史上最悪レベルの福島第一原発事故から14年が経過した。事故当初から医問研は低線量・内部被曝による放射線障害を明らかにする取り組みを続けてきた。調査研究の知見は医問研ニュースでも再々取りあげてきた。このたび、放射線障害や原発事故に関する医問研ニュースの記事を、医問研ニュースのホームページから振り返ってみた。
2011年3月11日に発生した事故直後にさっそく内部被曝によるがんなどの晩発障害について警告を発している。日本小児科学会を中心に日本公衆衛生学会などの学会でも医問研会員が、初期から、低線量放射線障害として、流産、低体重児出産、周産期死亡などの増加を明らかにしてきた。原発事故からの避難者子どもの健康相談会も京都と大阪で開催した。甲状腺がんの多発が明らかであるのに、県民健康管理調査で福島県立医大や原子力村の勢力が「スクリーニング効果」などとして多発を否定することに対して疫学的手法を用いて追及してきた。(「福島の小児甲状腺がん増加はスクリーニング効果でなく、放射線被曝による」(No.464 p02)、福島県:甲状腺がん増加をごまかす「先行調査」「本格調査」の検討(NEWS No.473 p04)など)胎児の障害や甲状腺がん多発だけでなく、福島で周産期死亡や急性心筋梗塞の異常な増加を報告した。(福島県で周産期死亡が増加(No.474 p04)、原発事故後に急性心疾患が増加している(No.482 p03)など)福島原発事故後「低体重児」増加を証明した論文が「Environmental Health」に掲載されるなど、国内外での反響もあった。福島子ども甲状腺がん訴訟支援も呼びかけた。(3.11福島子ども甲状腺がん訴訟支援を。えせ専門家達のスクリーニング効果/過剰診断説のごまかしを許さない(NEWS No.583 p05))これには、岡山大学の津田敏秀氏の2論文や、それを補完するものとしての医問研とドイツH.Scherb氏との共著論文をもとに論点をさらに具体的に詰めた。
原発事故賠償訴訟を闘う避難者や放射能市民測定所、全交などの反原発と放射線障害の補償や生活保障を求める闘いとも連帯して、低線量内部被曝に関する講演会や全交などでの交流会、情報提供も行ってきた。さらに、原発賠償京都訴訟原告団共同代表 福島敦子さんや、京都・市民放射能測定所、全交関電前プロジェクトから寄稿していただいている。
原発再稼働など原子力発電推進に舵を切った国や放射線障害をなかったかのようにしたい原子力村の学者や東電を含む電気事業者らに対して、暴走を食い止め、事故避難者を含む被害者への補償や生活保障を実現するために、引き続き、彼らにとって不都合な真実である低線量・内部被爆、放射線障害を明らかにしていかなければならないと感じた。
精神科医 梅田