マイナンバー強制・健康保険証廃止─プライバシー侵害と医療関連企業のためのマイナンバー制度反対 (NEWS No.575 p01)

医療保険証の廃止問題で、大変なトラブルが生じていることはマスコミでも報道されています。ここでは、マイナンバー制により個人の医療情報がどのように使われようとしているかについて、簡単に述べます。

マイナンバーを利用した、国民等に向けたオンラインサービスとして、2017年11月13日から提供している「マイナポータル」で得られる情報は29項目があり、その中に健康・医療などの以下の項目などがあります。当面、これらが政府が運用するデータベースとして集められます。

「健康保険証、診療・処方された薬剤など、医療機関で払った費用、予防接種、(メタボなど検診結果)、がんなど検診結果、難病患者支援、妊娠届の情報など、障害児支援・小児慢性特定疾患医療(給付情報など)労災補償、など」

これらが情報として他人に漏れれば、プライバシー侵害も甚だしいものです。そのため、マイナポータブルのデータは、本人が「承諾」しなければ医療機関も見られないことになっているはずです。しかし、その情報は「番号法19条14号」に基づき、例えば刑事事件の捜査にかってに提供されても、本人には全く知らされません。要は、政府が決めた行政や企業などに一定の規制下でデータを使われても本人はわからないのです。医療機関は本人の許可を得て知ることができます。

他方で、電子カルテのデータ共有を広げる政策が進んでいます。2025年には電子カルテ情報の閲覧が、傷病名、アレルギー、感染症、薬剤禁忌、検査、処方の医療情報6項目と、3文書(診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告)が本人の同意を受けて閲覧できるように「改革」されています。電子カルテ間の情報連携が容易となる統一規格が必要になりますが、その電子カルテの導入には補助金を出す方針です。医療費を大幅に削減しながらこれには他のマイナンバー拡大の補助金のように大金をつぎ込む様です。なぜなら、これにより、市民生活を対象として、民間企業の成長戦略に利用できるからです。

医療保険から直接的に迅速な情報収集をする方法も拡充されています。これらのデータは、NationalDateBase、KDB【国保データベース】として設立されていて、そこに保健医療の内容が蓄積されています。この間推進されている、医療機関から保健医療費の請求の電子媒体による請求化もその一つの柱と思われます。国や地方公共団体、大学その他の研究機関、民間事業者その他の厚生労働省令で決める者が利用可能です。介護保険の情報もここに集められます。これもマイナンバー制度と共に組み込まれるようです。

日経連は個人情報の商品計画への利用を求めています。薬剤の問題では、2022年9月22日に日本製薬工業会が「製薬企業における健康医療データの利活用に関する期待と課題」を発表しています。これには、新しい薬の開発には長期間かかり、大変なお金が必要だから、リアルワールドデータを活用することが必要だとしています。また、イスラエルのコロナワクチン効果判定、はてはゲノム情報を組み合わせた治療などを紹介して、製薬企業による健康医療データの利用、患者データは医療機関を介して入手する、などの方針を書いています。イスラエルのコロナワクチン評価の誤りは、すでに本誌でも述べている通りです。世界中の医療関係者や市民をダマスためのデータを作ること、製薬企業の利益となる創薬、売るための宣伝に使うことは可能です。マイナンバーカード使用強制・健康保険証廃止にはそんな問題もあります。