浮雲保健師ぶ〜やんの呟き 映画『小さき声のカノン』紹介(NEWS No.480 p06)

映画「小さき声のカノン」紹介
http://kamanaka.com/canon/

福島県二本松市にある400年続く 真行寺の住職 佐々木道範(みちのり)さんの家族
妻;るりさんが、子どもたちに声掛けしながら 慌ただしく朝食と弁当の用意をしている…
長年続いてきたであろう 日常の風景
しかし、
2011.3.11 福島第一原発事故
一時 母子避難をしていたが 寺を守り家族が一緒に暮らすことを選択したことから 放射能汚染から子どもたちを守る闘いが始まっていた。
NPOを立ち上げ 子どもたちが食品による被曝を避けるため 一般や団体からの支援で放射能計測をはじめた。

お寺が運営する幼稚園には100人の園児たちが居る。その子たちも放射能の被曝から守らなければならない。少しずつ全国から支援で送られてくる汚染されていない野菜を、園児たちにも配り始めた。

一方 ベラルーシ共和国
1986年のチェルノブイリ原発事故後
ソ連が崩壊し1991年独立したのがベラルーシ共和国。国家法として「放射能汚染地の法的位置づけに関する」法律を設立。
放射能汚染地域とは、住民の年間平均実効被ばく線量が1mSvを超える地域。
実測した土壌汚染データを基に75年分の予測値地図を作成。これをもとに住民の放射線防護対策がたてられる。事故から四半世紀経過する今もなお取り組みが続く。強制避難した多くの家族を診察してきた慈善団体「チェルノブイリの子どもを救おう」の代表 小児科医ヴァレンチナ・スモルニコワさん。
低線量汚染地域でクラス子どもたちをどう守るか模索する現地のママ達。そして その子どもたちの保養など支援してきた日本の人たちが 今 日本の子どもたちを守るために奮闘する姿。

鎌仲ひとみ監督がインタビューしながら撮影していくドキュメントである。

直接お会いしたことのある方、講演を聞かせてもらったことのある方、本で見たことのある方…知った人が 大きなスクリーンに現れリアルに話していく映像展開で、不思議な感覚。

撮影は、記録しているだけではなく、監督が問いかけながら、出演者が問いかけられながらお互い答えを模索しているようにも思えた構成に、自問自答しながら鑑賞している自分がもうひとり。
考えても、考えても、納得の行かない福島第一原発事故処理。ベラルーシでも 活動しているのは、歴史があれども 個人の団体。それを支援しているのも個人。

映像で、初め佐々木るりさん一人で支援の食品を分けていたのが「ママレンジャー」Tシャツを着たママたちが みんな笑顔で作業しているシーンに変わってくる。
ヴァレンチナ・スモルニコワさんが言っていた「普通の人々には 大きな力がある」が蘇る。道範さんが園児たちを遊ばせる境内の土や草を 黙々と除染しながら「地道に行きます。次の世代 その次の世代をイメージして。今は動かねーと。」と呟く。じっとしていたら潰れそうな心が、疲れきった身体を奮い起させているようで…涙。

もう一つ気になるシーンは、3月の震災で春休み避難していた子が戻ってきてしまった。それは、文科省が校庭に高濃度放射能汚染があるにも関わらず、新学期を始めるように通達したこと「学校始まんなきゃいいのに」と思っていた親たちも『新学期だ。帰らなきゃ』と戻ってきてしまった。
監督の「どうして?なんで帰らなきゃいけないの?」の言葉が突き刺さる。従わなきゃいけない刷り込みは いつ入ったのだろう?少数派になる恐怖も。怖いと思った。

各地で自主上映開催中!(HP参照)
是非ご鑑賞を。サヨナラ・サヨナラ・サヨナラ!

川崎恵子