10・8夢洲IR・カジノ大阪府民公聴会の報告 (NEWS No.578 p06)

10月8日に大阪市生野区民センターホールで10・8「府民主催-夢洲IR・カジノ公聴会」が開催され、会場満杯の500人の参加があり、大成功でした。

夢洲カジノを止める大阪府民の会・事務局長の山川よしやす氏の基調・問題提起は1面をご参照ください。ここでは 意見公述や質疑応答を中心に報告しま す。

おおさか市民ネットワークの藤永のぶよさんは「夢洲開発 税金乱発 大阪万博・IRカジノを止める」をテーマに報告。IR・カジノ予定地の隣で予定の大阪万博は、建設費用などがどんどん高騰して税金負担が増大。軟弱地盤で地盤沈下は必至で、もともとごみ埋立地であるため土壌汚染もひどく、台風被害も十分予測される。格安賃料での談合疑惑など、問題だらけだ、万博もカジノも止めようとアピール。

阪南大学教授の桜田照雄さんは「夢洲カジノ認定・認可の取消を」をテーマに報告。実施協定は、カジノ事業者のオリックス=MGMに一方的に有利な片務契約であり、IR賃料も1平米が月額423円、年額5126円は不当。大阪経済の地盤沈下は卸業や小売業が多くを占める。重い国保料負担、全国平均を大きく上回る生活保護率(特に母子世帯)、ワースト4位の完全失業率など府市民の貧困を放置してカジノ誘致は許せないと主張。

大阪いちょうの会(大阪クレサラ・貧困被害をなくす会)の新川眞一さんは「舞洲カジノとギャンブル依存症」をテーマに報告。そもそもカジノ賭博場はギャンブル依存症被害者を製造する有害・危険産業であると断罪。ギャンブル依存症被害については、脳の病気であり回復することはあっても完治はしない。否認の病でもある。家族や周囲を被害に巻き込むという特徴がある。家庭崩壊や多重債務などの財産的被害、横領や窃盗・強盗などの財産的犯罪、自殺や殺人などの人身被害も生じる。ギャンブラーは嘘をつくし支援機関にもつながらない。特にコロナ禍以降のギャンブル依存症被害の特徴として、公営ギャンブルの売上が伸び、集客や売上はオンラインに収斂されて、急速に被害が拡大している。「世界一の依存症対策」と語るのであれば、オンラインギャンブル対策を講じるべきで、IR賭博場をつくるなど背信行為であると明確に主張。

通信制単位制高校の教職員からは、同校は諸事情で学校を辞めざるを得なかった子どもたちでも希望するすべての子どもが入学でき、生徒からもこんなに個性を尊重してくれる学校は少ないと共感を得ている。人の不幸の上に成り立つギャンブルでなく、教育や医療、福祉など本当に必要なことにお金を使ってほしいと切実に訴えられました。

質疑応答より特徴的なものを紹介します。府下の若者は、友人の勤務先が社長が闇カジノに手を出してつぶれたことを報告。ほかにも、格安のIR賃料については開示請求して追及したいとの意見、乱開発の問題や海抜より低い土地の津波対策もなく、アクセスも鉄道の北ルートは見通しがなく、災害時の逃げ道も2つのルートに限られる危険性の指摘など、問題点が明らかになりました。

IR・カジノは問題だらけで破綻のつけは府市民にくる。いま追い詰められているのは国と大阪府市であり、府民の運動でカジノを止めようとの思いで会場が満たされました。

精神科医 梅田