フィリピンAKCDF ミニ健診(身体測定)と教育プログラム報告(NEWS No.523 p04)

AKCDF preschool leaning centerは、フィリピンのマニラ首都圏の北西部マラボン市のイーストリバーサイドと呼ばれる貧困地区にある未就学児が通うpreschoolです。1988年、一民間人であるフロールデリサ・ガランさんによって設立されました。AKCDFへの医療問題研究会による医療協力は1992年に始まり、毎年入園児健診を行っています。今回、毎年の入園児健診とは別の2月23日にAKCDFプリスクールラーニングセンターにてミニ健診(子供たちの身長体重測定)と教育プログラムを行いましたのでご報告させていただきます。

私たちは今までの毎年の健診を通して、AKCDFに通う子供たちの保護者や教師が、子供たちの発達や育てにくさについて様々な心配を感じていることを把握しています。子供たちにはいろいろな個性や特性があります。それぞれの個性や特性にあった子育てをみつけていくことが必要です。伝統的な子育てがまちがっていることはありませんが、伝統的な子育ての場合にミスマッチを起こす個性をもった子供たちがいます。ミスマッチを起こした場合、自己肯定感の低下など、個性や特性によるものではない二次障害が起こります。子供たちの健やかな心の成長のためには二次障害を防ぐことはとても重要なことです。二次障害を防ぐためにどうすればよいかという方法を学ぶ必要があるといえます。そこで、子供たちの保護者と教師に対して、育てにくさのある子供に関わるうえでの必要な知識や対応についての教育プログラムを実施しました。保護者が教育プログラムを受けている間、子供たちの身長体重測定を行い、7月の健診時からの成長を確認できる機会もつくりました。

また、生活習慣病の増大はフィリピンが抱える課題の一つです。教育プログラムの構成は森先生による「生活習慣病に対する必要な知識の提供」と「育てにくさのある子供に関わるうえでの必要な知識や対応について」とし、多くの方が参加できるように、3セッションにわけて行いました。参加者の反応はとても良く、育てにくさに対する知識や対応についてもっと継続して学びたい、さらなる講義を通して、事例に対するよい対応例をもっと知りたいという意見をいただきました。私は平成23年から育てにくさのある児の早期支援、保護者や保育園など保育者への支援に従事しており、大人の子供への対応や反応が子供に及ぼす影響はとても大きく深刻であるということを日々目の当たりにしています。教育を通してよりよい対応を学び模索することは非常に重要です。フィリピンには公的なこのような教育プログラムがありません。この活動がフィリピンの育てにくさのある子供に関わる大人に対する普遍的な支援につながることを目指していきたいと思っています。

特定非営利活動法人リハケア神戸・神戸大学保健学研究科 山本