医薬ビジランス・シンポジウムが開催されました(NEWS No.495 p06)

10月16日に特定非営利活動法人医薬ビジランスセンターNPOJIP主催で、医薬ビジランス・シンポジウムが開催されました。

「薬害はなぜなくならないか―裁判の非科学性を問う―」をテーマに、タミフル、抗がん剤イレッサ、HPVワクチンが取り上げられました。「21世紀型薬害」では、医学的・科学的に因果関係が証明できても、国やメーカーが頑としてそれを認めず、裁判所は被告(国やメーカー)の意見のみをとりあげ、他にも薬害を引き起こしかねない薬剤が多数存在しており、医学的・科学的根拠と、判決の根拠とのギャップについて討論するというのが趣旨です。

タミフルについては、NPOJIP浜氏、柴田弁護士、薬害タミフル脳症被害者の会の秦野氏、医問研の林氏らが報告。タミフルは動物実験などで呼吸停止や脱抑制を生じることが確認されており、突然死や異常行動が予測可能だったが、名古屋地裁では「因果関係に一点の疑義も許されない自然科学的証明」を求めている、しかしこれは因果関係の証明についての無理解であり、「疑わしきは救済する」という医薬品医療機器総合機構の運用にも反していることが論じられました。林さんは、タミフルが気道合併症の予防に効くとしたコクラン共同研究のレビューにフィードバックし、合併症予防効果がないことを明らかにし、日本小児科学会の「季節性・軽症インフルエンザへの抗インフルエンザ薬は推奨しない」との見解を引き出したことを報告されました。

イレッサについては、浜氏、イレッサ薬害被害者の会の近澤氏が報告。イレッサは多数の死者を生み出したが、最高裁はメーカーの法的責任を否定しました。動物実験では、間質性肺炎にとどまらず重大な害作用が明らかだったのに、データ操作が行われ、欠陥薬剤を承認、販売して被害を拡大させました。90年代以降は臨床試験の規制緩和が進み、データ操作やゴーストライターが横行するようになっており、本物の情報を見抜く力を医療関係者や当事者は身につけることが必要になっています。

HPVワクチンについては、浜氏と被害者の高校生も発言されました。名古屋市調査の解析結果では、病者除外バイアスを考慮するとHPVワクチンは認知機能、運動機能を悪化させることが明らかでした。HPV自体はほぼ100%感染するものの子宮頸がんの発症はごくわずかで、ワクチンががんを減らすことは証明されていません。ワクチン接種により、簡単な計算もできなくなった、普通に歩けなくなったなどの深刻な後遺症に苦しむ被害者が多数生み出されました。被害女性は、受診しても症状すら理解してもらえず、精神症状と決めつけられるなどの二次被害にも苦しめられます。「私たちのからだを返してほしい。普通に学校に通いたい」という当然すぎる訴えを真摯に受け止めなければと思いました。

日本では多数の被害者が出るまで司法や行政が薬害を認めないできているが、害の可能性があればやめるという予防原則を守らせること、我々が科学的な基盤をきちんと積み上げていくことが必要と、NPOJIP谷田氏がまとめられ、白熱した議論を終えました。

いわくら病院 梅田