エキソソーム(細胞外小胞)について(NEWS No.556 p04)

最近当院の症例として、「新型コロナ遺伝子ワクチン接種者からの影響」としか思えないような症状を訴えて来院される患者が増えています。特に多い印象なのが、ワクチン未接種者の妊娠適齢期の女性の方で、月経前後の不正出血・月経痛・頭痛など、月経周期に伴って変な症状が出現してきたという症例です。そして皆さん口を揃えて「ワクチン接種したばかりの人が近くにいた」と言うのです。これが一例や二例であれば、私も「気のせいだろう」と思っていたかも知れませんが、何度も経験すると、流石に看過できない状況なのかなと思い始めました。また、急に変な蕁麻疹や発疹が身体の各部に出てきた、それまで落ち着いていたアトピー症状が急にひどくなってきた、人生で初めて帯状疱疹が出現した、持病の頭痛がひどくなったなどの症状や、他にも全身倦怠感や原因不明の発熱、動悸・息切れなどが急に出てきたと言って当院を受診される患者が、ここ数ヶ月ほど後を絶ちません(初診・再診問わず)。これら全ての症例に当てはまることは、「新型コロナ遺伝子ワクチン接種者が周囲に増えてきた状況下で症状が出現してきた」ということです。では、これらがワクチン接種者からの影響が未接種者に対してあるとした場合、そのメカニズムとして考えられることとは何でしょうか?今のところ私は「エキソソーム(細胞外小胞)」が関係している可能性が最も高いと考えています。

エキソソーム(exosome)とは、あらゆる種のあらゆる細胞から分泌される細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EVs)の一種で、大きさとしては直径30-200nmほどのものとされています。1980年代に初めて細胞外分泌メカニズムの一つとして同定されました(R M Johnstone et al. 1987)。現在では、あらゆる生命活動・生理現象に影響を与えていることが示されています。また、そのサイズと生体適合性の高さから、血液脳関門も通過でき、様々な臨床応用のための研究も盛んに行われています(Y Zhang et al. 2019, E J Bunggulawa et al. 2018, S Gurung et al. 2021)。エキソソームについてはこれまで大変興味深い内容の論文がいくつも発表されており、例えばバクテリアや真菌から放出されたエキソソーム(細胞外小胞:EVs)が、バクテリアや真菌由来の遺伝子(DNA or RNA)を内包しており(B L Deatherage et al. 2012, L Brown et al. 2015)、それらの遺伝子DNAが周囲のバクテリアに取り込まれ、バクテリアの機能を変化させることが報告されています(A E Sjöström. 2015, Y Yang et al. 2018)。これまで遺伝子は子孫に受け継がれていく(垂直遺伝する)ことは当たり前の現象としても一般的に知られていましたが、このような遺伝子の水平移動(=水平遺伝)が、実際に現象としてもメカニズムとしても明らかにされたということは、遺伝学的には非常に意義深いことであったと言えるでしょう。また、食品中の遺伝子やタンパク質などを内包したエキソソームが小腸粘膜から取り込まれ、全身を循環することによって食品中の遺伝子が我々の細胞の遺伝子の一部になっている可能性が示唆される論文も報告されています(S Kahn et al. 2018)。さらに、この食品中の遺伝子は腸内細菌にも移行し、この腸内細菌から放出されたエキソソームが我々の体内を循環し、様々な細胞に取り込まれることが示唆される論文も報告されています(E J Jones et al. 2020)。さらに、疾患特異的な遺伝子(miRNAなど)がエキソソームとして我々の呼気中にも排泄されていることが報告されており(A Sinha et al. 2013, F C Mendes et al. 2019)、これらが受容体を用いて様々な細胞に取り込まれ、遺伝子レベルで影響を与える可能性が考えられます。

ここで、今回のSARS-CoV-2やmRNA遺伝子ワクチンについて考えてみましょう。まず、エキソソームを介してSARS-CoV-2由来の遺伝子(RNA)が運搬され、ウイルス感染が宿主内で助長されたり、血栓症を促進されたりする可能性が示唆されています(Urbanelli et al. 2019, Gambaadella et al. 2020, E Barberis et al. 2021)。また、ワクチン接種後に体内に侵入したSARS-CoV-2のスパイクタンパクをコードするmRNAは、レトロトランスポゾンであるLINE-1などにより逆転写され、我々のDNA配列に組み込まれキメラ遺伝子が作成される可能性があります(L Zhang et al. 2021)。そしてそれが全く新たな遺伝子としてエキソソーム内に封入された形で体外に排出され、SARS-CoV-2未感染者あるいはワクチン非接種者の体内に侵入し、生体にとって不都合な症状を引き起こしてしまう、という可能性があります。まだ“仮説”の段階に過ぎませんが、上記のような患者が増えていることの説明としてはかなり可能性が高いのではないかと考えています。これらのことについてはさらなる検証が必要です。

医療法人聖仁会松本医院 院長 松本有史