5類移行後のCOVID-19感染拡大とワクチン一辺倒の日本政府 ワクチンの中止と被害者情報の公表、救済を ワクチン副作用の現状(NEWS No.575 p04)

コロナ罹患数把握は5類移行後5月1日からインフルエンザとほぼ同様の全国指定医療機関約4900か所からの週ごとの定点報告に変更された。週ごとのため迅速な対応ができないという政府のサボタージュに利用されている。

①  すでに9波突入

5月第一週からの国立感染症センターのIDWR(感染疾患週間報告)の速報データを見ると沖縄ではすでに6月第一週の定点報告で罹患者が900名を超え、全数報告時代の2022年8月の最大1200人に迫る勢いの流行であること、6月26日には2600人を超えたことがわかる。全国も同じ状況で、このままでは8月1日には定点医療機関で7万人を超える新規患者が推定される(図1)。https://www.niid.go.jp/niid/ja/data/12137-idwr-sokuho-data-j-2326.html

図1 全国からの報告数と推定数

①  効かず危ないワクチンに一辺倒の日本の政策

2021年12月から2022年1月にかけて世界中でCOVID-19の流行が起こった。多くの国ではワクチン接種は60%を超えていたためもあり、積極的な接種拡大方針はとらなかったが、日本ではすでに世界トップクラスの接種率であったが、接種拡大一辺倒の方針をとった。この時期日本では2022年1月からの第6波に入り、2022年9月から第8波に突入した。(図2)に人口100人当たり100回を超えるブースター接種回数でも罹患は阻止できなかった日本の状況を示す。2022年初頭の第6波以降の流行はオミクロン株が主流のためとされ、第7波の9月以降はオミクロン対応の二価ワクチンに変わったが、それでも第8波を防げなかったことは明白である。(図2)

図2 新規感染者数とワクチン接種回数

先の押谷氏は同じアドバイザリーボードに「我が国では2023 年度の(ワクチン)接種として、2023 年秋冬に全ての方を対象とした接種を実施することとしており、また、高齢者等の重症化リスクの高い方等については、春夏においても1回追加して接種を行うこととしている。日本の人口は世界的に見ても特に高齢化率が高く、この集団に対する適切な追加免疫の実施が求められる」としワクチンに固執する方針を示している。

重症化阻止効果について見る。押谷氏は厚労省データを用い、日本の第7波の感染者数は12,411,725名、死亡者数は14,368名、第8波は感染者数11,920,281名中死亡者28,469名と示した。この7波から8波にかけての死亡者増加の要因について、押谷氏は①感染者数の増加、②福祉施設医療機関でのクラスター、③ワクチンの重症化阻止率の低下の可能性、④医療逼迫で急性疾患に対応できなかったことの関連死、超過死亡などを挙げている。同じ押谷氏らの資料(図3)をみると、日本の第7波以降、日本の死亡率はイングランドに比べ明らかに高い。オミクロンBA4-5 株などウイルス側の要因は変わらず、高齢者分布の違いも同じままである一方、ワクチン接種率は日本がはるかに高い。ワクチン以外が要因であるかワクチンが増悪因子かが明白である。(図3)

図3 イングランドと日本の人口千人あたりの死亡者数の推移

なお英国は4月以降、75歳以上、老人施設入居者、5歳以上の免疫低下者以外はワクチンの追加接種はできない。他方COVID-19後遺症への対策は取られている。

①  COVID-19ワクチンと死亡補償について

COVID-19接種後の副反応は製造業者、医療機関双方に報告義務がある。そこでの死亡報告は12歳以上でファイザー1,829名、モデルナ224名、タケダ1名、それ以外にファイザー6か月から11歳まで4件、計2058名と報告されている。(2023年4月28日第93回厚生科学審議会副反応検討部会)。一方、これとは別に被害者からの任意の予防接種健康被害救済制度があり、厚労省の審査分科会で2023年7月14日までに累積8,138件の救済請求を受理し、被害認定3,486件、否認476件、保留180件まで行われている。死亡についての請求件数は不明であるが7月14日までで一時金認定100件、否認3件、保留17件となっている。過去の厚労省の予防接種健康被害救済制度認定者数をみると、他のワクチンについては1977年2月から2021年までの累計で亡くなった方151件に対し補償がなされている。例えば痘そう42件、インフルエンザ(臨時)20件、麻しん14件、ポリオ生ワク12件、日本脳炎11件、インフル(定期)5件、などの計151件である。

44年間で全ワクチン被害死亡補償認定が151件だったことを考えると、また、被害請求者の約半数4000件が未審理であることを考えると、2年間で100件というCOVID-19ワクチンの認定はけた違いとである。ⅡⅢ相の安全性試験をせず多くの死亡者を出したインフルエンザ(臨時)ワクチンとの比較を考えても今回は驚くべき死亡者が補償認定されていることのあらわれと思われる。

④まとめ

私たちは、新型コロナ(以下COVID-19)流行の当初からCOVID-19はインフルエンザなどとは異なる疾患であり総力をあげた感染対策が必要であると認識する一方で、COVID-19ワクチンの安全性の問題や有効性評価の問題が巨大製薬資本のデータに頼っていることを問題視し、ワクチン一辺倒の政府の対策に警鐘を鳴らしてきた。

日本では政府の無策の中で、再び医療崩壊が起きようとしている。必要な感染隔離、相談先の確保といった個人防衛をしつつ、9波に入ったという認識とともに保健所の切り捨てや行政の責任放棄を許さず行政への要求を強める必要がある。

また、政府には未曽有の健康被害を生んできているCOVID-19ワクチン一辺倒政策の中止と健康被害の公表と救済を求めていくべきである。

(山本英彦)