くすりのコラム 子宮頚がんワクチンの害(NEWS No.479 p08)

「(副反応の)全てのことを心因反応で説明することは医学的に不可能」「POTS(体位性頻脈症候群)はウイルス感染が先行しないと起こらない病態と言われている。自然発生的に起こるとは考えられない。」これは先月のTV報道「検証は十分?子宮頚がんワクチン、”副反応”症状で初の研究成果」で厚労省 副反応・痛み研究チーム信州大学医学部 池田修一教授が9月に発表予定の研究論文を解説した時に出したコメントです。毎日新聞では「子宮頸がんワクチン:免疫遺伝子が障害関与 厚労省研究班」という見出しの記事が掲載されました。接種後に手足の痛みや記憶障害などが出た12~19歳の少女12人のHLA(ヒト白血球型抗原)型を調べたところ11人(92%)が「HLA-DPB1 0501型」だったというものです。HLAは当初は白血球の血液型とみなされていましたが、全ての細胞の表面に存在し免疫システムの重要な分子であることが分かってきました。HLA型は自己免疫疾患との関連が研究されています。記事にあった「HLA-DPB1 0501型」は視神経脊髄型多発性硬化症や多発性硬化症との関連が研究されています。

通常ウイルスは種の壁を超えて感染することは難しく、ウイルスが感染するためには宿主の免疫をごまかしたり、狂わせる必要があります。特にパピローマの宿主域は狭く、種を超えた感染は報告されていません。そのためHPVワクチン、サーバリックスの審査報告書の効力を裏付ける試験でも「HPV は種特異性が極めて高く、また遺伝子型により組織特異性や引き起こされる病変も異なること等から、本剤の有効性(感染防御効果)について感染モデル動物を用いて直接評価することはできない。」と書かれています。しかし毒性試験については何の疑問もなく「ヒト」パピローマを動物で試験しています。DNAを含まないパピローマ蛋白が本当に安全なのかを知るためには自己免疫疾患モデル動物を作製する方法(系統、週齡、性別、飼育環境など)に則ってモデル動物を宿主とするパピローマ蛋白で試験しなければいけなかったのです。

地中海イタリア半島西方に位置するサルデーニャ島は自己免疫患の発生頻度が高いことで知られています。マラリアの流行による選択圧によってマラリアに耐性のある遺伝子型が多くなったためと考えられています。マラリア原虫が制圧されたのち敵を失った遺伝子が暴走し始めたことが自己免疫疾患発生率の高さにつながったのではないかと考えられています。このようにヒトは共存する生物と一緒に進化してきました。互いに繁栄するため平和的共存を目指してきたのです。HPVに感染しても癌になる人はほんのわずかです。このような個々の免疫の違いは各々の遺伝子が晒されてきた感染症の歴史が関与しています。私は異常に強力な免疫誘導を必要としたHPVワクチンの機序自体が間違っていると考えています。今後生態系が崩れるようにHPVワクチン(サーバリックス:16・18型、ガーダシル:6・11・16・18型)のせいでHPV遺伝子型分布が変わることが考えられます。16・18型以外のハイリスク型HPVの流行は子宮頚がんを増やしてしまうことになります。

薬剤師 小林