やはり日本脳炎ワクチンは危ないー日児誌編集委員会への手紙と回答(NEWS No.513 p05)

昨年日本小児科学会誌12月号の症例報告で、日本脳炎ワクチンの接種に目が止まりました。
川崎病として症状6項目にうち5項目を認めた3歳女児で、第16病日に痙攣が出現し、10数時間後に自発呼吸が停止し、懸命の治療の甲斐なく、2年後に永眠した症例です。
論文の著者たちは、川崎病に合併する脳症は非常に稀で、痙攣発症後の急激な経過と頭部の画像所見が合わない非典型例と結論づけていました。しかし本症例は入院4日前に日本脳炎第1期の予防接種を受け、入院時検査で日本脳炎ウイルス抗体が検出されていました。
思い当たったのは、以前の日本脳炎ワクチン副反応報告の死亡事例です。平成25年8月に日本脳炎ワクチン第1期1回目の単独接種を受け、その6日後に死亡した急激な経過の10歳未満女児の事例が報告(1)されています。この事例では、抗日本脳炎ウイルスの糖蛋白を認識するモノクローナル抗体陽性を示す脳血管内皮細胞が免疫組織学的に証明され、病理解剖による死因は急性散在性脳脊髄炎(ADEM)であり、時間的関係からワクチン接種と死亡の因果関係を、検討した3人の専門家全員が否定できないとしています。
現行の乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンは、審査報告書(2)でも治験段階から旧ワクチンに比し、局所反応を含む副反応の発現頻度が高い傾向にあると指摘され、製造販売後に可及的速やかに重篤な副反応に関するデータを収集することが承認条件になっています。
直ちに二つの資料を添えて、日本脳炎ワクチンとの検討と考察を求め、学会誌の編集委員会へ手紙を出したところ、本年4月号で著者たちからの回答をいただきました。
回答によれば、経過の中で日本脳炎ワクチンの可能性も疑っていたこと、入院中に副反応報告を提出されていたことなど、川崎病の既報からも非典型的であったので、私の手紙が病態解明の一助になるとのことでした。
現行日本脳炎ワクチンは接種が進められていくにつれ、死亡事例が続いているようです。こんな中で、このワクチン接種は何人の子どもの日本脳炎を助けているのでしょうか(ゼロです!)。
「編集委員会への手紙」は、学会誌のもつ重要な意見交換の場であり、その内容は全国の小児科学会員の目に触れる機会となります。今回の手紙は、危険な日本脳炎ワクチンへの注意喚起となったことと思います。

<参考文献>
(1) 第9回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
平成26年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 資料11 日本脳炎ワクチンの副反応報告状況
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000046232_1.pdf
(2) 乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン ジェービックⅤ審査報告書
http://www.pmda.go.jp/drugs/2009/P200900014/63014400_22100AMX00439_A100_2.pdf

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