[2月例会報告②]COVID-19ワクチンの効果・副作用も不明点多数 世界的に「緊急使用許可」の承認だけ!全てのデータの開示を!(NEWS No.546 p04)

Ⅱ、ARDS-COV2(COVID-19)ワクチンについての現段階の評価—安全性について

通常は数年の動物実験、人体へのphaseⅡ,Ⅲの結果を踏まえて広範囲な人へのワクチン接種が始まる。ところが現実には1億人を超える感染者、200万人を超える死亡者を背景に、安全性への検討がなくphaseⅠから数か月以内に数百万人を超える人への人類初のRNAワクチン接種が始まっている。日本でも接種が始まっている。先行しているこのPfizer-BioNTechワクチン(以下Pfizerワクチン)について現時点での安全性の評価、問題点について論じる。

1.Pfizer社からFDAに提出された安全性に対するPhaseⅡ/Ⅲ データからの副作用の概括(接種7日以内の副反応にとどまる点に注意)

10月9日から11月14日までに実施された接種後7日以内の全身の副反応の概括(18-55yr)。1回目接種後より2回目接種後で有意に多い(表1)。

(表1)ワクチン接種7日以内の全身副反応

新型コロナの恐怖に隠れているが、健常人への接種を前提とするワクチンで、2回目接種後45%の人が解熱鎮痛剤を必要としたというだけでもいかに副反応が多いかがわかる。

急性期全身症状について「新型」インフルエンザ騒動となった2009年の「新型」インフルエンザワクチンに対するアメリカ副反応報告((VAERS)データと単純比較してみた。2009年の新型インフルエンザワクチン接種者は4620万人、全身の副反応報告者は3783名(死亡ないし重篤者191名、その他は発熱、倦怠感、悪寒などを含む)だった。副反応がすべて発熱だとしても、Pfizerワクチンとは2万倍も違う。もちろん今回のPfizer ワクチンの副反応報告は狭い範囲での副反応調査であるし、2009年の副反応報告は一部を反映しているだけかもしれないが、全身の急性副反応がPfizerワクチンでは今までのワクチンに比べけた違いに多いと断定できる

2. アナフィラキシーについて

アナフィラキシーは対応を誤ると死亡することもある重篤な副反応でありワクチンでは極めて少ない。PfizerワクチンではUSで一回目の接種後計21例が報告された。半数は15分以内に症状が出現し、19例入院、17例は救急センターに搬送、3例はICUに収容された。幸い死亡者はいなかったが全例必須薬のエピネフィリンの投与を受けた。2回目接種後のアナフィラキシーはさらに多いことが予想される。ワクチン接種者は1893360人であり、Pfizerワクチン接種者のアナフィラキシー発症者は1.1人/10万接種者となる。新型コロナの死亡者は1700人/10万罹患と比べると些細な頻度の副反応であるというとらえ方が多いが、健康人に対する接種であることを忘れてはならない。また医学界からはこぞってアナフィラキシーは治療可能であるとして副反応を薄めようとしている4)。多人数への同時接種に際し予診が十分できるか、いざというとき即座にエピネフィリンを使用できるかなど、日本の現状に照らすと課題は多い。

PhaseⅠ-Ⅲの臨床試験ではもともとワクチンのいずれかの成分に対するアレルギー反応の病歴を持つ人は除外されており、臨床研究で安全性がないがしろにされたことは明白である。

他のワクチンとアナフィラキシーを比較してみる。CDCによると、2009年1月から2011年12月までに、全ワクチン接種後のアナフィラキシー頻度を調べたところ25173965回のワクチン接種に対し全年齢で33例、18歳以上では15例が報告された5)。 今回のPfizer ワクチンではすべて20歳以上で21/1893360回であるから、ORで18.6倍(95%C.I:9.6-36.1)とPfizer ワクチンで明らかにアナフィラキシーが多い。脂肪やポリエチレングリコールでのコーティングやナノレベルでの粒子ワクチンなどが原因として推定されるが、既存のワクチンに比べけた違いのアナフィラキシーの多さである。

3.ADEについて

抗体がウィルス感染を防ぐ場合もあるが、ウィルスによっては逆に抗体があることで感染が悪化する場合がある。これを抗体依存性増悪(ADE)という。

妊娠中デング熱に罹った母親から生まれた子供が、生後デング熱に罹ると重症化すること、また、二度目の感染で重症化することはよく知られていた6)。2016年デング熱ワクチンがWHOで認可され接種が始まったが、フィリピンでワクチン接種後に新たにデング熱に罹患すると重症化、時には死に至ることが報告された7)。罹患後抗体を有することで必ずしも再感染が防げるわけではなく、むしろ増悪するというこの現象の結果8)WHOは2018年デング熱抗体陰性者を接種対象から外すと表明した9)。これはデング熱ウィルスだけでなく、40を超えるウィルスで起こっている現象であり、Influenza, 日本脳炎、HIV、エボラなどでも起こる。SARS-CoOVやMARS-CoVなどもこれに当たるといわれ、ワクチン開発は頓挫している。SARS-CoV2もそうではないかという懸念がある10)。

特にSARDS-CoV-2の場合はADEを再感染と結び付けて考えると理解しやすい。COVID-19 は再感染が知られている。2021年1月、SARS-CoV2再感染をテーマにしたレビュー論文がPMCを通じて発表された。それによると、計1128例の再感染例がいて、再感染率は2.4%から21.4%で、再感染で症状が軽くなる例が97.3%、増悪が2.6%に認められたという11)。また、(表2)に示したようにCOVID-19再感染者が重篤であったとする報告もある12)。

(表2) COVID-19再感染者の症状

4.結論

人類が初めて経験するRNAワクチンは、アナフィラキシーをはじめ予想以上に副反応が多い。安全性データの不十分なまま、また準備不足のままの接種は拙速である。

大手前整肢学園 山本

参考文献

1. FDA Briefing Document Pfizer-BionTech COVID-19 Vaccine
2. MMWR  December 4, 2009 / 58(Early Release);1-6
3. MMWR / January 15, 2021 / Vol. 70 / No. 2
4. NEJM; December 30 2020 DOI: 10.1056/NEJMra2035343
5. J Allergy Clin Immunol. 2016 March ; 137(3): 868–878
6. Lancet 2019; 393: 350–63
7. 日内会誌 108:962~963,2019
8. N Engl J Med 2018;379:327-40
9. IASR Vol. 39 p226: 2018年12月号
10. International Journal of Infectious Diseases 100 (2020) 483–48
11. Infect Dis (Lond). 2020 : 1–10
12. RHODE ISLAND MEDICAL JOURNAL December 2020