『甲状腺がん異常多発とこれからの広範な障害の増加を考える』をお読みいただいた皆さまへ

お詫びと訂正、ならびに増補改訂版のご案内

2016年2月15日

当研究会編・著の『甲状腺がん異常多発とこれからの広範な障害の増加を考える』をお読みいただきありがとうございます。
初版発行から6か月が経過しました。実はこの間、みなさまにお知らせすべき2つの問題が起きました。

ひとつは、読者の方からから、第2章の表2-3(36ページ)において、学校校庭空間線量について、例えばいわき市平第一小学校での空間線量は4,041Bq/m3と表記されているが、元データでは4.041Bq/m3となっており、「,」と「.」のとり違いで3桁の違いが出ている、とのご指摘をいただきました。調べましたところ、ご指摘の通りであり、このデータを用いた計算についても誤っていました。
間違いについては、読者の方々をはじめ関係者の皆さまに深くお詫びいたします。
そこで、対処方を具体的に検討した結果、初版本35ページから39ページ8行目までの「⑷ ヨウ素131の内部被ばくによる甲状腺等価線量」を削除し、同じタイトルを残したまま、同趣旨の別の事例と差替えることとしました。

いまひとつは、わずか6か月の間に、本書の内容を補強する多くの事実や研究成果が明らかになりました。
岡山大学津田敏秀教授の論文が世界的な疫学雑誌Epidemiologyに掲載されたこと、低線量被ばくの発がん性を明確にした原子力関連企業労働者の調査研究論文が2編相次いで発表されたこと、福島原発事故処理労働者の放射線障害が医学的データとして学会に報告されたこと、日本公衆衛生学会のシンポジウムで、放射線についての3名の著名な専門家から、被ばく線量測定とりわけ初期被ばく調査結果が低かったことを理由に、出現してくる障害を否定することはできないとの発言がされたこと、などがここに含まれます。
これらについて、一刻も早く読者のみなさまにお伝えすべきとの結論に至りました。

以上のことから、今回、緊急に増補改訂版を新たに発行(2月15日発売)することにしました。
「第2章 ⑷ヨウ素131の内部被ばくによる甲状腺等価線量」を改訂すると共に、増補として「明白な甲状腺がん異常多発と健康障害の進行 ―障害の調査と避難の保障を―」を14ページ追加しました。

今後とも、医療問題研究会の取組みにご指導ご支援をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。