新型コロナ対策の民間企業利益優先と家族内などの感染増加を拡大する政策は、即時中止を(NEWS No.543 p01)

新型コロナに対する、保健所など医療機関の対応が大幅改悪

これまでは、「しんどいな(コロナではないか)と思ったら」保健所に相談することになっていました。保健所は、検査をしたり、病院・診療所などを紹介したり、結果によっては入院や自宅療養の指導などをして、第一線の対応をしていました。

しかし、これからは「しんどいなと思ったら、かかりつけ医に電話してな!」「かかりつけ医がいない時は保健所に相談やで!」(大阪府のビラ)に変わったのです。

相談された診療所や病院の多くはコロナの診療体制ができていませんので、単に断るか、保健所に相談したり、検査を受けられる医療機関をさがし、そこを紹介し、患者自身でそのような医療機関をさがしまわったりしなければならなくなりました。

検査は精度の悪い「抗原検査」が多くなり、費用の大部分は健康保険負担に

また、コロナの診察をできる体制ができたとしても、その検査はPCRではなく簡便な(インフルエンザ検査のような)抗原検査をするように誘導されています。現在でも、PCR検査でさえ、大部分は民間医療機関での実施になっていますが、抗原検査は100%民間検査会社がしますし、これによりインフルエンザ検査のように膨大な検査キットが売れ、民間検査会社は多額の利益を得るわけです。

それでも、しっかり検査ができるのならよいのですが、抗原検査は陽性患者の半分が陰性にされるなど信用できません。詳細は、今号の高松論文をお読みください。

さらに、これらの検査費用のうち、診察・検査費用の7割とか8割以上が保険財政から支払われます。「公費」としてはこれまでの検査全額から、保険の患者負担分の2-3割のみを負担の負担に減ることになります。患者も医師の診察費用などの2-3割は負担になります。

感染性のある軽症患者への公的支援が後退

もう一つの変更は、新型コロナ感染患者が出た場合の対応です。これは10月9日閣議決定、24日に施行されたものです。これまでは、PCR陽性

なら「無症状者らにも入院勧告ができる」となっていたものが、今後は「65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人らを入院対象とする」と大幅に入院対象者が減ります。医療機関の「負担」を減らすとの名分のもとですが、これにより、自治体などがコロナ感染のために用意していた病院やホテルなどの隔離場所の確保をしなくても良くなります。

逆に、政府・自治体はそれらへの人的、財政的出費を減らすことができるわけです。感染者らは自らを「隔離」する場所をさがさなくてはならなくなります。感染者は「自宅療養」により家族に移し、さらに家族から多くの人にうつす可能性が高まります。今でさえ、東京では感染源の42%を家族感染が占めており、最も減らさなければならないのが家庭内感染です。菅内閣の政策はこれを増加させるものであり、感染拡大抑制の主要な手段を放棄したことになります。

もう一つの改悪があります。これまでは、検査を受けた人全員の届け出が必要でしたが、今後は検査時点で入院が必要な人と感染が確認された人だけ届けるようになりました。これにより、検査の陽性率など疫学的データもいい加減になりました。

GoToキャンペーンの資金を感染対策に

他方では、菅内閣は、現在のコロナ感染の激増の原因と考えられるGoToキャンペーンには多額の資金をつぎ込みました。強い批判にもかかわらず、旅行大企業が儲かるこの政策には変更の姿勢を見せず、やっと札幌と大阪市への旅行を一時中止するというものです。

大企業が儲かる政策には莫大な予算を投入するが、大企業が儲からない出費は極力切り詰める。これが安倍政権を受け継いでより一層鮮明化した菅政権の新自由主義的政策の具体例です。その結果、多くの人が感染し、命や健康、生活を奪われるのです。