12月2日、大阪小児科学会で、 ガザでの停戦とガザの人々への緊急の救援と支援を訴える(NEWS No.580 p05)

イスラエルによるガザでの大規模で無差別な空爆やミサイル攻撃で、18,700人以上が殺害され、50,000人が負傷(ガザ保健省12月16日現在)し、犠牲者の2/3を女性や子どもが占めている。このガザの人道的大惨事をグテ-レス国連事務総長は、人道危機(humanitarian crisis)を超えた人類の危機(crisis of humanity)であると表現し非難した。国際人道法を始め人類社会が積み重ねてきた「超えてはならない一線」に対する規範を破壊する行為であるとしている。

連日ニュ-スで悲惨な実態が報道されている。医療関係者が標的にされた報道も後を絶たない。世界保健機関(WHO)は12月12日火曜日、ガザ市のアル・アハリ病院への医療車列が2回止められ、銃撃されたと発表した。国境なき医師団は、イスラエルが地上作戦を行っているガザ北部のアル・アウダ病院の外で発砲され、外科医の一人が12月11日月曜日に負傷したと述べた。医療者としていたたまれない思いを募らせている読者も多いと思う。

子どもの健康と命をまもる小児科医として出来ることを今行動しようと考え、12月2日の大阪小児科学会(大阪の小児科医の学術団体)で「ガザでの停戦と緊急の支援を訴える」ガザからの渾身の訴えを2本紹介せていただき議論する機会をえた。

初めは、世界で最も著名な医学雑誌であるランセット・Lancet誌(11月11日号)に、日本人医師の清田明宏氏が現在のガザ地区の人道危機状態に対して全世界に向けて、ガザの人々への緊急の救援と支援にむけた迅速な行動をとるようにと渾身の訴えを書いておられる。清田氏は、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)で保健局長をされ、パレスチナ難民550万人の命を守る最前線にいる日本人医師である。Gaza is facing a humanitarian catastrophe、ガザは人道的大惨事に直面している、と題された記事である。すべての企業、人道支援団体、個人に対し、食料、医療器具、医薬品、シェルター、その他の基本的な人間のニーズを満たすために不可欠な物資の即時供給を含む支援を拡大するよう要請します。ガザの人々は救援と支援を切実に必要としており、私たち人類全体に彼らの苦しみを和らげるための迅速な行動を求めている。

もう一つは、(UNRWA) 事務局長フィリップ・ラッザリーニ氏が英国ガーディアン紙(10月26日掲載)に寄稿した意見です。表題は、History Will Judge Us All if there is no Ceasefire in Gaza. ガザに停戦がなければ歴史は私たち全員を裁くでしょう。私たちに、停戦に向けて声を上げることを訴えている。この記事はThe Washington Post、朝日新聞を始め世界の新聞で引用されている。

参考資料として原本のサイトアドレスを添付するので参照されたい。

参考資料:

1) Gaza is facing a humanitarian catastrophe

Published:October 24, 2023DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(23)02401-7

2) History Will Judge Us All if there is no Ceasefire in Gaza – UNRWA Commissioner-General Opinion Piece in the Guardian – Question of Palestine

小児科医 T. I