フィリピン医療支援報告2(NEWS No.433 p03)

2011年7月9日AKCDF MEDICAL MISSIONを終えて

今年の検診はAKCDFの生徒94人とその兄弟12人に対して行いました。我々以外にBARANGAYの医師が50人ほど地域の子どもたちの検診を実施し,歯科医による診察と処置も実施されました。POTRERO COUNCIL(区議会)を動かしての取り組みも,日本から毎年検診を実施してくれることが大きな力になっているとポールさんは語っています。

さて,検診受診者94名は1から3B及びランク外の経済状況と関係なくそれぞれ60%前後の検診受診率です。検診の目的は疾患の発見もありますが,AKCDFの目的が「子どもたちに栄養と教育を」であり,栄養状態を評価することも重要な目的です。体重(kg)と身長(m)からカウプ指数をもとめ,13未満を痩せすぎ(消耗症)としてその比率をもとめました。

2005年までは,痩せすぎが7%を占め,中にはカウプ指数10未満の強度消耗症の子どももいたのが,2006年からは5%前後に改善し,2010年からは3%前後に改善しています。これらは,地域の住民の要求をまとめ,自治体との交渉を積み重ね,地域として子どもの権利と平和を守る取り組みをしてきた成果だと思われます。そして,我々が20年近く検診を続けてきたことが,その一翼となっていると感じます。

しかしながら,今後の課題も存在します。日本の4,5歳児と比べて虫歯の子どもが多いことです。年々,虫歯のない子の割合がふえてはいますが,経済状況による差も見られます。虫歯は歯磨きよりも食生活の影響が大きいと考えられ,甘いものが少なくなり,野菜が増えるという食生活の改善と虫歯は反比例すると考えられます。今後は虫歯を指標に子供たちの食生活を見ていく必要があるでしょう。

東大阪市保健所 森