コロナ経口薬は、効かない・危険(しかも高価: 1回分ゾコーバ5万1852円、ラゲブリオ9万4310円)(NEWS No.578 p04)

新型コロナ飲み薬の処方率、10月に急減 「自己負担あり」が影響か

毎日新聞は上のような見出しで、新型コロナウイルスの感染が確認された患者に、医師が新型コロナの飲み薬を出す「処方率」が10月1週目に(22%から13%に)急減したと報じました。「エムスリー」が集めた情報です。10月からそれまで患者負担ゼロであったコロナの飲み薬に対しての「公費支援」を10月から中止したためだろうとしています。「国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は『(使わない)人が増えると医療負荷が大きくなる懸念がある』と語った。」と報じています。エムスリーと感染症学の教授がでてくると、これは製薬会社が仕組んだ宣伝ニュースかと勘ぐりたくなりますね。

今年3月末までのデータでは、ゾコーバの使用数はラゲブリオ、パキロビッドのそれぞれ2.5分の1ほどです。ゾコーバの使用禁忌である妊婦への投与8月末までに15件も届けられているとのことです(8月31日朝日デジタル)。

私たちは、昨年本ニュース11月号で、経口コロナ「薬」塩野義製薬のゾコーバの審査で明白になった「緊急承認」制度の危険性」、12月号に「コロナ経口「薬」ソコーバは効かない・危険」との記事を書いています。

薬剤の「緊急承認」には、効果が証明されていなくても「推定」できれば承認される危険性が現実のものになりました。長年薬剤認可には、効果が「推定」できるではダメで、効果が「証明」されていることが認可の前提でした。その効果は「有害事象」と比較して一層大きな利益をもたらすものでなければいけないものです。

しかも、2009年の「タミフル物語」は、科学的臨床医学では、製薬会社がまとめた「効果」ではなく、元データを分析し直しても「効果が再現できる」ことが必要だと確認したのです。「緊急承認」は製薬会社のデータで「推定」できれば良いと、恐ろしく後退させたのです。

ゾコーバは、認可に甘い日本の審査でも、昨年6月22日と7月22日の審査会で承認が見送りになった代物です。なにしろ、本来の目標が「入院ないし死亡を減らす」ことでしたが、2回の審査に出されたのは「12症状」のうち、鼻水などたった5症状でだけの「効果あり」というものでした。しかも、認可された「効果」は先の5症状のうちの「息切れ」が「倦怠感または疲労感」にすり替えられ、それらが治るのが8日から7日に減ったとの「効果」が承認理由です。認可理由には、最初に設定されていた重症化を防ぐデータは、何も提出されてないのです。

ところが、先の某教授のようにいつの間にか、重症化や後遺症を少なくするとの「効果」にすりかえられています。くり返しますが、そんな効果を証明できなかったからこそ、12症状中の5症状のみの改善で承認を申請したのです。しかも、認可をされれば政府は100万人分を購入するとの契約を結んでいたのです。後出しジャンケンは禁じ手です。ゾコーバの承認は患者のためというよりシオノギ救済の承認のような気もします。「公費負担」でも健康保険負担分でも、市民の負担で無駄な支払いをするわけです。決して処方しない・飲まないことです。

他の、メルク社のラゲブリオカプセルも怪しい薬です。ランダム化比較試験の前半の結果では「効果あり」でしたが、後半では「効果なし」どころか「有害」との結果が出ていたのです。それを混合して「効果あり」としている代物です。(ラゲブリオは、昨年4・8・7月号参照してください。)

ファイザー社のパキロビッドパックは臨床試験(RCT)で「入院又は、理由を問わない死亡」を6分の1以下にするとの結果ですが、副作用も多い薬です。ファイザーのコロナワクチンのことを考えると本当に効くのかとの疑問もわいてきます。これは、恐ろしく大変飲み合わせの多い薬ですので、処方する、される時には十分注意して欲しいものです。

(はやし小児科 林敬次)