4月・日本小児科学会:福島の被曝問題などへの取り組みが進展(NEWS No.476 p01)

まず、被曝問題についての集団的な研究発表を継続し、大きな関心を集めました。演題は、1)福島での甲状腺がん多発問題、2)甲状腺がん発見率と被曝線量が比例、 3)原発周辺での子どものがん増加、4)福島での鼻血などや妊娠出産障害の増加、5)避難者の子ども健康相談会、の5演題でした。福島での健康障害問題に関しては医問研以外からの発表は他に1演題だけと思われ、医問研の発表の重要性が増しています。福島原発事故以来一貫して被曝問題の科学的見解を発表してきていることに対して、小児科学会会員の注目度も高まっていると思われます。
発表はポスター展示を朝からしておいて、会員に自由に見てもらっておいて、午後にごく短時間の説明(発表3分)ののち、2分だけ討論するものです。ですから、展示時間にじっくり見てくれている人に説明したり、発表後時間をとって議論することが重要です。最近は私たちのセッションの座長は広島大学の田代聡教授です。彼は150mSv 以下は障害がないかの日児の提言を作った一人で、福島でとても問題のある甲状腺被曝の測定をして被曝量がとても少なかったと報告した人物で、かつ日児のワーキンググループの長もしています。今年も彼との激しい論議がなされました。
今年は抗インフルエンザ薬に関しても発表もしました。これは、コクランレビューの最終結果を受けての医問研などによる要請に対して、軽症のインフルエンザへの抗インフルエンザ薬の使用は推奨しない、との同学会の積極的な対応を、より科学的なものにするためのものでした。この内容は日児「予防接種・感染症対策委員会」で議論されて次のインフルエンザシーズンまでに発表すると、日児会長が口頭で、林に伝えています。来年が楽しみです。
福島原発事故のワーキンググループについては 、日児総会とワーキンググループでの議論などで大きな前進があったことは 別ページに報告していますのでご覧ください。
また、日児学術総会中の17日にドーンセンターで開催された「第三回こどもたちを放射線から守る全国小児科医の集い」では、奈良の入江紀夫氏、石川の吉田均氏、福岡の大塚純一氏、大阪の高松勇氏の4地域から発表があり、30名近い参加で充実して集会となりました。この内容については、次号に掲載予定です。
以上、久しぶりに大阪で開催された日児学術総会での活動の報告でした。

はやし小児科 林