3月特別例会報告 HPVワクチンは接種勧奨すべきでない(NEWS No.583 p02)

3月例会は特別例会として、産婦人科医の打出喜義氏からヒトパアピローマウイルス(以下HPV) ワクチンの問題点について、包括的な話をしていただいた。

まずHPVの遺伝子分類は200種以上存在すること、サーバリックス、ガーダシルは発がんのあるハイリスク型のうち16,18をカバーするのみであったが、シルガード9がでて31,33,45,52,58も対象となったが、それ以外のがん化に関わるハイリスク型は多数存在し、リスク全てをワクチンでカバーできる訳ではない。

HPV感染と頸がん発症の関連であるが、日本産婦人科学会の最新版のホームページは、多くの女性がHPVに感染し、長期間かけて一方通行で、みんなが子宮頸がんに進展するような間違った説明で接種を勧めている。

しかし以前の同じ説明では、次図のように各行程での自然治癒を示す逆方向の矢印が明記されており、細胞変異があってもほとんどが治るものとし、予防としてワクチン接種を入れていた。最新版は治らないイメージとなっている。

予防について米国CDCでは、HPVは性感染症として、ワクチン接種、コンドームの使用、セックスパートナの制限、最も信頼度の高い性活動の自制の4項目を挙げるが、2,3,4を一次予防の3本の矢として守れば充分で、ワクチンは必要ないと考えている。

HPVワクチンの副反応について、報告数は他と比べて高い。(上からサーバリックス、ガーダシル)

理由の一つはウイルス蛋白とヒト蛋白の分子相同性による抗原抗体反応がある。

もう一つは、接種後に産生される抗体が長期にわたり高値を維持することである。図のように接種されてから10年経っても抗体が維持されている人がおり、副反応が長期にわたって発症する可能性がある。

HPV感染症は、予防接種法の中で、人と人との濃厚な接触なしに感染するA類疾病に入っているが、HPV は濃厚な接触でしか感染しないのでA類から外すべきで、あの新型コロナでさえA類ではない。子宮頸がんの一次予防は「3本の矢」で十分で、二次予防としては検診が重要である。

さらに女性の部位別がんの中で、子宮頸がんの罹患数は他と比べ決して多いものではなく、むしろ死亡数は少なめである。

問題なのは、打つ必要のなかった少女に、十分な説明と同意がないままに、今打てばお金もいらないし頸がんにならないよと言われて打ってしまった人がいるという事実を、医療者は考え反省しなくてはならないと考えている。

折しも3月14日には厚生科学審議会予防接種基本方針部会で、男性に対するHPVワクチン定期接種化が審議される状況下で、時宜を得た例会内容となりました。

入江診療所 入江