「美白効果」があるとして売り出した化粧品を使って肌がまだらに白くなった被害が続出している。
回収をすすめるカネボウは「メカニズムがわからない。万全の基準でやっていた。」とコメントしている。本当に万全の基準でやっていたのか?
問題のロドデノールを含む商品の1つ「カネボウ ホワイトニング エッセンスS」の審査報告書を見た。ラット、うさぎ、モルモット、ミニブタが試験に用いられていたが系統名の記載がなかった。白斑非形成の確認試験ではヒトと同程度、表皮にメラノサイトをもつA1モルモットを使用したと考えられるが、期間は28日間の塗布で最高43日目の紫外線照射後観察だった。
消費者庁のニュースリリースによる白斑発症事例では半年から4年間使用したケースが報告されていた。観察期間の短さから全く意味のない実験であることが分かる。
安全性試験に使われるラットの系統種は8種類のうち毛色が有色2種、斑模様1種、他5種はアルビノ(白)が使われます。メラニンを生成するチロシナーゼ活性を阻害する化粧品であればアルビノで試験しては意味がない。チロシンからメラニン合成への中間代謝産物には細胞毒性のあるドーパクロムがある。そのため安全性試験も必ずメラニン色素をもつ動物でなければならない。しかし厚生労働省は化粧品の安全性試験において製剤の特徴ごとに使用する動物種、系統を指定していない。一体どの系統を使って実験を行ったのだろうか?
一般に動物実験で害がでなければヒトにも安全とされます。
このことで薬害を引き起こしてきたにも関わらず今も同じように安全だと宣伝されます。
さらに薬物に対する反応に動物種差があることを利用してメーカーが故意に害を隠すことができます。動物種による薬物代謝(吸収部位、代謝酵素など)、薬物感受性(受容体の有無)、各動物の特徴についてメーカーは熟知しています。
日本では医薬部外品で最近「茶のしずく」という石鹸で被害をだしました。
もう厚生労働省の承認要件としている残酷なだけで意味のない動物実験では国民の健康や安全は守れないのだと思います。
EUでは今年3月から動物実験を用いて開発された化粧品販売を全面禁止としました。日本でもいずれ代替法に変わっていくでしょう、それがメーカー側に都合のいいものにならないよう監視する必要を感じます。
(薬剤師 小林)
「 2013年8月19日
報道関係各位
株式会社カネボウ化粧品
「医薬部外品有効成分“ロドデノール”配合製品」
お問い合わせ状況、並びに自主回収状況について
当社が自主回収を進めております「医薬部外品有効成分“ロドデノール”配合」の美白製品に関連する、お問い合わせ状況、並びに自主回収状況を、下記のとおりお知らせします。」
(カネボウ化粧品ホームページより)