欧米はイスラエルのホロコーストを容認するな! 日本は憲法に基づき独自の平和外交を貫け!(NEWS No.579 p01)

イスラエルによるガザへの無差別攻撃

ガザ地区保健省は11月20日、イスラエル軍が、インドネシアからの寄付で運営されるインドネシアン病院を攻撃したと発表。当時、病院内には負傷者や医療スタッフを含め700人がおり、患者12人の死者と、重体や命に係わる数十人の負傷者が出たと報じられた。攻撃による死者数が増加し続ける中、230床を有するインドネシアン病院の医療従事者は、停電や空爆の中、数千人の患者や避難者を受け入れてきた。病院の建設および設備はインドネシアの様々なイスラム教団体、赤十字社、日刊紙「レプブリカ」読者、富裕層から最貧層までの国民の寄付で賄われ、非政府組織「医療緊急救援委員会」(MER-C)がボランティアを派遣し、パレスチナ人医師、看護師、および救急隊員ら170人とともに、ガザ地区のほとんどの医療機関のように運営に必要な燃料、医薬品、食料、水が不足する中、困難な業務を続けてきた。

本年10月7日、イスラム組織ハマスのイスラエル奇襲攻撃以降、イスラエル軍による報復攻撃が開始されたが、2014年の大規模衝突とは様相が異なり、慎重であった難民キャンプへの攻撃が、「ハマスの司令部がある」とジャバリア難民キャンプなど2か所を空爆し数百人が犠牲となるなど、今回は市民・民間人の被害回避へのハードルが低下している中で起こった。

封鎖による野外刑務所の中の子ども達

ガザ地区の人口は約220万人でそのほぼ半数が18歳未満の子ども達である。中東戦争の難民や子孫であり、2007年以降の海上封鎖による食料や医薬品、物資の禁輸が厳しい経済状況と高い貧困率に拍車をかけている。しかし教育は重視され、6歳から12歳の子どもの95%以上が学校に通い、イスラム大学の学生の57%は女性で、15歳以上のガザ地区住民識字率は96.9%との高い文化水準を達成している。2013年、日本政府の支援を受けUNICEFは、アル・シファ病院のNICUの修復と設備の設置を行い、新生児死亡率は30~35%から7%へと低下した。その後も日本から新生児や母親への救命薬、医療用消耗品の提供、現地スタッフのトレーニングの支援が行われた。しかし、孤立と封鎖による深刻なトラウマで、子どもの4/5が極度の精神不安を訴え、お漏らしや不眠、情緒不安定の症状を示しているという。

国連開発計画(UNDP)は9日、パレスチナ自治区ガザについて全人口の96%が栄養面や衛生面で「多次元の貧困」に陥ったと発表。イスラエルの攻撃で約5割の家屋が倒壊・損壊し、避難民は全人口の約7割に当たる150万人に上る。ガザの死者1万1千人のうち、こどもは約4500人を占め、6000人以上の子どもが両親のどちらかをなくしたという。

病院攻撃は国際法違反

妊娠中の女性は推定約5万人、毎月の出産は約5,500人で新生児医療が不足している。ガザ地区の6病院にあるNICUの保育器には130人の新生児がいるが、燃料が届かなければ発電機は動かせず、保育器は停止し、保温や酸素補給ができないと赤ちゃんは死亡する。またWHOは広範囲の停電で透析患者薬1000人も危機的状況になると警告。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、5歳未満の子供たちの間で急性の呼吸器疾患や下痢の症状が急増している。国際基準では1日1人当たり15リットル必要な飲料水・きれいな水もガザの避難民は1~3リットルしか使えない。燃料不足で発電機で井戸水をくみ上げられず、海水の淡水化装置が使えないため 、海水や農薬で汚染された水による衛生状態の悪化や感染症の蔓延が懸念される
 AP通信によると、11月10日の時点では戦争が始まって以来1万1千人以上のパレスチナ人(その2/3は女性と未成年者)が死亡し、約2700人が行方不明となっている。

ガザ最大級の北部アル・シファ病院は激しい戦闘の中心地となり、数千人が避難しているとみられる。物資不足のため、子どもを含む負傷者の手術を麻酔なしで行っている。およそ650人いる患者が必要な治療を受けられず3日間で新生児3人を含む32人が死亡した。最近手術を受けたばかりの患者は避難できず、埋葬できない遺体が山積みになっているという。遺体安置所の冷蔵庫は機能しておらず、遺体を放置することで感染症の流行の危険性が高まる。

即時停戦、パレスチナ独立への平和外交を

イスラエルによるインドネシアン病院への攻撃を受けて、インドネシアの女優であり政治家でもあるワンダ・ハミダ氏は、「同病院は、イスラエルによる計画的な絶滅作戦がガザの地で展開される中、世界の大国の多くとは異なり、パレスチナ人と連帯し続けているインドネシア国民とその政府を象徴するものだ。一人の母そして人間として、私はこの虐殺に打ちのめされています。これは戦争ではありません。民族浄化でありホロコーストです」とニュースで語った。「痛ましいのは、このような虐殺を、私たちが人権政策でお手本にしているはずの米国やEUが支持していることです。もうお手本にはできません」と言明した。植民地主義廃止を呼びかける自国憲法をもつインドネシア人は、パレスチナの国家化は義務と考えている。

この数週間、国連機関や赤十字・赤新月社、人権弁護士たちが、イスラエルによるガザでの殺害作戦がジェノサイド(大量虐殺)の域に達していると警告しているにもかかわらずG7をはじめ大国の指導者の対応は鈍い。

平和憲法をもつ日本こそアジアの一員として、このホロコーストを止める国際世論の先頭に立つべきではないだろうか。