った状況報告などが出来たら良いと思います。そして、多くの方に関心を抱いていただきたいです。
そして、避難者の方が安心して相談に来られる場づくりをこれからも提供していけたらと思います。

斉藤さちこ