年間50mSv被ばく地域への帰還強要政策に対し、「戦争法制」との闘いの中で反撃を!(NEWS No.478 p01)

6月12日、戦争法制への闘いが高揚する中、安倍内閣は福島の県内外への避難者に対して、驚くべきことに年間50mSv以下の地域へ、2017年3月までに帰還を強要する閣議決定をしました。
まず、この内容を理解するために、福島の避難地域の区分を再確認します。最も被ばく量が高い順に、

1) 帰還困難区域:年間50mSv超の被ばく、双葉町など約2万4千人、
2) 居住制限区域:年間20mSv超、50mSv以下、約2万3千人、
3) 避難指示解除準備区域、年間20mSv以下、約3万2千人、

3)の年間20mSv以下の地域での生活は、政府でさえ認めている100mSv以上の被ばくの障害性も無視したものです。この地域に5年以上住めば100mSv以上の被ばくをする可能性が十分あるわけですから。
そのため、2011年4月には文科省が年間20mSvに相当する空間線量の校庭の使用を認めたことに対して、日弁連・日本医師会なども含めて激しい抗議の声があがり、当時の内閣参与小佐古東大教授まで「子どもに年間20mSvは非常識」と抗議辞任、5月の保護者の強い要請で撤回することになりました。
ところがその後、3)の20mSvまでの地域で、昨年4月に田村市、10月には川内村の一部で、帰還制限が解除されています。

今回は、それらをはるかに超えた、恐るべき内容です。年間20mSVどころか、年間50mSv以下の地域にも帰還することを強要しているからです。
年間50mSv以下とは言うまでもなく、10年以上住めば500mSv、20年以上住めば1Svになる可能性もあるのです。
事故5年後制定のチェルノブイリ法では年間1mSvを超える地域では、移住を希望すれば支援を受けられます。年間5mSvを超える地域には「居住」はできず、移住が義務付けられています。安部内閣は、事故後6年にその50倍までの高度被ばく地に住めとしたのです。
今回の決定は極めて危険な地域への帰還の強制です。なぜなら、家族や家、地域での生活を奪ったことへの「精神的損害賠償」一人当たり月10万円の支払いが、2017年3月で打ち切られるのです。避難したため、多くの人がこれで生活をせざるを得なくなっているにもかかわらず打ち切ろうとしているのです。
同時に、東電は6月7日商工者への損害賠償を2016年までで打ち切ると発表しているのです。
これが強制でなくてなんでしょうか。

自主避難者への無償の住宅提供の打ち切りも進められています。高い被ばく地域への帰還強要への抗議の声をさらに強めなければなりません。
「戦争法制」廃案と安倍内閣打倒の闘いはますます高揚しています。この闘いの中で、先述の帰還強要決定も覆してゆかなければなりません。

はやし小児科 林