「社会保障制度改革国民会議最終報告書」は、社会保障制度解体宣言。公的保障の拡充こそが求められる (NEWS No.456 p01)

政府の社会保障制度改革国民会議は8月5日報告書を取りまとめた。内容は、「自助」を社会保障の基本にし、国の責任を救貧に限定するもので、社会保障の解体宣言と言える。

社会保障制度改革の基本的な考え方は、国民の生活は国民が自らの労働や健康維持努力で支えるという「自助」が基本で、社会保険方式を基本とする「共助」が「自助」を支え、自助や共助で対応できない困窮等には公的扶助や社会福祉などの「公助」が補完するとしている。社会保障を救貧制度に限定する時代的逆行であり、許せない。

医療分野では、「病院完結型」から「地域完結型」への転換を打出し、地域包括ケアシステム構築として地域包括支援センターや医師会等の役割を強調するが、医療供給についての自治体等の公的責任には言及しない。むしろ医療機関の体系の再編や、医療法人等の再編・統合を容易にするしくみを提起しており、医療法人やさらには自治体病院等の統廃合、合理化促進も狙われている。また「地域完結型」として、高齢者が病院以外で診療や介護を受けることを勧めており、結局家族介護・看護がおしつけられることになる。国民健康保険の保険者の都道府県化は自治体間の保険料負担の平準化にはなるが、国庫負担率引上げは検討せず、保険料負担や滞納の解決にはならないと考えられる。高齢者に過酷な自己負担を強いる後期高齢者医療制度は存続し、70-74歳の自己負担も本則の2割にする方針である。

介護分野では、予防給付の見直し、一定以上所得のある利用者の自己負担引上げ、補足給付については所得以外に資産の考慮や遺族年金の所得への算入にも言及している。さらなる自己負担増や、要支援や軽度要介護度の人を給付対象から除外することは、市町村事業化で自治体間格差の拡大が生じることになる。

総じて、「自助」を強調し、国民の生活の基盤となる医療や介護等の社会保障に関する国の責任を放棄して、社会サービスの供給制限、さらなる自己負担を提起している。さらに医療機関の合理化促進も狙っている。生活ができない低賃金や年金、自己負担は重く利用が制限される医療や介護の現状を抜本的に変革して、生活ができる賃金や年金、必要な時に誰でも医療や介護等の社会サービスが受けられるように、公費負担による社会保障の拡充こそが求められる。その財源は逆進性の強い消費税ではなく、法人税や所得税の徴収強化によるべきである。「自助」をおしつけて救貧に限定しようとする社会保障制度改革の具体化を許さない取り組みが求められる。

(いわくら病院 梅田)