ワクチンと乳児突然死症候群の関連 ―その1―(NEWS No.503 p05)

ワクチントークに参加したのを契機に、ワクチンと乳児突然死SIDSの関連について少しでも考えてゆきたいと思います。

  1. ワクチンにより突然死が増加する。
  2. 突然死の原因はワクチンである。
  3. ワクチンでの死亡を突然死として、ワクチンの副作用を隠す。
  4. 突然死はワクチンと関連しない。
  5. ワクチン接種により突然死が減少する。

などの意見が考えられます。

日本では、元気だった乳児が眠っている間など親の知らない間に突然なくなるSIDSで年間約150人が命をなくしています。最も効率的な予防法は赤ちゃんを仰向けで寝かせることで、医問研はこれを無視していた日本の学会や厚労省に認めさせ、年間500人以上から激減させることに貢献しました。

それはともかく、SIDS の8割が4ヶ月まで(Trachtenberg FL et al. Pediatrics 2012; 129: 630-638)ですので、それを当てはめると150の80%、120人が生後4ヶ月までに死亡していることになります。ワクチンは2ヶ月以後に始まりますから、多くのワクチンを接種している生後2.3.4月の期間には平均で各月30人、毎日1人死亡していることになります。

他方で、副作用報告は、決して全例ではなく、死亡を診た医師の届け出に頼っており、関連ないと思われれば除外され、しかも製薬企業へ届ければ(届けなくても)その影響も加わるかも知れません。少なくとも、死亡した子どもはワクチンと一定期間内なら全て報告される体制が必要です。

しかも、SIDSは年間150人、ワクチン後の「死亡」は少なく見積もると年間10人未満です。こんなまれな疾患の場合、「症例対照研究は、証拠の上下関係の位置は低いがこのデザインは、通常まれな疾患の研究にはただ一つの選択肢となる。」(Trisha Greenhalgh、EBMがわかる、金芳堂1999年)

そこで、まずは症例対照試験の検索から始めました。
残念なことに、コクランライブラリでは見つかりません。

次に、PubMedで[vaccine and sudden infant death syondrome and case control study]で検索しますと、たった20件がヒットするだけです(別の検索方法が必要かも知れませんね)。

これらの要約を読んでみますと、症例対照試験は6件、3症例研究を見直した1件、メター分析が9試験を集めたものと4試験を集めたものが各1件ありました。それらの多くは、「関連なし」との結論ですが、全細胞百日咳ワクチン(古いワクチン)ではオッヅ比で2.28に増加する、4種混合が95%有意でないが増加傾向、3種混合の接種3日以内では7.3倍、など気になる報告ありました。

グーグルでは同じ検索語でも無茶苦茶多くヒットしますので、「なぜ症例対照研究は乳児突然死症候群とワクチンの関連を示さないのか」という難しい統計を使った論文も見つかりましたが、とりあえずペンディングとしました。

症例対照研究は多くのバイアスを含みますので、その影響を排除しながら結論を出さなければなりません。

次回は、上記でヒットした文献の本文を読み、報告したいのですが、どなたかご一緒に簡単なレビューをしませんか?

はやし小児科 林